Go to モーリシャス

世界,日本,雑記

Vol.1-10.10-270    Go to モーリシャス
2020.10.10

“ モーリシャス ” と聞いただけで海の綺麗な南国の島を思い浮かべる。そんな雰囲気をもっている。

この島の名前を知ったのは今年の7月25日、日本の貨物船が座礁。重油約千トンが流失したというニュースだった。

この綺麗な海をよりによって日本の船が重油で汚すなんて、悪夢である。過去の重油事故での報道は、アザラシや多くの魚が油で打ち上げられた悲惨な光景が目に浮かんだ。

懸命で素早い作業により、一刻も早い重油回収を祈った。

その後、日本の適切で早い対応で海の重油は回収が順調に進んでいるとの記事を目にし、まずは一安心した。しかし、千トンもの重油である。そう簡単に綺麗な海に戻るはずがない。ずっと気になっていた。

そんな折、現地在住で長年現地の観光業に従事してきた日本人女性のインタビュー記事があった。コロナ禍の中、重油事故は観光業にさらに追い打ちをかけた現実だ。

「事故により海が汚染されたイメージが広がり、観光客が戻らないことが心配」とその心情を語った。

そのモーリシャスとは、アフリカの南東のインド洋に浮かぶ東京都ほどの大きさの小さな島だ。人口は126万人ほど。その島に在留邦人が59人(2018年)もいるとは驚きである。

昔、オランダ、フランス、イギリスの植民地時代を経て、1968年に英連邦王国として独立した。1992年には立憲君主制から共和制に移行し、モーリシャス共和国となる歴史を有する。

モーリシャスの空気の質は、世界で最高水準、世界保健機関(WHO)が公表するAir quality indexでは、モーリシャスは世界2位とされている。
こんな事実を知ると重油事故はいかにも重大、責任の重さを感じる。

モーリシャスは南回帰線の近くに位置し、熱帯気候だが、夏の平均気温は24.7 ℃。冬の平均気温は20.4 ℃。海洋性の気候で「インド洋の貴婦人」と呼ばれる高級リゾート地として欧州の観光客に人気が高い。近年は長期滞在型のバカンス客が主流となっていると聞くと、さもありなんと納得する。

日本との関係は、遠洋マグロ漁業の中継・補給基地として日本漁船は大変お世話になっているということだ。

取材に応じた彼女は、(重油事故の)「船主が日本企業と知り、日本人の自分にも責任があるような、やり場のない憤りと悲しさでいっぱいになった」と自分の髪を切りオイルフェンス作りに提供し、ボランティア活動にも参加したという。

現地の人は「髪まで切らなくても」といたわってくれたようだが、そこまで日本人として責任を果たそうとする心情を察すると胸が痛む。

今も島に点在するマングローブ林や岩、砂などに付着した油を洗い流す回収作業が続いている。
日本の専門家も国際支援チームの一員として力をつくしているが、「日本人が観光に訪れ、復興の力になってくれたら」と、現地在住ならではの切実な思いを語った。

今はコロナ禍で大変だが、日々現地で生きる日本人は現場から逃げることはできない。こんな現地情報を汲み取り、政府や観光業界が連携してPR活動に努めることも必要ではないのか。

ニュースショーで政府スキャンダルもいいが、モーリシャス支援に「Go to モーリシャス」なるキャンペーンを政府に提案する粋なテレビ局が出てもいいと思うが。

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