“ ペロシ訪台 ” 中国の脅しに屈せず

世界,日本,雑記

Vol.3-8.4-933   “ ペロシ訪台 ” 中国の脅しに屈せず

2022.08.04

ペロシ下院議長は、中国の恫喝ともいえる圧力に屈せず台湾を訪問した。

3日には、台湾の蔡英文総統と会談し、自身の訪台は米国が台湾を見捨てないことを明確に示すものだと伝えた。

蔡総統は
「ペロシ氏が重要な時期に台湾を支援する具体的な行動を取った」と謝意を表明。「軍事的脅威が高まっているが、台湾は引き下がらない」と米国に呼応するように強い意思を示した。

また、「ペロシ氏は台湾の最も献身的な友人の一人であり、国際社会での揺るぎない支持に感謝する」とも発言。今後も「台湾は信頼の置ける米国のパートナーであり、安全保障、経済発展、サプライチェーンの分野で引き続き米国との協力を強化していく」と、さらなる関係強化に努める意思を示した。

ペロシ氏は蔡総統との合同記者会見で、
『一つの中国』の原則を尊重しながら「米国は現状を支持しており、力によって台湾に何かが起こることを望んでいない」と発言。緩衝剤としての “ 一つの中国 ” を入れることも忘れなかった。その上で米国と台湾の連携はかつてないほど重要との認識を示した。

中国王毅外相は
「中国の主権を悪意を持って侵犯し、政治的な挑発を公然と行い中国人の強烈な憤慨を引き起こした」と反発、「米国はすでに、台湾海峡の平和と地域安定の『最大の破壊者』になっていると」と非難。

早速報復が始まった。

◆3日、オレンジなどのかんきつ類、タチウオとマアジの輸入停止
◆天然砂の台湾向け輸出の一時停止
◆台湾を支援している企業に対し、中国企業との取引の禁止、、、を打ちだした。

驚いたのは、今回、北朝鮮がいち早く反応したことだ。

KCNAによると、北朝鮮外務省の報道官は、台湾問題に対するいかなる外部勢力の干渉も「強く非難」し、中国を「全面的に支持」すると表明。「内政に公然と干渉し、領土の一体性を損なう外部勢力の動きに対抗措置を取るのは、主権国家の当然の権利だ」と述べたという

北朝鮮は国連安保理からいろんな制裁を受ける中で、中国の後ろ盾がなければ生きられないというのが実態。吠える番犬の役割を担うことになったのかもしれない。

中国はこの度のペロシ氏の台湾訪問は、訪問前から過度に反応をしていた。
1、外務省の趙立堅報道官は「中国の内政に対する乱暴な干渉で、中国の主権と領土保全を深刻に損なう」と強調、習近平主席の「火遊びをすれば必ず焼け死ぬ」との言明に触れ釘をさした。
2、7月末からは東・南シナ海で軍事演習、福建省の周辺海域で実弾射撃訓練などをして「厳しい警告」を発した。
3、2日には軍事訓練を前提に南シナ海への船舶の進入を禁止、「戦闘準備完了」を強調、いつでも戦う用意があるとばかりに強烈に牽制した。

なぜそこまで過敏に反応するのか?、中国は、ペロシ議長を「米政府第3の人物」で、大統領も無視できない力を持つ権力者だと認定しているが故の強行姿勢である。

中国はリアリズムを重視する国。そんな重要人物の台湾訪問を気安く認めていては、大国のメンツが立たないということだ。

それを押しのけての訪台にペロシ氏の覚悟を感じる。

中国外交部の華春瑩報道官は2日、はいつもの口調、いつも通り、
「台湾海峡の緊張の全責任は米国が負わなくてはならない」、
「米国の政客は誤った行動で先例を作るべきではなく、台湾問題で米国が過ちの上に過ちを重ねてはならない」と非難した。

台湾近海での軍事演習が4日から7日までの間に行われる。中国が発表した、台湾を囲むように示した軍事演習の配置図は、台湾なんぞ “ いつでも ” “ 簡単に ” 我が物にすることができると誇示している。

台湾海峡が一触即発の緊張に包まれるとの観測がある。中国は米国が “ 世界の警察官 ” をやめたと宣言したあたりからアメリカの弱さを認識、どんどん強気の姿勢に出るようになった。昔から、弱気には強気に、絶対的な強き者には手を出さない。まさしくリアリズムに徹しているのが中国。

ペロシ氏はそこを見抜いている。 ここは、ペロシ議長の気概に敬意を表したい。

日本も少し見習っていただきたい。

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