11月3日の不穏
Vol.1-10.7-267 11月3日の不穏
2020.10.7
米大統領選挙まで1か月を切った。
このタイミングでのトランプ大統領がコロナウイルスにやられるとは最悪である。
トランプ氏がいつもにもまして元気をアピールし、たった3日で退院する背景には大統領選を勝ち抜くためだけではない。もし、大統領選だけ意識するのであれば、とりあえず第2回目の討論会に間に合わせ、じっくり勝利戦略を練り直すチャンスでもあるはずだ。
実は欧州で台湾有事が語られているのだ。
産経新聞によれば、
『先月、EUに台湾政策の見直しを求める寄稿が仏紙ルモンドに載った。欧州議員ら9人が連名で、「台湾の民主主義を支持し、政治対話を始めよ」と訴えた』というのだ。
『しかも、その相手に「蔡英文総統」も含めることを想定している。「中国が台湾に武力行使をすれば、欧州との断交を招く危険があると示すべきだ」と。』ここまでくれば事態は重大である。
かなり踏み込んだ寄稿文。中国にとってみれば、台湾も香港も一つの中国という核心的利益にかかわる問題。黙って見すごすわけにはいかない。ということになる。
しかし、欧州・ドイツのフォルカー・シュタンツェル元駐中国大使によれば、台湾問題を「現状維持」としていたにもかかわらず、李克強首相が「平和統一」を目指すとのという従来の表現から「平和」の文言を削除し、さらに米国のアザー厚生長官が台湾を訪問したときには、台湾海峡に戦闘機を飛ばしなどの露骨な威嚇をした。
このように、中国こそ従来の態度を変え強硬策に転じたではないか。したがって中国への「警告」込めた動きだと説明したのである。
また、8月にチェコ上院議長が台湾を訪問した際、中国の王毅国務委員兼外相は『「一つの中国」に戦いを挑むことは、14億人の中国人民を敵に回すことだ」』とののしり、報復を警告したことも背景にある。
中国「馬脚を現す」とはこのことでる。当然だが、中国のヤクザまがいの恫喝、異様に映った中国の態度に欧州が危機感を募らせたのは言うまでもない。
「台湾有事となれば、欧州は傍観者でいられない」という発言は、相当の覚悟で一歩前に出た発言である。
ここで浮上するのが、11月3日の大統領選挙である。トランプ大統領の健康問題、及び選挙結果等で混乱に陥った時が危険である。
最悪のシナリオはこの政治空白を狙った台湾進攻と尖閣上陸である。
四面楚歌に陥った時の中国が最強の軍事力を試すチャンスと見た時の暴発はあり得ないシナリオではない。
その危険をいち早く察知した米国。大統領の3日での退院での健康へのアピール。及び、ポンペオ国務長官の韓国、モンゴルを差し置いても日本訪問を優先させた意味、かつインド太平洋会議を隣国である日本開催とした事実をみてもその脅威を読み取っているとみて間違いない。
11月3日不穏な動きを注視しなければならない。戦時対応が必要と考えても決して大げさではない。