中国 拡張主義の根にあるもの
Vol.3-11.17-1038 中国 拡張主義の根にあるもの
2022.11.17
今、内モンゴルが、新疆ウイグル地区と同じ運命をたどろうとしている。
ドイツに亡命しているモンゴル民族の自決権確立を目指す国際組織「世界南モンゴル会議」のショブチョード・テムチルト代表が来日にし、日本の関与を訴え助けを求めた。
今、中国 内モンゴルで母国語が抑圧され、教育現場などでモンゴル語の使用が制限され、抗議する人々が中国当局に拘束されている。
テムチルト代表は「日本は戦後、アジアで初めて人権や法の支配、民主主義を確立した国だ。戦前の満州国建国を通じ、モンゴル人と自由と民主の国を作ろうとした歴史もある。民主的な国と一緒に中国の脅威に対抗しないと人類が中国に食われてしまう」と日本の関与を求めた。
テムチルト代表は「ウイグル人の強制収容所のように、もっとひどい政策をモンゴル人に行うのではないか」と心配している。
2020年秋以降、自治区の小中学校で標準中国語の使用が決定された。「モンゴル人は抗議活動を起したが、5千人以上が刑務所に入れられた。チンギスハンの肖像画が教室から撤去され、看板に書かれたモンゴル語が消された。今もモンゴル人社会は心理的圧力を受けている」
中国語教育の強化に抵抗する理由は「文化的ジェノサイド」だからだ。モンゴル語が話せなければ、モンゴル人の心理的な懸け橋が無くなる。祖先から伝わった文化の志を子供たちに伝える道が閉ざされる」と訴えた。
1960年代の文化大革命でもモンゴル語の使用が制限され、中国当局の公式見解で3万人のモンゴル人が殺害された。
「1949年の中国の建国に伴い、南モンゴルが自治区として扱われて以降、中国政府は計画的に文化的ジェノサイドを行っている。文革で私の祖父も殴り殺された。文革は、モンゴル民族を消すための活動だった」と語った。
それにしても中国、広大な土地を持ちながら、隣接のモンゴル、チベット、ウイグルに始まり、今では台湾、南シナ海、尖閣諸島とどんどん、国土拡張の野望を隠そうともしない。
何故だ!と思ってしまう。広大な国土を有してなお小さな隣国を奪おうとする。
今の中国はすでに大国ではないか
◆ 世界の国土面積1位はロシア連邦 2位 カナダ 3位 アメリカ合衆国 4位 中国
◆ 世界の人口
順 位 | 国 名 | 人 口 |
1位 | 中国 | 14億4,850万人 |
2位 | インド | 14億660万人 |
3位 | アメリカ | 3億3,480万人 |
4位 | インドネシア | 2億7,910万人 |
◆ 世界のGDPトップ5
順位 | 国名 | 単位:US |
1 | アメリカ | 22,995,075 |
2 | 中国 | 17,744,640 |
3 | 日本 | 4,932,556 |
4 | ドイツ | 4,262,767 |
5 | イギリス | 3,187,626 |
以上のようにすべてにおいて大国である。まだまだ国力は増すであろうし、後は内政を固め、10億の低所得層の底上げに全力を注力すれば最強国家が出来上がる。それ以上に何が欲しいというのだ。
それは、よく習近平が口にする「中国の夢」だ、「偉大な中華民族の復興」である。
かつての中華帝国は、多くの朝貢国を従えてきた。中華帝国を再現するなら、韓国、北朝鮮、ベトナム、ミャンマー、沖縄などが入る。世界に冠たる大中国の建設である。
習近平は中国をその実力に見合う国、超大国にしたいのである。毛沢東に憧れを持っているように、毛沢東の夢の継承でもある。
習近平は、アメリカと中国で世界を2分する、いわゆるG2論構想を持っているが、その先に描いているのが、G1を構想していると思われる。毛沢東を超えさらに “ 世界一の国の王 ” になりたいのである。
その実現をするために、強引に異例の3期目を実現し、側近を身内で固めた。
ロシア プーチンが、かつてのソビエト連邦をとり戻したいがために、ウクライナに侵攻したように、過去の大帝国の夢が捨てきれないのである。
戦争の時代をやっと脱する世紀に入ったと思いきや、2つの帝国が時計を逆回転させようとする。暴君はいつの時代もいる。
今、世界はアメリカ一強ではなくなった。EU NATO アセアン諸国 それぞれのグループとのバランスを保ちながらの緩やかな枠の中で、自由で開かれた世界を目指そうとしているその途中にある。
しかし、ここ数年の世界は南米に見られるように政権は流動化、左傾に傾く傾向にあったり、世界の警察の役割を放棄したアメリカは分断の様相をみせている。
自由主義陣営が結束を固めなくては、2強の横暴に世界はさらに流動化する。核を持たない日本の役割は自由陣営の強固な結束と、“ 自由で開かれたインド太平洋構想 ” を旗印に、東南アジアへの積極的関与だ。信頼を得るための主体的で積極的行動だ。自由主義陣営とのジョイント役を担う役割はかつてなく増している。
日中首脳会談が今夜行われる。当たり障りのない話で終わらせず、覚悟をもって武力での現状変更にNOを言明しなくてはならない。
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