対中政策の見直し

世界,日本,雑記

Vol.1-8.26-225   対中政策の見直し
2020.08.26

あの温厚な坂本一哉・大阪大学教授もついに、対中政策見直しをせざるを得ないと結論づけた。

ここ数年の中国の世界戦略は、トランプ大統領以前の対中政策がどちらかと言えば、「中国は大国になりつつある中でそれ相応の振る舞いのできる国に緩やかな変化をしていくだろう」との期待と楽観の中で付き合ってきたのだろう。

あにはからんや自由陣営が考えるようなまともな国ではなかった。
櫻井よし子氏がいうようにまさしく「異形の大国」であったということに遅ればせながら気がついたのだ。

国の歴史をひもとけばそれはある程度想定できたはずである。しかしアメリカは、大国になる国の相応しい変化は、中国が社会資本主義を取り入れた経済運営に舵をきったからには、穏やかな社会民主主義的な移行へと変化せざるをえないと踏んだのであろう。
しかしそうはならなかった。
気が付いた時、すでに世界は中国の世界戦略の中に組み込まれつつあった。ということだ。

中国のここ10年以上に亘る高度成長は思いもつかないほどの速さで、国力を増強した。今、考えれば1000年先の100年をすでに想定した世界戦略を着々と進めていたのである。

発展途上国という隠れ蓑に身を隠し、実際の世界戦略は14億の人口を武器に着々と進めていたのである。

気が付いた時は、
①ファーウエイは2012年にすでに売上高でエリクソンを超えて、世界最大の通信機器ベンダーとなった。
②アリババグループは米ウォルマート、米コストコ、仏カルフールを上回り、初めて世界最大の小売企業・流通企業である。

あらゆるものが世界規模でかつ猛スピードで世界に投網をかけようとしている。

米経済専門誌“フォーチュンが選んだグローバル500大企業に、史上初で中国(香港を含む)の企業数が米国を抜いた。

2020年8月 10日に発表されたフォーチュン500大企業リストによると、米国は1位であるウォルマートを筆頭に121社の名前があげられた。中国はそれより3社多い124社の企業が名を連ねている。

500大企業の順位は売上の基準で決定されるが、1位のウォルマートを除いた2位から4位まではすべて中国企業で、中国石油化工(シノベック)、中国国家電網(ステートグリッド)、中国石油天然ガス(CNPU)が占めた。

今回の武漢発の新型コロナで世界のサプライチェーンはストップした。その時世界は物流の心臓を中国が握っていることに気がついたのだ。言わずもがな中国の工場がストップしたため世界の流通が止まったのである。
すべてが中国中心に回りだしているのだ。

中国の「お金」に依存してきたイタリアは今回のコロナで大変な目にあった。
ドイツはまだその「お金」の魅力を捨てきれないようだが、欧州は中国依存の危険に距離を置き始めている。

一対一路はユーラシア大陸からアフリカまでを視野に入れた中国の世界制覇の一旦である。その罠にはまって、自国の港を取られた国がすでにいくつもある。

中国の世界戦略はそれだけではない。すべてにおいてその勢いは尋常ではない。まるで衰えと恐れを知らぬインベーダーのようだ。

中国の特許出願件数が世界全体の半分近くになった。
WIPOの「世界知的財産指標2019」による。
<世界の特許の出願件数>
①中国・・・154万件(前年比11.6%増)
          世界の出願件数の46.4%を占める。
②米国・・・60万件(前年比1.6%減)
③日本・・・31万件(1.5%減)
④韓国・・・21万件(2.5%増)
⑤欧州・・・17万件(4.7%増)  をみれば歴然である。

また、2020年8月7日、自然科学の分野で発表された世界の論文の数を分析したところ、おととしまでの3年間の平均は中国の論文数が30万本余りで、アメリカを抜いて初めて世界1位になったと文部科学省の研究機関が公表した。

ことすべて、がモーレツである。昔どこかで聞いたようなフレーズそのものである。
14億の人口の爆発力は並みの対抗では勝てるような勢いではない。

それだけではない。危険極まりないのが、政治工作の拠点としての「孔子学院」だ。
孔子学院は世界各地の大学などに540か所、米国内75か所内66が大学内だ。日本では早稲田や立命館など15の大学に及んでいる。

この勢いを如何に止めるか、急に思い切った手を打つには時すでに遅しの感はあるが、しかし米トランプ大領領は、「新型コロナウイルス」を武漢発とし、中国にすべて責任を押し付け、緩やかであった中国制裁を一気に加速させる材料に使った。

矢継ぎ早に出した制裁は、ファーウエイの取引禁止、TikTokの米国事業の売却命令、孔子学院の監視強化、香港への圧力、新柄コロナウイルス発生国としての賠償金請求、等々である。

ポンペオ国務長官にいたっては、世界は米国か中国かではなく自由か暴政かの選択に直面しているとして、自由主義対共産主義の対立軸をはっきり示した。

経済圧力だけでは限界があり、思想を対立軸としなければこの膨張した中国を押さえきることはできないという焦りであろう。

日本の対中政策が一行にハッキリしない。
日本独特の玉虫色もいいが、同盟国アメリカがこれほどはっきりした方向を示したからにはそろそろ色を出さないわけにはいくまい。

ただ11月3日の大統領選挙まで2ヶ月。バイデン氏では少々方向が違う。

日本としてはどうもタイミングが悪い。
仕方ない。
側近の声が聞こえる・・・2か月間入院すると言う方法もありますが。いかがいたしましょうか。

安倍首相が2度も病院を訪れたのは、、、その戦略を視野に入れたのか?
ジイの邪推である。

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