過ぎ去った “ 太陽の季節 ”
Vol.3.02.03-751 過ぎ去った “ 太陽の季節 ”
2022.02.03
石原慎太郎氏(89才)が亡くなった。一つの時代が過ぎ去っていくことを実感する。
学生時代に発表した小説「太陽の季節」で芥川賞受賞で一躍脚光を浴びたが、ジイは何故か、石原慎太郎を実感したのは昭和43年、史上最高の301万票を集めて参議院に初当選した時からである。
若き政治家として、田中角栄の金権選挙を批判した本人が老境に入り、「天才」として田中角栄の稀有な人生を執筆した時は少々驚きと共に意外であった。
ジイが何と言っても記憶に残るのは、「日本国憲法」「靖国神社」「天皇」「原発」に対する一貫した思想である。
◆日本国憲法
現在の日本国憲法は、勝者が敗者を統治するための占領基本法で、戦勝国が押し付けた占領憲法である。占領憲法は「勝者の敗者に対する統治の方法としてしか使われてなかった」という事で否定したら、誰も反対する法的な根拠はないとして、議会で現行憲法の廃棄決議をした上で自主憲法を制定すべきとした。
天皇を日本国の元首と明記すべきで日本国憲法については「改憲手続きなんていう面倒なことはせず、衆議院で破棄決議をすればいい」と発言している。
現憲法は破棄、日本国憲法を新しく制定する考えは渡部昇一氏と同じであった。
◆靖国神社参拝
毎年、8月15日に靖国神社に参拝を欠かさなかったことも首尾一貫した考えでブレがなかった。
記者会見で毎日新聞が質問した
*毎日新聞記者
「靖国神社参拝されましたが、東アジアや中国の心情を理解する必要があると思うんですが、影響をどういう風に考えいるのか?」
*石原知事
「日本人として当たり前のこと、私の家内の父親もあそこにいる、、、誰に迷惑がかかるんだ、誰がどう妨げることができるんだ。つまらん質問しない方がいい。毎日新聞の沽券に拘わるぞ。恥ずかしい質問するんじゃない。聞いてる方が恥ずかしいよ」
というような切り返しをできる議員は今いない。寂しい限りだ。
◆原子力発電
「原発推進論者」である。石原の構想は、東京都の電力依存を軽減するために、(津波や巨大地震をやり過ごせる)フローティングシステムの上に、東芝製の4S炉のような5万キロワットクラスの超小型原発を必要数東京湾に浮かばせるという具体的なものであった。
その後、2011年3月11日に発生した東日本大震災で福島第一原子力発電所が爆発事故を起こし、大規模な放射能汚染が福島県のみならず東京都民の生活にも深刻な悪影響を及ぼした。そんな状況の中で、危険を顧みず消火活動にあたった消防隊員を前に、涙を流し献身的消火活動に感謝を示した。
しかし、2011年東京都知事選挙において、東国原英夫・渡邉美樹・小池晃など他の立候補者が原発の危険性を強く指摘し、原発の廃止や見直しを訴えていた中、原発の増設・推進に賛成の意を表したのは石原慎太郎だけである。必要なものに対して厳然と対峙する姿は感動である。
◆天皇
天皇こそ、今日の世界に稀有となった聖職者王だとし、「天皇は本質的に宗教というよりも、宗教的しきたりも含めて日本の文化の根源的な資質を保証する祭司に他ならない」という見解を示している。
そして、天皇に関わる事柄として日本人が一貫して継承してきたものは、神道が表象する日本という風土に培われた日本人の感性に他ならない。と天皇と日本人の一体性を論じている。
ジイは石原慎太郎という稀有な保守人材を亡くしたことは大きなショックである。
愛国心から『尖閣諸島を買い取る』と言えるような政治家はもう現れないだろう。
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