読書の秋に

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Vol.1-9.18-248  読書の秋に

2020.09.18

暑かった夏もほんの少しやわらぎ、秋を感じさせるようになった。

食欲の秋、読書の秋ですが、秋刀魚は高いし、庶民にとってはなかなか食卓をにぎやかにはしてくれそうにありませんなあ。

ところで、読書の秋だが、通勤電車にゆられての出勤の時は、電車の中が読書タイムだった。ところが、高齢者になって職を辞し、ありついた新しい職場は至近距離。本を開いたらもう着いてしまうという短さ、読書は遠くなりにけりになってしまった。

いやいかんと思いつつ、本棚に目をやれば「本の読み方」なる本が目に入った。
サブタイトルに「スロー・リーディングの実践」とある。その昔、どちらかと言えば何とか速読できないかと悩んできた。まさに、真逆である。

正確には思い出せないが、速読の方法に一行を3つか4つほどに区切って、その一区切りを映像のように読むという方法だったような気がする。

例えば、
「国境の長いトンネルをぬけると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。」という文章を4つに区切って一つを映像化して読んでいくのだ。
国境の長いトンネルを / ぬけると雪国であった。/ 夜の底が白くなった。/ 信号所に汽車が止まった。

集中して訓練すれば、かなりできそうだが、途中で挫折した。

それからずいぶん経ってからだ、「スロー・リーディングの実践」に出会ったのは。
「読書はなによりも楽しみであり、慌てることはないと」とその本にはあった。
さらに私のような読む速度が遅い人間を励ますような言葉にも納得した。

①読書を楽しむには「速読コンプレックス」から解放されなさい。
②しかし遅ければいいというわけではない。読書のコツを知りなさい。
③「スロー・リーディング」は差がつく読書術で、それは質である。
④ゆっくり時間をかければ読書は楽しくなる
というのである。

そこで1冊の本を、価値あるものにするには読み方次第だという。
例えば、本には様々な仕掛けがあって、速読だと見落としてしまう可能性があるが、精読すれば、意味深い一節、絶妙な表現などを心から実感でき、得をしたと思える読書できる。速読だと、単に読んだという事実だけが残るだけだ。ということになる。

「読書は、読み終わった時点で終わりというものではない。ある意味で、読書は、読み終わったときにこそ本当に始まる。ページを捲りながら、自分なりに考え、感じたことを、これからの生活にどう生かしていくか。・・・・・読書という体験は、そこで初めて意味をもってくるのである。」

とスロー・リーディングを進めている。

確かにビジネス書やハウツウ本の場合は速読で十分であろうが、小説に隠れた意味を充分理解し、本と対話をするにはスローが良いかもしれない。

よく、私の愛読書という言い方をするが、その人はその本を何度も何度も読み返しているのであろう。何度読んでも新しい発見があるという人もある。作者の意図するところはあったにせよ、読者は十人十色の解釈をする。或いは何年も経ってから読む感想は全く違うこともある。お互い、同じ本の読者として語り合うはきっと楽しいと思う。しかし、それこそ熟読していないときっと楽しいコミュニケーションにはならないだろう。

ところで、もう30年も前のスクラップ記事にこんなのがあった。
『読書を効果的に・・・一日25分間読書法』
アメリカの心理学者・ウイリアム・ラーリー氏の提唱である。
人は慣れると、平均して1分間に千字は読めるというのだ。25分読めば25,000字となる。これを一か月続ければ75万字。単行本にして7,8冊になる。
確かに計算上はそうなる。それを習慣づけなさいということだ。

言うは易し、行うは難し。
ジイの場合は1分間に500字がいいとこだ。文庫本の1ページ程度。それでいくとジイの場合、月2冊かな。

何とか読書の秋、秋の夜長を少しずつ読書の習慣を身につけたいものだ。
何度も何度も読み返してみたい愛読書も増やしたい。1冊の本をとことん語れるほど読んでも見たいとも思う。

先が短くなってきた。急がないととなると速読かな、いや、やはりスロー・リーディングで、いや速読かな。そう思っているうちに今年も終わりそうだ。

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