“ 特別軍事作戦 ” という犯罪
Vol.4-2.24-1111 “ 特別軍事作戦 ” という犯罪
2023.02.24
ロシアが「特別軍事作戦」と称し、ウクライナに軍事侵攻してから明日で1年になる。
その約半年前の2021年8月、アフガニスタンでは、イスラム原理主義勢力タリバンの攻勢を受けて大統領が首都カブールを脱出した。アフガニスタン軍は余力を残しながら崩壊した。
アメリカ軍が駐留し、約20年にわたって国際支援による民主国家建設を試みたが、アメリカが撤退するや否や、大統領の逃亡でいとも簡単にタリバンに制圧されてしまった。
今のアフガニスタンはアメリカ軍駐留時の治安は崩壊、女性の教育、社会進出の希望も絶たれてしまった。
この惨状を見たプーチン、クリミア併合の成功も脳裏にあったかもしれない。ウクライナ侵攻は、2日~3日で制圧できると踏んでいたようである。
2月24日、プーチンはロシア国民を救うための「特別軍事作戦」だと称し、楽勝を胸にウクライナ侵略を始めた。
緊急事態発生である。米国は間髪入れずゼンレンスキー大統領に国外脱出を打診した。
驚くことなかれ、ゼレンスキーは『(逃げるための)足ではなく、武器が必要だ』と訴えたのだ。
その後のゼレンスキー大統領の行動はいうまでもない。テレビで見る大統領は軍用のシャツ一枚、あるいはカーキ色のTシャツに身を包み、決して後ろ向きの発言はしない。首都キーウの陥落も危惧された中で国内にとどまり「徹底抗戦を宣言」国民を鼓舞し勇気づけたのである。
学生時代に出演したお笑いコンテスト番組でブレイクした芸人が、ウクライナ第6代の大統領に就任したのは3年前、政治経験が皆無だったゼレンスキーの資質を疑問視する声が小さくなかった。政権発足後も苦しい政権運営だった。
その彼が、緊急事態にゼレンスキーは体を張って国家を守ろうとしたのだ。
評価は一変した。
キーウ国立准教授ミハイロ・ナザレンコは「国民はいま、ゼレンスキーの下で団結し、彼が大統領でなければ負けていたと考えている」と話す。
米連邦会議での演説では
「ウクライナ支援は慈善行為ではなく、民主主義を守る投資だ」と訴え、強烈な印象を残した。
「ウクライナが国民の士気と国際社会の支援を維持できているのは、ゼレンスキーの発信力によるところが大きい」
開戦で一変したゼレンスキー大統領の評価は今も、開戦当初から変わらない。大統領の発言と行動が一切ブレナイからである。
つい17日のインタビューでも
「近代兵器が和平を促進する。ロシアが理解できる言語は兵器だけだ」とし、兵器供与の迅速化を米欧諸国に訴えた。
戦争が1年に及び、ロシア自身もそうだが、各国は兵器の備蓄を急いでいる。フランスは今年、ミサイルや砲弾の調達に20億ユーロの予算をあてた。
ドイツは今月、自走式対空砲の35mm口径弾を30万発発注した。
ポーランドやフィンランドは韓国からの戦車調達を進めている。
英紙フィナンシャルタイムズによれば、「ロシア軍がウクライナ国境付近に航空機やヘリコプターなどの航空戦力を終結させている」と報じた。当局者の話によると、ロシア軍は地上部隊の損害が拡大しており、今後、損害が軽微な航空戦力に攻撃の主体を移す可能性があるという。
ウクライナが米欧に戦闘機の供与を求めるのは、空からの脅威に対抗するためだと説明した。
NATOのアナス・フォー・ラスムセン前事務総長も「早期終結には、ウクライナが求める武器をすべて供与するのが最善策」と述べ、戦闘機提供を排除すべきではないと主張。ロシアの侵略容認は、中国の台湾侵攻を誘発すると警告し、G7議長の役割は「極めて重い」と訴えた。
このラスムセン氏の発言は日本にとってあまりにも重いものだ。日本の政治家では絶対に言えない発言である。日本の政治家がこんな発言をしようものなら、蜂の巣をつつく大騒ぎになり、自民党員なら野党から議員辞職を迫られるようなことになりかねない。危機における世界との距離を感じる。
そのうち終わるだろうと思っているうちに1年が過ぎた。
プーチン大統領はウクライナを『ナチス』から解放すると虚偽の主張に基づき「特別軍事作戦」と称し、違法な侵略行為を始めたが、ロシアこそがそのナチスを上回る「戦争犯罪者」となってしまった。
① ウクライナの人々と歴史の抹殺
② 軍事施設だと称し、民間アパート、病院、劇場等への爆撃
③ 6000千人とも1万人とも言われる子供の連れ去り
④ 民間人の虐殺
⑤ 民間人からの物品の強奪
トーマス・ウィース/国際問題研究所名誉所長は、
「露軍が現在占領している地域はウクライナの領土の約15~20%を占め、これは再植民地化だ。過去の出来事となったはずの植民地支配が今まさに起きている。
この事態に国際平和の安全と維持に主たる責任を負う国連安全保障保障理事会が一致して対応できないことには愕然とする。機能不全と批判されるこの状態は、常任理事国ロシアが拒否権を行使し、中国がロシアの主張に同調しているためだ」と指摘した。
その中国が、ロシアの戦況悪しとみたのか、援助の手を差し伸べようとしている。
ロシアのウクライナ侵略し1年。悪の両巨悪が手を結ぶとすれば、いよいよ世界第三次大戦の様相を呈する。3年前、中国発、新型コロナウイルスが始まったように、今まさに、中国が長期戦への火付け役を演じるとすれば、“ 世界の悪霊 ” を決定づける行為である。
しかし、侵略者を勝たせてはならない。
つい先日、ゼレンスキー大統領のドキュメンタリー番組があった。
その最後に語った言葉である。
『子どもたちに受け継がせたいのはウクライナの威信です』
『私たちがどう行動したという記憶なのです』
『世界中の人々が 我々がとった行動を記憶に刻むことでしょう』
『その記憶がウクライナの子どもたち 孫たちを助ける力となるのです』
『新たな国難の際にも・・・』
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