金融制裁の有効性

世界,日本,雑記

Vol.3-02.28-776   金融制裁の有効性
2022.02.28

ロシアの侵攻が一向に止まる気配がない。

ロシア国内の反戦デモが最も効果的な抑止になると思われるが、ロシア当局は積極的に逮捕しており、5700人以上が拘束されたと報じた。

大規模に展開するにはかなりの危険が伴うことになる。自国領土が攻められているわけでもなく当然躊躇する人間も出てこよう。

これまで、ウクライナの被害はすでに発表されているが、ロシアの被害額は不明である。報道は完全規制下にあり、ロシア政府のプロパガンダ放送と化した。まさに中国と同じである。

そんな中さらなる経済制裁の強化の方向が打ち出された。

日本も追随して強化しなければならないが、輸出管理を担当する大臣と経済協力を担当する大臣を兼ねていることが問題になっているようだ。ロシアとの経済協力?、そんな話をしている場合か?

どうも北方領土交渉への影響を考える御仁がいるようだが、100%返す意思のない領土問題をこの緊迫した事態に経済協力を考える方がおかしい。

返還への強い意志を捨ててはならないが、今は徹底したロシア制裁にすべてをかけるべき時だ。迷うバカがどこにいる。

ところで金融制裁が本当に打撃を与えるのか?ということだ。

「米国、英国、欧州、カナダは26日、ロシアの一部銀行を国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意した。」とある。

ところでその<SWIFTとは何か>だ。
◆ 「国境を越えた迅速な決済を可能にし、国際貿易を円滑に行うためのシステム。このシステムに接続する銀行は、SWIFTメッセージを利用して支払いを行える。同メッセージは安全とされ、大量の取引を迅速に処理できる」というものだ。

◆ SWIFTは国際貿易における資金送金の標準的な手段となっており、2000年の年次報告によると、SWIFTプラットフォーム上では、毎日約3800万件の送金メッセージがやり取りされた。年間では何兆ドルもの資金が同システムで送金されている。

ということでとても便利なものだ。

もし<SWIFT排除>されるとどうなるか。
◆ ロシアの銀行がSWIFTから排除されると、同国は世界中の金融市場へのアクセスが制限される。ロシアの企業や個人は、輸入品の支払いや輸出品の受け取り、海外での借り入れや投資が難しくなる。

ただ、他の決済チャネルは利用できるようだ。しかし、代替手段は効率性や安全面に過大ありで、取引量の減少やコスト上昇の可能性がある。

ということで打撃を与えることは間違いない。

プーチンの野望は、今考えて突然起こした行動ではない。ソ連崩壊からの怨念をマグマのように膨張させ、この日の来ることを予想し、10年も前から脱ドル依存をすすめてきているのだ。

・2013年、1400億ドルあった保有米国債を⇒2021年には24億ドルに激減させた。

その代わりに

・2013年、400億ドルだった「金」準備を⇒2020年には1400億ドルに増やした。

米国に左右されるドルから金資産に入れ替えているのである。

逆に中国のように、流入するドル資金に応じて人民元を発行する準ドル本位制をとっている国は、SWIFT排除をやられれば一巻の終わりである。

しかし、今回どこまで通用するかだ。

停戦への道筋は不透明であるが、考えられることは
1、ウクライナ軍の抵抗によるロシア兵士の死亡増
2、ロシア国内での反戦ムードの高まり
3、経済・金融制裁で市民生活の悪化
4、アメリカを中心とした自由陣営の結束

どれ一つが欠けても、戦争は長引くであろう。

もう一つの心配は、ロシアがチェルノブイリ原発を制圧したことだ。

コルスンスキー駐日大使は「ロシア側が管理方法を知らない」として核物質の汚染が起きる可能性を指摘した。ロシアは原発を占拠してとんでもない計画をしている可能性がある。狂人と化したプーチンの思考回路が心配である。

どちらにしても平和裏に解決という結論はあり得ない。かけがえのない命を落とし、経済を疲弊させ、両国の国民の心に残した傷は一生消えない。

軍事的にプーチンが勝ったとしても世界の孤立者として中国にすり寄るだけだ。多大な悲しみをまき散らし、恨まれて、暴君のレッテルを貼られたからには、さらに悪行を重ねるだけだろう。

ソ連時代の栄光も強権・独裁の歴史である。それを現代に蘇らせようとしたプーチンの試み。ロシア国民も被害者である。

広大な土地、豊富なエネルギー、クラシック、文豪を生んだ国である。安全な国家として世界に門戸を開き、多くの知恵と資本を受け入れていれば、誰も、NATOに加盟など考えもしなかったであろうに。

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