福島
Vol.2-13-30 福島
2020.02.13
福島と聞くだけで、今尚、風評被害に苦しむ人々の姿が思い浮かぶ。
来月にはまたあの日がやってくる。
2011年3月11日14時46分。
この日、この時間、東北の方には忘れようにも忘れられない日と時間だ。
ジイはその日、西新宿の会社オフィス4階にいた。
突然襲った凄い揺れ、すぐ収まるだろうと高をくくっていた。意に反し激しさは増すばかりだ。
ロッカーが揺れ始めた時、社員は初めて緊急性を自覚「逃げろ!」の一言で階段を駆け下りた記憶がある。
今となっては時間の感覚が思い出せない。すでに多くの人がビルから逃れ、道路にあふれていた。
しばらくして、皆が上を見て騒いでいる。すぐそばに見える高層ビルがゆっくり左右にゆれているではないか。幻想的と言えば不謹慎かもしれないが、決して人工的に起せる現象ではなかった。
揺れが止まってからもかなり長く揺れていたような気がする。
揺れが収まり、少し落ち着いたところでTVをつけてみた。
そこには現実とは思えない映像が流れていた。
映画の特撮ではないかと見間違えるような映像である。津波が海岸を超え、車をまるでマッチ箱のように押し流している。現実とは思えない衝撃だった。
都内すべての交通機関はマヒ、帰宅困難者でホテルは満室。しかたなく会社で一夜を明かした。
あれから9年が経った。
2011年3月から2019年3月まで、東日本大震災の記事をスクラップしたのが7冊ある。
1冊目の最初は「列島最大の激震M8.8」「100年に一度の被害規模」の大見出しでの報道である。
最後の7冊目は、平成30年3月現在の被害者総数のデータで終わっている。
9年も経過すれば普通の災害であれば何とか再生の道が見えてきそうに思うが、この原発を巻き込んだ災害には先の見えない風評被害という妖怪のようなものが今も福島を苦しめている。
今、判断をくださなければならない難題がある。
冷却用の汚染水。どうしてもトリチウムだけが除去出来ずたまる一方である。
約1000基あるタンクに110万トンの処理水が保管。そろそろ満杯になりつつある。
海洋放出か水蒸気として放出かそろそろ結論を出さなければならない。
お隣韓国では福島第一原発の6倍にあたる量を日本海に放出しているという。
どういうことなのかジイには理解できない。
放射線量も、東京都:0.036μSv/h、福島市(福島県):0.13μSv/h、ソウル(龍山区)(韓国):0.125μSv/h、を見れば、福島とソウルはほとんど同じ量である。
人体に影響のないレベルなのがわかる。
そこで東電TEPCOのホームページに
「※トリチウムは水素とほぼ同じ性質を持っており、主に水として存在し、自然界や水道水のほか、私たちの体内にも存在します。ベータ線という弱い放射線を出しますが、そのエネルギーは小さいため、紙1枚で遮ることができます。日常生活でも飲水等を通じて体内に入りますが、新陳代謝などにより、蓄積・濃縮されることなく体外に出ていきます。」とある。
であれば紙ですいて濾過できないものかとジイにような素人は思う。
いずれにしても風評被害は収まらない。福島産肉牛は1割も安い価格でないと売れない。
少なくとも風評被害から、日本人自身の手で福島を救わなければならん。
昔あったような気がするが、今はまったく見かけないスーパーでの「福島コーナー」を設けてほしいと思う。
ジイなどは、米、野菜、魚、肉、すべて福島産を買いたいと思っている。
ジイのような人は全国に沢山いると思う。
福島の業者と産地直送などの契約やインターネットでの申し込み方法もあるのかもしれないが、年寄はなかなか面倒なことができない。
スーパーで目の前に「ガンバレ福島!コーナー」があれば気持ちの高揚もある。
全国スーパー経営者のみなさん。切なる願いだ。
全国のスーパーに一坪でいい「フクシマコーナー」を何としてでも作っていただき国民が応援しやすく、買いやすくしていただきたい。
先の短いジイではあるが、死ぬまで福島産を買いたいと思う。