安倍発言の重み
Vol.2-12.3-689 安倍発言の重み
2021.12.3
よくぞ言った “ 安倍晋三 ” といいたい。
『台湾有事は日米同盟の有事』である。
安倍元首相は1日、台湾のシンクタンク、国策研究院文教基金会が主催するシンポジウムでオンライン講演し、
「尖閣諸島や与那国島は、台湾から離れていない。台湾への武力侵攻は日本に対する重大な危険を引き起こす。台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある。この点の認識を習近平主席は断じて見誤るべきではない」と語った。
どこかのスポーツ解説者じゃないが、 “ アッパレ ” 安倍先生である。この会場には桃園市長や新武市長に、与党・民主進歩党の次世代リーダーや複数の国際関係学者が出席していた。
安倍氏は講演で中国の脅威について
◆『最近30年、中国の軍事費は42倍に増え、日本の防衛予算の4倍もある』とし、
それに対抗するために日本と台湾は
◆『自身の防衛能力を高め、確固たる意志を示す必要がある』と強調
さらに、台湾のTPPやWHOへの参加支持を表明し
◆『台湾の国際的地位を一歩一歩、向上させるお手伝いをしたい』と語り『自由で人々に人権を保障する台湾は、日本の利益であり、世界全体の利益でもある』と強調した。
中国側が軍事的手段に訴えた場合、
◆「世界経済に影響し、中国も深手を負う。私たちは経済力、軍事力を充実させて決意を示すと同時に、理性的に、中国が自国の国益を第一に考えるなら、中台関係には平和しかないと説かねばならない」と強調した。
経済分野においても
◆『半導体などで、日本と台湾はそれぞれに得意分野があり、いざという時に安心して確実に供給が確保される態勢を構築することが大事だ』と語った。
首相の座を降りて、立場上、今までより低下した影響力を利用し、政府への側面支援のような含みがあるのではないか。当然ながら台湾は歓迎である。大きな安心を与えたことであろう。
テレビ朝日のコメンテーターがこの安倍氏の発言を好意的にかつ的確に解説していた。
『安倍さんの発言は、今回外相に就任した林芳正氏が親中で、近く訪問する予定があることを前提にしている。台湾有事は日米同盟を結んでいる限り、他人事ではないということを強調する意味と林外交に釘をさす必要があった』と解説していた。
めずらしくTV朝日が好意的解釈をしていた。まあ事実その通りであろう。
面白い、中国はこの安倍発言に早速反論した。
『安倍元総理は台湾問題で公然とでたらめを言い、中国の内政について勝手な批判をした』
『強烈な不満を示し断固反対する』
『どんな人も中国のレッドラインに挑戦すれば頭が割れ血を流すことになる』
反発は予想されたことであろうが、いつも思うことは中国のあまりにも露骨な “ 頭が割れ血を流す ” というような表現に誰もコメントしないのには驚く。安倍首相がこのような発言をしたら、国内から嵐のような批判が沸き起こることは想像に難くない。
いつも政治家の言葉尻を掴んで攻撃するマスコミたちよ、何か “ 反応したらどうなの? ” といいたい。中国に甘く日本に厳しいマスコミの実態を見る思いだ。
それにしても、過去、何の反論もして来なかったことが大きな反省である。靖国参拝こそ中国の反発に対して、「内政問題である」としてはねつけるべきだ。今後はそうすべきである。
政府を離れたとはいえ未だ影響力のある安倍元首相である。今後は発言の重さから重要な役割を担えるのではないか。
安倍元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋構想」は世界の平和と安定を維持する共通の公共財として定着しつつある。大きな安倍氏の成果である。その安倍氏の発言だからこそ重みがある。
元首相の肩書を持ちながら鳩山・福田両氏がとった、ただおもねるだけの親中言動とは雲泥の差だ。
今後、重要な場面での発言を期待されるかもしれない。ひょっとしたら首相時代よりは自由な立場で、重要な役割を担えるのではないか。期待したい。
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