ウクライナ侵略・5つの教訓

日本,雑記

Vol.3-4.8-815    ウクライナ侵略・5つの教訓

2022.04.08

 

キャノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏の「ウクライナ侵略・5つの教訓」とした産経新聞のコラム記事である。

タイトル通り、日本が学ぶべき教訓として書かれているのだが、とりたてて目新しいものではない。指摘されているのはある意味当たり前のことである。戦後の日本は経済一辺倒で、他の先進国が行ってきた基本中の基本防衛が抜け落ちている。したがって、自国の防衛上最低限の備えと心構えを説いたものである。

宮家氏の指摘は日本の無防備、平和ボケ、心構えなど基本的なことばかりだが、敢えて子供に教えるがごとく、丁寧に優しく、諭すように語っている。当たり前のことが如何に不足しているか、この度のウクライナ侵略で少しは日本も感じ入ったのではないか。

その、宮家氏の「日本が学ぶべき5つの教訓」である。

<その1>

専門家の予測が当てにならない。ということだが、今回においては日本だけでなくアメリカを除いてほとんどの国がプーチンの「決意」を予測できなかった。専門家においては豊富な知識と合理的分析を緻密にやる必要を指摘した。

<その2>

「戦う力がなければ国を守れない」ということに尽きる。と指摘した。ウクライナは何故ロシアの攻撃を抑止できなかったのか。それはプーチンに「楽に勝てる」と思わせてしまったからである。防衛力だけで敵は抑止できない。普段から戦闘力、特に攻撃力を強化しなければ、自国は守れないのである。

<その3>

今回の戦争の最大の特徴は米情報戦の巧みさだ。米国はロシア軍関連機密情報を惜しげもなく「秘密解除」し、ロシアを効果的に抑止した。戦場でウクライナ軍が効果的に戦えたのは、米国製最新兵器もさることながら、ロシが軍の位置や態勢について米国が正確な情報を提供したと思われる。日本にとっての教訓は、本格的「諜報機関」を持つ事。未だないのは信じがたいこと。

<その4>

ウクライナがNATOに加盟していれば、ロシアがかくも大胆に侵攻することはなかった。米国は「直接軍事関与」に至らないギリギリの線で止めている。ウクライナの実態は日本が米国と安全保障契約を結んでいる価値を証明していると言えるが、「同盟」が自動的に機能するとはかぎらない。とクギをさす。

<その5>

同盟を結んでいるからといって「自ら戦わない限り、同盟国は助けてくれない」。ゼレンスキー大統領のようにキーウにとどまり、強大と思われたロシア軍と果敢に戦った。侵略を受けても、自ら血を流して戦わないような国民を同盟国が本気で守ることはない。命を懸けて戦うからこそ、同盟国はその国を守るのだ。日本にとって最も重要な教訓である。

 

以上5項目であるが、宮家氏は最後の「自ら戦わない限り、同盟国であっても助けない」という当たり前のことを「日本人自身が認識しているか」ということだ。

日本人はほぼ戦争を知らない。「平和」という二文字に酔いしれてきた。今、急に心構えといったところで備わるものではない。政府が、政治家がまず変わらなければ、国民が変われるはずがない。共産党、立憲民主党を筆頭に、「敵基地攻撃能力」と言ったとたんに、思考停止になるようでは「戦時」の話など真剣な議論は期待できない。

憲法改正ですら「9条」に固執して一歩も前に進めさせない共産と立憲。この2党はまるで、拒否権しか行使しない、国連の中国とロシアのようである。

宮家氏の有意義な教訓を生かせるかは政治家の強い信念に基づいた実行力にかかっているわけだが、林外務大臣のゼレンスキー演説の居眠りに象徴されるように、意識改革そのものがかなり高いハードルである。

プーチンが今、日本に課そうとしている逆制裁に目を覚ますことができるか。あるいは、あまり想像したくないが、北朝鮮が日本領海もしくは本土近くにミサイルを撃ち込むか、あるいは中国が尖閣に上陸でもしない限り、政府を含め日本人を覚醒させる起爆剤は残念ながらないような気がする。

先行き短いジイだが、そのことが気がかりである。

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Posted by 秀木石