日系アメリカ人
Vol.1-4.25-102 日系アメリカ人
2020.04.25
日系アメリカ人、と聞くと胸が騒ぐ。
言わずもがな、両親、もしくは祖父母のどちらかが日本人ということだ。
ジイの記憶では新聞などに日系人が紹介される時、決して悪い記事ではない。日本とアメリカの懸け橋になったとか、アメリカ社会である地位まで上りつめ、アメリカ社会でもそれなりに尊敬されている方だった。
ここ最近話題になった3人の日系人もご多分にもれず、日系として誇れる方ばかりだ。
最近、話題になった駐韓アメリカ大使・ハリス氏。
父はテネシー州出身のアメリカ海軍兵曹長ハリー・ビンクリー・ハリス、母は神戸出身の日本人オオノ・フミコ。2人はフミコが横須賀のアメリカ海軍で通訳兼秘書をしていたときに知り合い、1955年に結婚。1956年 神奈川県横須賀市で生まれのがハリス氏だ。
第24代アメリカ太平洋軍司令官。 アメリカ海軍史上初めてのアジア系の大将である。大将の地位は日系アメリカ人軍人が得た過去最高の階級である。
これを聞いただけで嬉しくなる。
もう一人が「アイリーン・ヒラノ・イノウエ氏」だ。
先日、「日米の交流促進に尽力してきた日系米国人で、米日カウンシル会長のアイリーン・ヒラノさんが7日、西部ロサンゼルスで死去した」と報じた。
日系初の米連邦議員で2012年に死去した民主党重鎮ダニエル・イノウエ上院議員と08年に結婚した。
1948年、ロサンゼルスで生まれた。第2次大戦時の強制収容など日系人の歴史を伝える全米日系人博物館の初代館長などを経て2008年から、日米交流促進団体の米日カウンシル会長。東日本大震災の復興支援として日米の若者の交流を促進する「トモダチ構想」でも中心人物の一人だった。
米日カウンシルのフィリス・キャンベル理事長は、「アイリーンは、日米関係において稀有な存在で、米日カウンシルの使命を遂行する中で、太平洋の両側のリーダーから尊敬されていました。米日カウンシルの創設以来、アイリーンは、自身の知恵と起業家精神を活用し、戦略的ビジョンを念頭に入れつつも米日カウンシルのあらゆる側面を把握し、大胆な考えと決意を持ってあらゆる課題に取り組みました。」と語り、
下記の成果を達成できたことが特に誇らしいと述べた。
• 地域、全米、および国際レベルで日系人リーダーや他の日米のリーダーが集い、人と人とのつながりを通じて日米関係を強化する組織を設立したこと。
• 日米の若き次世代リーダーに投資するため、公共および民間部門と協力してTOMODACHIイニシアチブを設立したこと。
• 日系アメリカ人およびその他の多様なアメリカ人が日米関係で果たせる重要な役割に対する認識を高めたこと。アジア系アメリカ人リーダーシップ訪日プログラムは、その目標の達成において重要な役割を担っています。
• 渡邉利三財団の寛大な支援により、留学を志す日米の若者への奨学金を提供する、恒久的な一千万ドルの基金を設立したこと。
• 新生リーダープログラムを通じて、米日カウンシルと各々のコミュニティで重要な役割を担う若手日系アメリカ人リーダーに投資したこと。
とその業績をたたえた。
そして3人目がルース・オゼキ氏だ。
曹洞宗の禅僧でありながら作家である。
ルース・オゼキはコネチカット州ニューヘイブンで生まれ育った。父はイェール大学の言語学者・人類学者として知られるフロイド・ラウンズベリー、母はハワイで育った言語学者マサコ・ヨコヤマである。本名はルース・ダイアナ・ラウンズベリー。オゼキはペンネーム。
スミス大学で英文学とアジア研究を専攻した。卒業後、日本の文部省の奨学金により、奈良女子大学の大学院で日本古典文学を研究したが、ほかにも京都でバーのホステスをしたり、京都産業大学で英語を教えたり、能楽などのさまざまなことに興味を持った。
1985年に帰国してニューヨークに住み日本のテレビ番組や広告会社のために働く。
後には自分でドキュメンタリー映画を作成するようになり、1994年に『Body of Correspondence』、1995年に『Halving the Bones』を発表している。後者は日本に住む母方の祖母の葬儀を扱った自伝的な内容である。
40歳を越えてから小説家としての活動をはじめ、1998年に処女作『イヤー・オブ・ミート』を出版した。
2001年から禅に打ちこみ、2010年に曹洞宗の僧になる。夫はドイツ系カナダ人の環境芸術家オリバー・ケルハマーで、現在はカナダのブリティッシュ・コロンビア州とニューヨークで暮らす。という方だ。
ちょっと異色の経歴を持つルース・オゼキ氏。
作家として3作目になる「あるときの物語」である。
日本が主な舞台。
カナダ沿岸の島に住む作家のルースが、海岸に打ち上げられたハローキティの弁当箱を見つけるところからこの物語は始まるらしい。
この弁当箱、東日本大震災の津波との関係が思い浮かぶ。禅僧であることから、曹洞宗の開祖、道元の時間と存在をめぐる思想が絡みながら物語は展開していくという。
この物語には、いじめ、リストラ、秋葉原のメイドカフェなどの日本の現代も、日系アメリカ人の目で語られる。
是非読んでみたいと思う。
これらの日系人、少なくとも日本人の血が流れている。日本を心のどこかに置き、日本に思いを寄せながら日米の懸け橋になって頑張っている。かつ現地で尊敬される人間であることが嬉しい。
新聞に載る訃報の中に初めてその名前を知る方も多い。世界中のあらゆる地で、日本人の誇りと日本への愛情を忘れないでおられる方は数多くおられることだと思う。
その姿に接する時、感動し、日本を思う姿に感謝するばかりだ。