アメリカの疲弊はチャンスか

世界,日本,雑記

Vol.4-2.26-1112   アメリカの疲弊はチャンスか

2023.02.26

欧米以上に悩みのつきない中国である。

中国にとってロシア侵攻は、台湾侵略のケーススタディとして格好の材料だったであろう。それが、ロシアの勝利ですんなりと終わらなかった。さらに、ロシアを傍観するだけでは済まず、支援の必要まで出てきた。

ただ、中国が望んだロシア国力の疲弊、欧米の制裁で安くなった原油をロシアに感謝されながら大量に獲得できたのは大きな成果であった。さらに、ロシアには恩を売りながら、強い協力関係を維持し、力関係はより優位な位置を不動にしつつある。このこともまずは中国の思い通りのシナリオではないか。

しかし今、中国は米国との対立による影響で、中国への投資する企業の減少に頭を悩ます。

そんな状況の中、① 経済の減速 ② 出生率の低下で人口減 ③ 第2の貿易国、欧州との関係悪化 ④ サプライチェーンの多様化 ⑤ 債務がGDPを上回るペースで増加 ⑥ 中国向け半導体の輸出規制(日本)など、中国が抱える国内問題に加え、外国からの逆風も強くなりつつある。

さらに、グローバルサウスの動きにも目を配らなくてはならない。韓球時報はフィリピンを取り込もうとする日米よりも真っ先に中国を訪問したことを取り上げていた。

中国の動きを見透かすようにフィリピン・マルコス大統領も強かである。真っ先に中国を訪問、中国から3兆円の投資の約束をとりつけた後に日本を訪問。日本からはインフラ整備に6千億の支援を取り付け、さらに安全保障でも足並みを揃えるという巧みな外交をやってのけた。

そんなフィリピンの動きを静観した中国。ロシア支援、アメリカとの対立、国内問題を抱え思惑通りに進まない。中国の “ あせりか危機感 ” か王毅外相がイタリア、フランス、ドイツ、ハンガリー、ロシアを歴訪した。

キャノングローバル研究所の宮家邦彦氏の見方は
①対米関係の改善
②対露支援
③欧州分断・・・だが

① スパイ気球の爆撃で狼狽状態
② 対露支援もロシアから殺傷能力兵器の供与を求められても、米側から「レッドライン」を越えるなと強く警告を受けているため安易に応じることができない
③ NATOの結束は予想以上に強固であった

と言うことでなかなか思惑通りに事が進まない。そこで仲介に動こうとロシアとウクライナの仲介提案をしたのはいいが、米国バイデン大統領にも、ゼレンスキー大統領からも評価されない。という始末だ。

ただちょっと気になる野望への動きだ。

評論家・石平氏のコラムにあった「習政権『戦争動員準備』へ着々」(2/16産経)である。

それによると
「2022年12月30日、習近平国家主席が発令した「主席令」によって、「中華人民共和国予備役人員法」が公布されたことだ。3月1日に施行される。

中国では以前から、退役軍人や民兵などの『予備役人員』によって編成される中央軍事委員会直属の解放軍予備役部隊があり、兵力数は1千万人を超えていると言われる」

「そして、習主席は今度『軍人勲表管理規定』の公布を発令。新華社通信によれば『軍人を表彰し、勲章を授けるための制度作り』が今回の規定公布の趣旨であるという。・・・『戦功に対する褒賞を突出させ、戦意への励ましに重点を置く』というのである。

その一方で、昨年からすでに始まっている全国各地の『国防動員弁公室設立』の動きが加速している。

1月09日・・・ハルビン市国防動員弁公室設立
1月11日・・・内モンゴル自治区・フフホト市国防動員弁公室設立
1月13日・・・武漢市国防動員弁公室設立
1月17日・・・内モンゴル国防動員弁公室設立
1月23日・・・四川省国防動員弁公室設立
1月29日・・・四川省貢市国防動員弁公室設立

2月03日・・・四川省公安市国防動員弁公室設立

こうした中、中国軍機関紙・解放軍報は『戦争型国防動員の新しい構図を構築せよ』とする論評を掲載した。

軍事力だけでなく、国家、人民の持つ経済力、技術力、情報力、文化力などを総動員して立体的な総合戦争を展開する必要がある。と指摘した。

『国防動員弁公室設立ラッシュは』、習政権による『戦時体制作り』の重要な一側面であると思われる。」と指摘したのだ。

中国はウクライナ戦争で多くを学んだであろう。着々と戦争の準備を進めていると考えてもおかしくない。

国内事情は決してよくない。だとすれば、ウクライナ戦争でアメリカ・欧州をはじめ、あらゆる面で世界が疲弊する中、トルコ・シリアの大地震である。国内問題も抱える共産党、今がチャンスと一気に “ 台湾侵略 ” に動く可能性は十分にある。

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