一律10万円の波紋
Vol.1-4.22-99 一律10万円の波紋
2020.04.22
公明党・山口那津男代表の直談判により「一律10万円の給付」が決定した。
武蔵野大特任教授・山内昌之氏のこのどんでん返しに至った舞台裏分析が面白い。
「ローマ建国史」を書いたティトゥリス・リウィウスの
「一番最後に投入されたものが、とかく、すべてを決定したように思われがちなのである」を引用し、公明党・山口代表の手際の良さをこの言葉になぞらえた。
すでに「収入が一定の指標を下回っている『世帯』に対して、一律で30万円の給付を行う」として補正予算案ができていたものをひっくり返したのだから凄い。
予算も8兆円増え、なんだか14兆円規模になるとやら大変なことだ。
30万円給付を取りまとめたのは岸田文雄政調会長。しかし、岸田氏は当初一律給付を訴えていたが、財務省の強い反対に押し切られた形で30万円給付を主導してきた経緯がある。
そこで今回のちゃぶ台返しには岸田政調会長も苦々しい思いには違いない。
この件に関しては、いつも抜群の調整を見せつけていた菅官房長官も関与できず、かすんでしまった感がある。
さらに、政府以上にアピールしていた小池百合子東京都知事の存在感を薄める効果も生み出したとする。等々、、、
また、ここしばらく、コロナ問題で存在がかすんでいた野党はこの時ばかりと朝令暮改などと政府を非難しつつも、10万円は我が党の主張だなどと発言できるネタを与えた。という効果もあった。
このように10万円効果は絶大な波及効果を発揮したのだが、その張本人、山口那津男氏は表舞台でそう見せない大人としての振る舞い。さらに首相の大きな決断をたたえ、財務省の新補正予算作成の労苦への配慮を見せた。と山内教授はその表現と演技力を高く評価した。
山口代表は、連立の解消も辞さない覚悟で交渉したのであろう。大きな存在感を示した格好だが、この波紋の広がりによっては公明党の立ち位置にも影響する可能性がある。
自民党内の結束が今後どう動くのか、微妙なひずみが波動となり、流れが変わらないともかぎらない。
政権交代への恐れはないが、今後の、憲法改正、皇室典範改正、都議会選挙、安倍総理の任期、衆議院選挙、次期総理候補、今後の公明党との関わり等々、重要課題が山積みだ。与党自民党内で決断できなかったこの「一律10万円給付」問題、お金だけの問題に止まらず、自民党政権運営上決して小さくない。
当面与党としてコロナ終息までは一丸となっている姿を見せなければならない。しかし与党内に入ったヒビの状態にもよるが、場合によってはスムーズな政権運営に支障がでる可能性はある。
安倍首相は、この1、2ヶ月、コロナ終息と与党内の修復という二つの課題を抱えたのではないか。
それにしても、この得体の知れない ¨バイ菌野郎¨ どこまで暴れるつもりか。
その内思い知らせてやる。