Good bye 不信のロシア

世界,日本,雑記

Vol.1-9.13-243  Good bye 不信のロシア

2020.09.13

ロシア・アガニョーク誌編集長・セルゲイ氏のインタビュー記事を読むと、暗澹たる気持ちになる。北方領土の話である。

戦後75年になる。日本は北方4島返還をたえず訴え続けてきた。いつかは理解を得られるのではないかという期待だ。交渉にあたった政治家はいざ知らず、少なくとも日本国民はそう思ってきた。

しかし、セルゲイ氏の言葉は、強かで冷徹なロシアとナイーブな日本の姿を浮かび上がせた。何とも切ない日本の道化師ぶりだけが印象づけられた。

このインタビューは安倍首相辞任を受けての企画であったのだろう。

ジイは冒頭の言葉にショックを受けた。
安倍首相の辞任によって領土問題の解決に向けた『窓』が閉じられたのではないか。との見方に対し、セルゲイ氏は
『そもそも窓は最初から開いていたのか』という強烈な先制パンチを打ってきた。

第二次世界大戦の結果、北方4島はロシアの島になったのだ。返すわけないでしょ。領土交渉は表面上のことで他に何かメリットを引き出せるかもしれない、という下心があったから交渉に応じただけにすぎない。そもそもロシアと日本に領土問題は存在しないとロシア人はみんなそう思っている。という本心だ。

『双方は表向き積極的に交渉してきたが、両国の原則的な立場には影響しなかった』
という<原則的立場とは>、

ロシア:北方4島は第二次世界大戦の結果ロシア領となった。、
日 本:「4島が不法占拠されている」という立場。
そもそもお互い正反対の立場で、ロシア側の交渉条件の前提を受け入れられない限り、ロシアの心理は交渉という段階の前で止まっていたというのだ。

日本はもっと現実を見ろ!!と言っているに等しい。

このインタビュー記事を読み解けば、
先ず、
①交渉したいなら、北方4島はロシアの領土と認めなさい。
②認めた上で、島を買い取るのか、賃貸するのか、共有するのか決めましょう
③買い取りや賃貸の場合、アメリカを駐留させないという条件つきですよ

これがロシアがいう現実的解決策だということであろう。
不法に占拠しているなんて言う意識など露ほどもない国に、「誠意をもって話せば」という日本流の交渉、まるで学生のようなナイーブさだ。長い長い無駄な交渉、これを道化師と言わず何と言えばいいのか。

端から、日本とロシアは分かり合えない国であった。誠実を地で行く日本はロシアにもてあそばれ、相手は外交上何かメリットを引き出せないかという程度のものだったということだ。

これが、価値観を共有しない国との違いである。

いまさらであるが、
昭和20年8月14日に日本がポツダム宣言の受諾を決定し翌15日に玉音放送によって国民に降伏を告知、自発的戦闘行動を停止した後の昭和20年8月28日から9月5日にかけて、ソ連軍が当時まだ有効であった日ソ中立条約を一方的に破棄して北方領土に上陸し占領した。

昭和20年2月、ソ連のヤルタで米・英・ソ首脳が会談(ヤルタ会談)。ここで、戦勝国間で、戦勝権益の世界分割が話し合われた。大日本帝国を早期に敗北に追い込むため、ソ連対日参戦する見返りとして、日本の降伏後、南樺太をソ連に返還し、千島列島をソ連に引き渡すべきとした極東密約を結んでいたのだ。

その後、北方領土は現在に至るまでロシアが実効支配をしている。

今も、北方四島付近で操業中の日本漁船がロシア当局に連行、拿捕されたりする事態が相次いでいる。ロシアの関係機関に協力金を払っている「安全操業」中の漁船も対象となり、高額な賠償金を支払って解放されるケースもあるが、完全にロシア領土として国権を行使しているということだ。日本は成す術なく悔しくほぞをかむだけだ。

こんなロシアに外交儀礼だけの付合い以外に何が必要だというのだ。
『領土は戦争で取り返さない限り無理である』と誰かが言って物議をかもしたが、現実はその通りであると証明された。

気に入らない人間は迷わず毒殺する国である。ロシアとの交渉などもういらない。
ただし、北方4島については世界に向け不法占拠を言い続けることはやめてはいけない。ボディブローはいつか効く。

つかず離れず、大作家、ドフトエスキーやトルストイ。音楽家、チャイコフスキー、ラフマニノフ、オイストラフ、リヒテル、アシュケナージ等の芸術を楽しむだけで十分である。

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