白日の下に晒されたウイグル弾圧
Vol.3-6.29-897 白日の下に晒されたウイグル弾圧
2022.06.29
「海外からの帰国者は片っ端から捕らえろ」
「拘束者が数歩でも逃げれば射殺せよ」
この衝撃的ニュースが入ったのが5月24日だ。
いわゆる<ウイグル弾圧の内部資料大量流出事件>だ。
中国新疆ウイグル自治区のカシュガル地区とイリ・カザフ自治州の公安サーバーから、ハッキングによって内部資料が大量に流出し、米非営利団体「共産主義犠牲者記念財団」などが5月下旬、「新疆公安ファイル」として資料の分析結果を公表した。資料は中国が「職業技能教育訓練センター」と呼ぶ収容所などの実態を示す写真や2万3千人超の収容者名簿、約2900人分の顔写真、共産党幹部の発言記録など、数万点の資料である。
事件から1ヶ月、
米非営利団体「共産主義犠牲者記念財団(VOC)」のアドリアン・ゼンツ上級研究員が産経新聞のインタビューに応じた。
ゼンツ氏は、中国の習近平体制が
「少数民族ウイグル族を集中収容して強制労働へ大量動員する段階から、これを長期かつ持続可能なものに常態化させる段階に移行しようとしている」とし、
中国政府が、大量の住民を強制的に収容所に送ったことで、自治区の経済活動が低調になった影響を緩和するため、ウイグル政策を「より利益のでるものに転換させようとしている」という。
その一環として「洗脳された一部の人々を監視の下で自宅に戻すこともしている」と指摘。
こうした施策は弾圧を弱めたわけではなく、むしろ「弾圧の制度化」が進んで人権侵害行為が一層、巧妙化していると非難した。
今回の流失資料によって、習近平国家主席を含む指導部が直接的に関与していることが「決定的に証明された」と強調した。
また、5月に国連人権高等弁務官バチュレ氏が、自治区で行方不明者になっている人々に関する情報を家族に提供するよう、中国当局に要請したことは「犯罪者に自身の犯罪を調べさせるようなものだ」と痛烈に批判した。
全くその通り、“ バチュレ調査 ” はブラックユーモアもいいところだ。
今、資料を基に深刻な人権侵害の実態解明が進められているが、すべてが「無実の人を捕らえてる」実態が浮かび上がる。
その一部だが、
①ノルウェー在住のウイグル人権活動家アプユ氏
名簿の情報から、兄や姪などの親族、地元の近隣住民ら「約30人」が収容されていることを確認した。
収容の理由は「アプユ氏が自治区の弾圧についてメディアの取材を受けたことへの報復」だという。
姪のエルキンさんは日本の大学で勤務中、親に呼び戻され危険を承知で自治区に戻った。その後、当局から「臓器不全」のため「病院で死亡した」。との通知を受ける。
アプユ氏は病院での死亡は「嘘」であり、「収容所にいたことが証明された」。
②40代の姉はイスラム教の聖地メッカやトルコなど海外滞在歴があることを理由に夫婦で収容され、刑期15年とされた。
その他、資料には暴力、屈辱的行為が日常的に行われている写真もある。
ある女性は
「中国の人権・宗教弾圧の実態がこれ以上なく伝わる資料だ。噂や疑惑が全て証明された」
インタビューに応じた女性は
「日本政府には、『人権問題担当の首相補佐官を新設した割に具体的に動いていない』とし、『資料を武器に中国側に強く働きかけてほしい』と求めた。」
痛いところをつかれた。日本政府はこと中国になると腰が引ける。“ 仏作って魂入れず ” で実態が伴わない。中谷元氏・内閣総理大臣補佐官(国際人権問題担当)の見るからに温厚な人物。岸田総理の任命であろうが、煙さえ立たない?人事である。
最近の岸田外交、ロシアに対しては少し思い切りの良さもでてきたが、語る言葉は(1)自由主義 (2)法の支配 (3)人権重視である。その言葉に揺るぎないのであれば、常にそれに照らし合わせて実行すべきである。
国によって基準を動かすようでは国際的信頼など程遠い。
石橋を たたいて渡る 平和主義 もいいが、
法自由 人権死守に 我が身賭す はいかがかであろうか。
背に一本 棒のようなものを期待したい。
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