土光杯に見る今時の若者
Vol.2-1.27 379 土光杯に見る今時の若者
2021.1.27
「土光杯」といってもなかなか知る人は少ないかもしれない。
フジサンケイグループ主催の「全日本青年弁論大会」である。
今回のテーマは「私が考える 日本強靭化」というものだった。
優勝した会社員・鈴木駿介(27)氏が語った弁論内容の要旨が産経新聞い掲載された。今時の若者、実に立派である。
ジイの27才、ハッキリ言って何も考えなかった。ただ、目の前にある仕事を為すだけで、“ 日本 ” などと冠のついたテーマを真剣に考えたことなどなかった。なんという無為に過ごした青春時代であったかと思うと恥ずかしいというか、もったいない時を過ごしたと思う。後悔先に立たずとはこのことである。
産経新聞を取っておられない方のために、そのエッセンスを紹介したい。
<歴史を知り、感謝するということ / 鈴木駿介・27才>
『私はIT(情報技術)の企業で管理職を務めています。新型コロナ禍は大恐慌やリーマンショックだと言われ、先が見えない状況に働く意欲が下がる社員もいますが、いっそう一生懸命汗を流す社員もいます。
なぜ頑張るのか問うと、「先輩が頑張ったから今があるので、頑張るのは当然です。」というのです。自分が働く会社を誰が守り続けたのか、社の歩みを知り、感謝の思いから頑張ると言うのです。素晴らしい後輩を持ったと思いました。
祖父母や両親の苦労や歴史を知り、感謝が生まれ、落ち込んでばかりいられないと感じた人もいるのではないでしょうか。
社会人になり、この言葉と出会いました。
・・・インド独立後の初代首相、ネルー・・・
≪ 子供の頃、日露戦争があった。ロシアは世界一の陸軍国。ちっぽけな日本はひとたまりもなくたたき潰されると世界中が思った。ところが、日本が勝った。
私は、自分たちも決意と努力次第でやれないはずがないと思うようになった。
そのことが今日に至るまで私の一生をインド独立にささげることになった。決意させたのは日本なのだ ≫。
日本の勝利の歴史が、他国の指導者の決起を促したのです。
衝撃を受けました。
学生時代、受験科目の日本史に思い入れはありませんでした。誇るべき日本の歴史を伝えようと奮い立ち、行動を始めました。
2年前から特に日本の近代史、偉人の活躍を伝える90分の講座を行い、通算約200人が私の話に耳を傾けてくれました。
「知らなかった。日本は悪いことばかりしていたと思っていた」
「わがことばかり悩んでいた。何か貢献したい」など感想が届きます。
歴史を知り、確かに変わる日本人を私は見ました。
先行き不透明な今だからこそ、多くの人に日本史を知ってほしい。わずかでも感謝の機会に巡り合えたなら、今度は自分が頑張ろうと感じる気力が生まれるのではないでしょうか。
歴史を知り、感謝し、報いようとする力がやがて日本を強くすると信じています。』
これが、弁論大会で語られた要旨である。
実際の弁論はさぞ、日本の将来を担う若者たちの熱の入ったものであったであろうと想像する。
「土光杯全日本青年弁論大会」は故土光敏夫臨時行政調査会長が「行革の実行には若い力が必要」との呼びかけに応じて昭和60年に創設された。
いつの世も真っ当な “ 若い力 ” が世の中を変えていくのである。その意味で正しい歴史教育の重要性を改めて思う。
教育が是正されれば、日本は真に強靭化されるであろうに。