世界の混沌と日本

世界,日本,雑記

Vol.3.02.06-754   世界の混沌と日本
2022.02.06

最初、よく似た名前でアフガニスタンと勘違いした。今年1月カザフスタンで騒乱が起きた。

その原因は、政府が価格統制を撤廃したことによって、自動車燃料に使われるLPGの価格が約2倍に暴騰により市民の不満が爆発した。西部地域で抗議デモが始まり、全国に波及したというものだ。

トカエフ政権は価格統制の撤廃を延期すると発表したが、デモは終息しなかった。最大都市アルマイトなどではデモ隊と治安部隊の銃撃戦が起きるなど騒乱に発展。

トカエフ大統領は「外国で訓練されたテロ集団」が騒乱に関与していると主張し、ロシア主導の「集団安全保障条約機構」に支援を要請する一方、武力鎮圧を本格化し、数日で騒乱を鎮圧した。

この騒乱で約4,500人が負傷し、治安部隊19人を含む2250人が死亡している。かなり大規模な騒乱であったと推定できる。

新聞は、今回の騒乱をめぐっていくつかの疑問点を指摘している。
1、「テロ集団」は本当に実在したのか
2、中央アジアで最も政情が安定しているとされたカザフでなぜ騒乱が起きたのか
3、ナザルバエフ氏と、忠実な後継者と目されてきたトカエフ氏の権力構造は変化したのか

などを問題点としてあげた。

つまり、「テロ集団」なら、政権側は武力鎮圧を正当化できる。ただ、情報は錯そうしており、何者かがデモ隊に銃器を配っていたなどとする目撃証言も存在する。

デモを騒乱に発展させようとした勢力?が存在した可能性も排除されていない。

今回の事態は、燃料値上げに対する抗議デモであるが、そもそもソ連崩壊にともなって独立した国である。カザフスタンは何の準備もないまま独立した経緯から、ソ連時代の共産党幹部や軍人といったパワーエリートが権力を握り続ける構図をそのまま引きずっている。

その結果、政権は私物化され政権エリートが富を貪っていることで、市民に不満がたまりたまって爆発したという見方もある。

今回の大暴動の直接的なきっかけは年明けに政府が発表した燃料価格の上限撤廃にあるが、この決定は、政府の「価格統制をなくして市場経済化を推し進める」という方針に沿ったものである。

しかし、カザフスタンは大資源国で、輸出の約50%を原油・天然ガスが占める。「売るほどある」にもかかわらず、ガソリンなどの燃料価格がほぼ2倍に急騰したことに、カザフ市民の不満が爆発したということだ。

ジイはこの騒乱に便乗するようにロシアが主導する軍事同盟、集団安全保障条約機構(CSTO)の動きが気になる。

加盟国はアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタン。加盟国が攻撃を受けた場合に集団で自衛権を行使するというわけだ。ところが主導するのはロシアだ、ウクライナのクリミヤではないが、ロシアが紛争鎮圧を口実に軍事侵攻し、ロシアの影響力を強めようというのではないかと。

ソ連崩壊で多くが独立した。ソ連時代のあの夢をもう一度ではないが、再度ロシア傘下に、あるいはロシアに併合を目論んでいるのではないかと思うのは穿った見方であろうか。

今、現実にあるチベット、ウイグル、モンゴル、香港等の弾圧。ロシアのウクライナ戦争の危機、ミャンマーの1年に及ぶ内乱。すべて中露がからむ。

ミャンマーでは国軍のクーデターが起きて丸一年が経つ。国軍と市民との戦時さながらのゲリラ戦は継続中で、死者は1500人になる。治安の悪化と貧困は、市民を絶望に追い込んでいる。

平和への道筋を探ろうにも、ロシア、中国が後ろ盾となればミャンマー独自ではどうにもならない。すでに主導権は中露に握られているのではないかとさえ思う。

米ソの冷戦時代の方が世界は安定していた。今は <共産・独裁・テロリスト> VS <自由主義陣営> という広範かつ流動な対立軸の中にある。

こんなにも混沌とした世界情勢の中、いつも思うのは平和な日本である。竹島、北方領土が占領状態にあるが「竹島の日」も「北方領土の日」もほとんどの日本人は知らない。きっと、尖閣諸島を中国に占領されてもさして気にもしないかもしれない。

当事者である沖縄県知事から危機意識もそれらの発信すら聞かない。聞こえてくるのは辺野古移設反対の声ばかりだ。

ああ、日本よ!仮の平和でなければいい。今はただ、そう思うだけだ。

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