ロシア・プーチン 破滅への選択
Vol.3-9.23-983 ロシア・プーチン 破滅への選択
2022.09.23
プーチン大統領は21日、「部分的動員」を可能にする大統領令に署名した。
いうまでもなく、兵員不足を補うやむを得ない選択で、規模は30万人と説明。
「劣勢を一気に挽回したい」。本心は国家総動員である。しかし、国内での反発を恐れ、ぐっとこらえて「部分的動員」にせざるを得なかったのだ。
しかし、いずれその時が来ることを想定したのか、用意周到に前日にはロシア下院が大統領令に備え、戦時体制と動員に関する法案を可決。大統領令が導入された場合に逃亡したり、命令に逆らったりした市民を処罰すると定める法案を抜かりなく通している。
ロシア市民には根強い “ 厭戦気分 ” がある。そのことを示すネット上での≪ Q & A ≫である。
Q:現在ロシア国内で、プーチンを批判したり、ウクライナ戦争に反対する声明を発表したとしても大丈夫でしょうか?逮捕されたり、拘束されたりする事は無いでしょうか?
A:普通に生命の危機です。 プーチンは自分にとって都合の悪い人間を、有名な人たちだけで約50人殺害しています。 その多くはロシア国外で殺害されています。
すでにロシア市民の間ではこの「部分的動員」の動きを察知し、国外逃亡の動きが出ている。国際線のチケットは売り切れ。動揺から、抗議デモが各地で発生1300人が拘束された。グーグル検索では「ロシア脱出する方法」が急増しているのが現状である。
危機感を持ったプーチン大統領は「核」につながる最後の手を打とうとしている。
クリミアの夢をもう一度ではないが、クリミアに続く州「ルガンスク州・ドネツク州・ザポロジェ州・へルソン州」でロシア編入の是非を問う「住民投票」を実施しようと言うのだ。
ロシアが占領するウクライナ東部と南部の4州で親ロシア派勢力が、23日から5日間の日程で「ロシア編入」を問う住民投票を予定。ウクライナ軍の反転攻勢を受けるロシアは、占領地を併合して苦境を打開しようというのだ。
2014年の南部クリミア半島併合と同じく、結論ありきの住民投票になるとみられる。
急転直下の住民投票決定の背景にあるのは、ロシア軍の苦戦である。重火器の数量でウクライナに勝る一方、前線の兵力は消耗している。夏以降は服役囚や地方の貧困層に恩赦や高給を約束し、戦地に送り込んでいるのが現状。
住民投票で賛成多数となれば、それを口実に地域を併合、既成事実として戦果を国民に誇示する。占領した地域がロシア領となれば、ウクライナが攻撃をしかければ、「ロシア本土への攻撃」と拡大解釈し、“ 軍事ドクトリン ” の文書にある「通常兵器による攻撃で国の存立が脅かされる場合に核兵器を使用する権利がある」という項目を利用し、核兵器を使おうというのだ。
プーチン大統領が核兵器の使用をちらつかせるのはこの、住民投票 ⇒ 賛成多数 ⇒ 4州併合 ⇒ ロシア領 ⇒「軍事ドクトリン」に則り、やむを得ず祖国防衛のため核兵器を使う。
このシナリオを描いていると思われる。
すでに、この戦況を打破するにはそれしかないと腹をくくったのではないか。それほどロシアの戦況は苦しいところまで来たということだ。
“ 窮鼠猫を噛む ” ではないが、平成を装いながらも実情はギリギリまで追い込まれているといっていい。
E・ルトワック米歴史学者が「難局のプーチン氏 3つの選択肢」として提示したのは、
①「侵攻に踏み切った判断は誤りだったと認めて謝罪、部隊を撤退させ戦いの終結を宣言すること」は最善だが、プーチンには出来ないだろう。
②「ロシアの正規部隊を総動員して大規模攻勢をかける」これをやりたいところだが、侵攻を「ウクライナの非軍事化と非ナチ化のための軍事作戦」で戦争ではない。といい続けてきた手前、これをやれば国内の大反発、抗議活動が噴出する。
③核の使用。
最後の③、核の使用しかないと判断したのではないか。この核の使用へ論理的正当性を示すために前述の住民投票、ロシアへの編入が必要なのだ。
欧米はロシアの “ 住民投票 ” に一斉に反発した。
フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相は
「(投票には)法的に何の根拠もない」「みせかけの投票を受け入れることはできない」などと反発。
EUのボレル外交安全保障上級代表は、「露指導部の全員が責任を問われる」とそれぞれ強く反発したが、ロシア・プーチンに納得の選択肢はない。
いよいよ破滅の道へまっしぐらに進むのか。最後のボタンを押すとなれば世界戦の危険を想定しなければならない。
たった一人の “ 狂気 ” が世界を破滅に追い込むのか。
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