三浦瑠璃の改憲考
Vol.2-5.13-485 三浦瑠璃の改憲考
2021.5.13
国際政治学者・三浦瑠璃氏の改憲考が産経新聞に寄稿されていた。
三浦氏だが、何年か前に初めてテレビで見た時は、明確な独自理論を持ち、論理的に話す人。という印象を持った。橋本徹氏と気が合うということを知りさもありなんと思った。
さらに、東大卒、美人女性で国際政治などというと、この世界のコメンテーターとしてかなり露出度が高くなるのではと期待もした。
その三浦氏の改憲についての寄稿である。
タイトルは~理にかなった改憲~、、、その要点を拾ってみた。
『日本は有事というものを想定していない国だが、国民は初めて今回のコロナ禍においてそのことを実感した。
コロナ禍は発生から1年を経てなお、政府が医療体制の組み替えにもワクチン接種体制の整備にも対応できていない現状を露わにしている。
私権制限の必要の可能性を論じることに今まで消極的であった野党が積極姿勢に転じてもなお、この国は医療体制やワクチン確保に指導力を発揮できずにいる。
これまで、日本が自由と安全の両立の議論を避けてきたばかりに、主観的な安心のために自由を放棄する羽目に陥っている。結局「自粛」という名の精神論を個々人に強いて頼りにせざるを得ない。
改憲勢力の基本姿勢は、「公権力にできること」の幅をなるべく広げようとしてきたが、それは間違っていない。
ただ、政府による権力行使が合理性に基づいた判断であるかどうかだ。有事においては権力行使の幅が広がる。そこにおいては、「何をするか」と同時に「何をしないか」が重要となる。
有事あるいはグレーゾーンに際してのリーダーシップについては、状況を的確に見定め、無駄な犠牲や危険なエスカレーションを避けることが求められる。極端に揺れ動く心性から脱し、合理性に基づいて有事を想定しなければならない。
有事とそこにおけるリーダーシップを想定することで初めて、権力行使に自制心が生まれ、また一定のリスクやコストを許容することができる。
日本の憲法議論は安全保障を法律論で語る習性である。有事における最大の特徴は、事態が急速に展開し、変化することである。国際環境は一昔前とはかなり異なっている。行動リスクと行動しないリスクを天秤にかけて論じる発想が必要。
日本は今後、中国の報復、台湾の想定外の変化等、外部環境が変化する時代において、日本が今の秩序の維持を図ろうとするならば、積極的かつ機敏な対応が必要。
自衛隊についても、憲法に明記するだけでなく、自衛隊をどのように統率し、何をする、何をしないかを定める必要がある。
政府が現実の有事に直面したとき、正しくリーダーシップを発揮できる存在であるためには、理にかなった改憲が必要である。』
と結んでいる。
やはり学者である。熱い国家愛よりも冷静な分析に立脚した論理展開である。
三浦氏は、まだまだ多くの人が改憲を懐疑的に見る人がいることを想定しつつも、「政府が現実の有事に直面したとき、正しくリーダーシップを発揮できる存在であるためには、理にかなった改憲が必要」と改憲意義を語った。
改憲を盛り上げていくためには、“ 女性 ” がクローズアップされる現代、女性の理解がまず大きな力になる。
その意味においても国家愛に満ちたジャーナリスト・櫻井よしこ氏や、イデオロギーに左右されない三浦氏のような学者の改憲論は、女性の憲法への関心を大いに高めてくれるのではと期待するのである。