MOTTAINAI

世界,日本,雑記

Vol.1-9.26-256    MOTTAINAI
2020.09.26

9月25日は、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんの命日だった。

マータイさんは2005年の来日の際に感銘を受けたのが「もったいない」という日本語だった。

Reduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という環境活動の3Rをたった一言で表せるだけでなく、かけがえのない地球資源に対するRespect(尊敬の念)が込められている言葉、「もったいない」に注目したのだ。

マータイさんはこの美しい日本語にグラティチュード(感謝する)という意味を込めて、世界共通語「MOTTAINAI」として広めることを提唱した。

『私たちは環境から多くの恩恵を受けている。安心できる食べ物、安全な飲み水すべて自然からの恵みです。普段私たちはこういうことに感謝するということがありません。しかし私は日本でこの感謝と言う価値観に惹きつけられた』と語った。

このマータイさんのお蔭で『MOTTAINAI』はまたたく間に世界共通語となり、私達日本人も改めて「もったいない」と言うことに気づかされ、改めて物を大切にすることに思いを馳せたのではないか。

つい最近のことだが、食糧危機を感じた習近平主席の肝いりで、飲食浪費を戒める「食べ残し禁止」の指示がで出た。

中国はもともと「民は食をもって天となす」という言葉があるほど、食べることを大事する国だが、2013年から全国で食べ残し禁止キャンペーンが打ち出されていた。しかし食べきれないほど食事を出すことがもてなしという伝統もある国で、これはなかなか徹底されていなかった。

ちなみに中国の2015年の都市部の飲食業におけるフードロスの量は1700万トン~1800万トンで、3000万人から5000万人の一年分の食糧に相当していたというのだ。

ところが、ついに出たお上の号令はさすがに効き目があった。
レストランでは早速メニューを改善したり、注文の仕方に工夫をするなどしたりして、文明的で食べ残しのない飲食モデルの導入が早速始まったようだ。

果たして日本はどうか。
食べ残し、売れ残りや期限が近いなど様々な理由で、食べられるのに捨てられてしまう食品「食品ロス」。日本の食品ロス量は、年間600万トンを超え、毎日、大型トラック(10トン車)トラック約1,700台分の食品を廃棄している。

消費者庁が平成29年に徳島県で実施した食品ロス削減に関する実証事業の結果では、まだ食べられるのに捨てた理由として、(1)食べ残し57%、(2)傷んでいた23%、(3)期限切れ11%(賞味期限切れ6%、消費期限切れ5%)の順で多いことが分かった。

<推奨される家庭での取組>
■買物時の工夫
・冷蔵庫や食品庫にある食材を確認する
・必要な分だけ買って、食べきる
・利用予定と照らして、期限表示を確認する

■調理、食事での工夫
・食品に記載されている保存方法に従って保存する
・野菜は、冷凍、乾燥など下処理し、ストックする
・残っている食材から使う
・体調や健康、家族の予定も配慮し、食べきれる量を作る
・作り過ぎて残った料理は、リメイクレシピなどで食べきる

そのほかに工夫すればいっぱいあるだろう。

今時、消費期限と賞味期限を理解していない人はいないと思うが、ジイなどは昔、納豆などは糸が引かなくなったら“ヤバイ”とした。牛乳なども匂いや、固まりで判断していた。冷蔵庫のない時代、匂いや、味で見分けることにはとても敏感だった。そんな懐かしむ時代があったのだ。

最近は消費期限の見直しや、包装資材の改良による保存の長期化の工夫がされているが、消費者の意識が最も大事だ。
マータイさんにならって日本発の「もったいない精神」は発祥の地としても大事にしなければならない。世界に誇れる究極の「MOTTAINAI」の神髄を発するというプライドが大切だ。

マータイさんが亡くなって9年が経つ。世界に発信してくれた「MOTTAINAI」の精神を廃らせることなく、さらに磨きをかけ、世界をリードしていくことが、マータイさんへの恩返しだ。

ラジオで知ったマータイさんの命日。天国でどんな景色を見ておられるのだろうかと思いを馳せた次第だ。

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