極 楽

日本 雑記

Vol.1-11.7-298   極 楽
2020.11.7

“ 極楽 ” は仏語である。

極楽とは、苦しみのまじらない身心共に楽な世界ということであり、悟りを開く境涯である。と親鸞上人は説いている。

極楽はあの世にしか存在しないものかと思えば、この世にもいっぱい極楽はある。

今朝の新聞を見たら、「極楽」という読者の詩があった。

『極楽』(東京都在住の83才Aさん)

決まった時刻に起き
オッスというと
オッスと妻が応じる
血圧を記録し
新聞を広げて食パン
歩いた先で妻と合流し
家で軽い昼食
決まった時刻に
焼酎一合をちびちび
決まった時刻に
十年日記を四行書き
血圧を記録してから
決まった時刻に
ベッドへ

まさしく、諸事円満、苦患のない、この上なく安楽な世界そのものである。
これの幸せをこの世の極楽と言わずして何と言おう

ジイもこのトシになると、Aさんの気持ちがよくわかる。
83歳にしてご夫婦そろってウォーキングできる健康、互いに “ オッス ” と呼びあえる性格のマッチング、この手の仲良しはなかなかいない。うらやましい限りだ。

これでぽっくりいけたら最高の人生~ってことになる。

老境に入れば皆Aさんのような生活を夢見ている。それができないで悩み多い人生となる。どんなに働いて表彰状をいっぱいもらっても病床での生活では極楽ではない。どんなにお金がたまってかつ御殿をたてて周りを見下しても素通りされる家では極楽があるとは思えない。

小さな家であってもつつましくも美しく生きることはできる。会えば笑って話せる人間関係。お互いを思いやり、お互いに尊敬し合い、気遣いのある人付き合い。そんな人間関係でありたいと思う。

しかし、このAさん。かなりの酒豪である。83歳にして焼酎1合とはすごい。ジジイなんか、グラスに3分の1ほどついで、お湯で割る。それを『ちびちび』やってもう “ ぐでんぐでんだ ” Aさんは何という強靭な胃と豊かな愛情をお持ちのじいさんか。

Aさんのように、この世の極楽を楽しまなくてはならない。極楽はあの世の特権ではない。

神奈川県鎌倉市には『極楽寺』がある。若くして「極楽とんぼ」お言われる幸せな生活を送る人間もいる。
お風呂にゆっくり浸かり、目をつぶって「ごくらく、ごくらく」とつぶやく御仁もいる。
現世、あちこちに極楽はある。極楽とはどうも愛情と感謝の心に訪れるようだ。

たかが80年余りの人生。亡くなって50年もすれば、覚えている人間はすでにこの世にはいない。地球の灰になって舞うだけだ。せめて息をしている間。お安くて最高級の極楽を楽しみながら本当の極楽へ旅立ちたいものだ。