群衆心理と扇動
Vol.1-5.12-119 群衆心理と扇動
2020.05.12
昔、「群衆」という映画があった。
架空の人物による投書が新聞に載るや否や、反響は凄まじいものになる。発行部数を伸ばしたい新聞社は、この投書のジョン・ドゥーという人物を誰か雇って演じさせ商売にしようとたくらむ。というものだ。
その反響の大きさに雇われた人間も戸惑うのは当然であるが、今回の検察庁法改正法案に対するツイッターの反響は480万件というから驚きだ。
これだけの数が一挙ということは、芸能人が同時に、同じ意志で、強い気持ちが同じ時間に湧き上がり、使命感に燃え投稿したのがたまたま同じ時間だったとは信じがたいことだ。
作家の百田氏は黒幕の存在を示唆した。
芸能人では「小泉今日子、宮本亜門、室井佑月、糸井重里、浅野忠信、きゃりーぱみゅぱみゅらがハッシュタグをつけてツイートした。
意外や意外、まともな意見だと思ったのが、TBSでコメンテーターとしてよく出ている立川志らくの発言だ。
「私はこれがいいのか悪いのか判断つかないです」とコメントした。
がこれがほとんどの市民感覚だろう。
この定年延長の話は国会ではずっと前から議論されていた。今、急に出てきた話ではない。議論されている最中に意見が出るなら話はわかるが、ある日突然一気というのはいかにも誰かの意図的な扇動での投稿としか思えない。
さらに志らく氏は
「新型コロナウイルス感染拡大が終息しない中での法改正自体には「パッと見は危険な感じがします。今この時期に、これを進めていいのか」と語った。
コメンテーターとしてしょっちゅう出ている彼ですら、その程度の疑問だ。一般人は、それすら感じていないと思える。
そしてこう不安を口にした。
「ただ気を付けなきゃいけないのは、みんな“印象”だけで、芸能人の方なんか…これどんどん広がっていく…」と不安視したが、全くその通りになった。
歌手・きゃりーぱみゅぱみゅは
投稿を削除した上で、「なぜ今回私が発言したのかと言いますと、周りの信頼している友達がこの話をしていて政治に詳しくない私のところまで話が降りてきました。・・・・」と投稿した理由を説明。
「法改正を抗議する芸能人について「すべてとは言わないですよ、ちゃんと考えている人もいるけれども」と前置きしたうえで、「コロナのことで政権はもの凄く攻撃を受けてますから、これに乗っかってみんな一気に攻撃しようという気持ちになるのは分かるんだけれども。攻撃する時は、これいけないと思うのだったら、ちゃんと法案を読んで、これどういうことなのかちゃんと理解してから乗っかって行かないと取り返しのつかないことになる」と話した。
実態はきゃりー氏の言う経緯が事実であろう。
冷静に考えればいいのだが、、、チェーンメールの連鎖を思い出す。
映画「群衆」ではないが、黒幕がいるとすれば、本人こそがあまりの反響の多さに驚いていることだろう。
<現在の検察官定年についての法律>
・検事総長:65歳
・検察官(検事長含め):63歳
<改正案>
1.検察官の定年を65歳に引き上げる
4.次長検事と検事長は63歳以降は平の検事になる
5.第4項について、次長検事と検事長は、内閣が定めた事情がある場合、1年以内の期間、引き続き次長検事又は検事長として仕事ができる
6.さらに、1年後も引き続き内閣が定めた事情がある場合、引き続き定年まで次長検事又は検事長として仕事ができる
8.これらのことは内閣又は法務大臣がそれぞれ決定する。
ジイなんかこれのどこが問題なの?と聞きたい。
世の中、定年延長の流れである。一般的に考えておかしいとは思えない。
反安倍政権が、ただ、運用上政権の都合のいいようにやられているんじゃないの?というイメージを国民に植え付けさせる「コロナ戦略」ではないかと推測する。
コロナで手いっぱいの中、追及する材料がたまたま、これっだった。一発大逆転を狙おうと思った策が大当たり~と。いうことではないか。
テレビ朝日の朝のニュース番組では立憲民主・枝野氏の「火事場泥棒」という発言で総理を追及する場面を繰り返し繰り返し流し、一般市民の声として「コロナで頑張っているのに自分の都合のいい法案だけ・・・」と印象的言葉を流す、最後にはネットでの[#検察庁法改正法案]が有名人に広がる異常な状態を何度も強調。まるで「立憲朝日テレビ党」と間違うほどの異様、中立的や反対意見は皆無。これこそマスメディアのファシズムそのものではないかと思うが。
乗せられた芸能人、テレビ?という大きな力に屈せざるを得なかったのか、あるいは隠れ反体制派なのかよくわからないが、「この一事」は安倍政権にとって決して小さくない。
本丸の憲法改正で国民投票をやろうとする時、このツイッターの如く、理解しないまま動く票のなんと多い事か、あの「宮本亜門氏」が?と思う御仁も多いだろう。
安倍政権が、憲法改正に慎重な足取りは、この小さな事件の様相が実は最も恐れている未来の姿であろう。