H2Aロケット成功を祝う
Vol.2-12.26-712 H2Aロケット成功を祝う
2021.12.26
23日、H2Aロケットの打ち上げが成功した。
何度も成功していると、あまり感激もしないのか、新聞記事も小さい。以前は打ち上げ前の様子や見物人の映像も流れたが、最近は成功の瞬間がニュースで流れる程度になった。
今回はイギリスの通信衛星を載せている。H2Aロケット45号機は、予定より1時間遅れの23日午前0時32分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。
打ち上げから26分後の午前1時前、搭載されたイギリスの通信衛星が切り離されて所定の軌道に入り、打ち上げは成功した。
H2Aロケットの打ち上げは45機中44機で成功している。今回は連続39回目の成功だった。また、三菱重工が海外から受注した衛星を打ち上げるのは今回が5回目で、すべて成功。45号機に搭載されたのはイギリスの通信サービス大手、インマルサット社の通信衛星で、船の上や山奥などでの電話やデータ通信に活用される。すでに13機の衛星を運用しているが、今回の打ち上げ成功で、通信速度がこれまで以上に安定するという。
三菱電機が先日、度重なる不祥事が報道されたばかりである。同じ三菱でも三菱重工の成功は今後の宇宙ビジネスの牽引車として大いに頑張って欲しい。
この失敗をしないというのが凄い。ここまで成功が続くといつか失敗するのではないかという不安がつきまとう。そのプレッシャーを跳ね返し安定的な技術を確立することこそが宇宙ビジネスでは特に重要である。
何故なら莫大な金と場合によっては命にかわるビジネスだからである。
因みに、現行の主力ロケットである「H2A」の打ち上げ費用は約100億円。 コスト負担が大きいことから、海外からの衛星打ち上げ受注の機会損失につながっているとの見方もある。 再使用型の打ち上げ費用は近々に打ち上げられるH3のさらに約半分程度になるという。2030年にはその最新鋭機の打ち上げ計画がある。
ところで、日本の宇宙産業、日本は近年まで宇宙開発において軍事的利用を行ってこなかった。諸外国と比べればむしろ純粋に非軍事目的のみで宇宙開発が発展した日本は特殊なのである。
23年前の1998年に北朝鮮がミサイル発射実験を行ってから変った。発射実験以降、北朝鮮を偵察する独自能力の保有が国会で論議され、早速開発が始められた。
2008年には宇宙基本法を成立させ、防衛目的のミサイル防衛と偵察衛星の範囲で宇宙の軍事利用が可能になったのだ。
これによって法的に内閣の下での宇宙開発の計画管理の一元化の道筋が立ち、防衛利用の法的根拠等も整備されやっとこれからというところまできた。
すでに中国は宇宙を戦場とみてその制覇を視野に入れている。
インターネットしかり、GPSしかり、多くの技術が軍事目的から開発されてきた。きれいごとで済む世の中ではない。日本の現実は、手足を縛る憲法と国民の戦争忌避意識の高さによっていつも後手後手になっている。
北朝鮮、中国しかり、やめろと言ってやめる相手ではない。ロシアは不法占拠した北方領土で軍事訓練を行う始末である。指をくわえて見ていても何も改善しない。直接的ではないが最低限、防衛的見地からも宇宙技術力で圧倒的高さを見せつけることが抑止力になる。
本年度中にH3が年内に打ち上げられるという。H2Aの後継機だ。技術力はもとより39回連続の成功と言う安定した力は相手にとって脅威であろう。JAXAを始めとした宇宙開発技術陣に感謝したい。
鹿児島の南、種子島東南端の海岸線に面している世界一美しいロケット発射場で、小さくとも世界一高い技術と美しさを兼ね備えた “ ヴィーナス・サイボーグ ” を国防の意味からも打ち続けてほしい。
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