韓国大統領選
Vol.3-3.11-787 韓国大統領選
2022.03.11
やっと韓国大統領が決まった。
接戦とは知っていたが、何となくではあるが保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が勝つのではと感じていたがその通りになった。
文政権で冷え切った日韓関係改善に、少しはいいかもしれない。しかし、全く先が見通せないのが現実だ。
何しろ、国会では現与党が2/3の圧倒的多数を占めている。現与党の協力がなければ、国務総理をはじめとする閣僚の任命すらままならない。果たして5月からスムーズに新政権がスタートできるのであろうか。
今回戦った、イ・ジェミョン氏は接戦で0.?%の敗北であった。もめるかと思いきや潔く敗北は認めたことは少々驚きである。本人はまだ若く、次期大統領選に望みをかけ、醜いあがきは得策ではないと判断したのかもしれない。
それにしても韓国国民の政治参加意識にはいつも驚く。今回の大統領選の投票率は、77・1%。日本の衆議院選挙が55.93%だったことを思うとかなり高い。国家元首を直接選ぶというリアリズムに、韓国政治に根差すポピュリズムだろう。
ところで、尹氏の対外政策の軸は文氏と違って、日米韓の安全保障協力だ。文政権が一時破棄しようとした日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も維持すると明言した。
現在の日韓関係については「ムン・ジェイン政権が国益を優先するのではなく、外交に国内政治を持ち込んだため、国交正常化以降、最悪の状態に陥った」と述べ、ムン政権の対日政策を批判している。
そのうえで「価値と利益を共有して信頼を構築していく両国関係の新たな50年を描く」として、関係改善に意欲を見せている。
具体的には、首脳が相互に相手国を訪問する「シャトル外交」を再開し、慰安婦や「徴用」をめぐる問題、それに、半導体の原材料などの韓国向けの輸出管理を日本が厳しくした措置など、両国間の懸案の包括的な解決を目指すと強調している。
ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応を巡り「日米韓3カ国の緊密な調整が必要だ」とも述べた。
「私は対日外交を国内政治に利用しない」や、歴史問題を含む懸案の「包括的解決」を唱えるが、現実問題、1/3の勢力しかない国会でユン・ソクヨル氏が日本と国会双方を満足させられるとはちょっと考えられない。
ユン氏の言うように、冷え込んでいる日本との関係は未来志向で進め「両国が互いに協力関係を築いていく過程で過去の歴史についても真相を究明して、互いが整理して解決する問題にひざをつき合わせて取り組む必要がある」と述べたが、真相究明とはどういうことだろう。
今回の選挙でも違和感を感じたのが、候補者の集会で目にするのは大音量の音楽とともに踊るダンサーの集団。実はこれ、韓国の選挙では当たり前の光景だという。
<ユン・ソギョル候補のロゴソングの歌詞>
本物、本物、本物、ユン・ソギョルです。
完全に本物です。
ユン・ソギョルが現れました。
最近は厳しく、大変な世の中です。
信じられる人はユン・ソギョル。
国民の選択した候補、望んでいた候補。
今すぐユン・ソギョル。
<イ・ジェミョン候補のロゴソングの歌詞>
1から10までしっかり見ます。
生活の責任を負います。
私のためのイ・ジェミョンです。
もっと大きな未来へ手をつないで行きます。
イ・ジェミョンはやります。
イ・ジェミョンを選びます。
こうしたロゴソングが大統領選挙で使われるきっかけとなったのは、さかのぼること25年前。1997年の選挙で、選挙に関する法律が改正され、集会会場で音楽を流すことができるようになったということらしい。そこで、各候補は、歌に合わせて政策や自己PRをするというわけだ。
昔、金大中候補が人気ヒップホップグループの曲を使って若者に浸透し、勝利につながったことが一因になったとも言われている。
それ以降、大統領選挙ではロゴソングが積極的に活用されるようになり、どんなロゴソングをつくるのかが重要なのである。
<イ・ジェミョン候補のロゴソングの歌詞>
(髪の毛は)抜かないで、植えてください。
インプラントも支援します。
(就職活動の)面接支援、傷病手当は当然です。
全国民が安心できるように。
能力は必須です。危機をチャンスにして前に進もう。
<ユン・ソギョル候補のロゴソングの歌詞>
一生稼いで、マイホームの夢のために走ってきましたが
あまりに高くて諦めました、マイホームの夢。
貧しい人は家も買えない。
みんなが不幸な不動産政策を変えましょう。
というように何曲もロゴソングを作ってPRするようだ。
しかし、こじれきった日韓関係を考えると、個人的には反日家のイ・ジェミョン氏が勝利した方が良かったと思う。
イ・ジェミョン氏は筋金入りの反日家である。日韓関係が壊滅的に悪化し、国交断絶に近い関係を5年~10年経て、新しい日韓関係を作るという意味で、必要に応じて少しずつ始めるのである。
今回のねじれ国会では、ロシア、ウクライナ問題、中国、北朝鮮問題がからみ、変な妥協で日韓関係を維持しても結局元の木阿弥、良いことはない。
しばらくは様子を見てということにならざるを得ないが、岸田総理の冷静で毅然とした外交を期待したい。
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