利用されたペロシ訪台

世界,日本,雑記

Vol.3-8.7-936  利用されたペロシ訪台

2022.08.07

中国の “ 思う壺 ” にはまったか。

今になって考えると、中国の異常とも思える、ペロシ訪台反対行動。

台湾統一は中国の核心的利益と公然と言い放つ中国。どう攻めればいいか、攻めあぐんでいたのは事実だ。香港も手に落ちた。残るは台湾と尖閣諸島。チベット、モンゴル、ウイグル自治区は目下懐柔中。

中国はペロシ訪台を “ 飛んで火に入る夏の虫 ” と捉えた。

異常なまでに怒りを表したのは、中国の核心的利益を守るため台湾周辺での最大規模な軍事演習が必要である。さらに、今後も日・米からの攻撃に、軍隊の常設が不可欠だとの理由づけをするためである。

今回に関しては時間を置けば実行不可能になる。“ 決定は即実行 不徹底は我々の敵 “ だと言わんばかりに、大規模にそれも国際上の制約を無視した行動だった。

“ 台湾略奪実戦訓練 ” の始まりである。

本来、軍事訓練は周辺国に迷惑をかけないでやるのが国際常識。

今回、中国が行った軍事訓練は国際法上許される範囲を超えた。自分流軍事演習で、領海も中間線も、EEZもお構いなし。文句を言おうものなら、「定まったものではない」の一言ですべて中国流で強行した。

演習は迷惑どころか、一般の航空機でさえ台湾及び海峡周辺を回避する形で飛行ルートを変えざるを得なかった。間違っていつものように台湾近海の上空を飛ぼうものなら、敵の攻撃として撃ち落されるのがオチだ。

すでに、日本のEEZ内に5発ものミサイルが着弾した。日本は犬の遠吠えのように一応抗議をしたが、馬耳東風である。

中国人民解放軍が台湾の周囲を取り囲んで実施している大規模軍事演習は6日、開始から3日目に入った。訓練の配置図をみれば完全包囲である。

台湾の国防部は6日、中国軍の航空機と艦船が同日午前、台湾海峡の周辺で活動を行い、その一部が「中間線」を越えて台湾側に入ったとし、今回の軍事演習は「台湾本島に対する攻撃の模擬訓練」と指摘した。

いまさら言う事でもないが、中国は将来の「台湾統一」をにらみ軍事的な圧力を強めているのは明らかであるが、今回ばかりは力の入れようが違う。

このチャンスを逃すまいとばかりに、今回の演習を「実戦的合同演習」と位置付け、陸海空軍やロケット軍を総動員している。

中国軍に属する国防大学の孟祥青教授は6日までに中国国営中央テレビで、台湾周辺での演習について「常態化するかどうかは『台湾独立』勢力と米国によって決まる」と述べ、米台の出方次第で、中国側が演習を「常態化」することを示唆した。

今回は台湾海峡の中間線を越えて行われていることが特徴だと伝えている。 中間線は、中国大陸と台湾を隔てる台湾海峡のほぼ中央に設定。偶発的衝突を避けるための事実上の境界線という暗黙の了解があるとされてきた。 だが、共産党機関紙、人民日報系の環球時報は、今回の演習に関し「中国軍の辞書に、いわゆる『中間線』はないとはっきりと示した」とする軍事専門家の見方を伝えた。

中国軍は、ペロシ議長の訪台を台湾海峡の現状変更を図る機会と捉え、演習を通じて中間線の形骸化を狙ったのだ。

これらの動きをみてみると、まんまと中国の作戦に利用された感がする。

80歳になるペロシ議長を米国第3の実力者と位置付け、
①ペロシ訪台は中国に対する最大の脅威である。極めて挑発的だ
②台湾だけでなく近隣諸国も威嚇しようとした
③危機を作ったのは米国で、緊張を激化させているのも米国だ
④後戻りできない事態だ

こうして針小棒大に受けとめ、過去にない軍事演習を強行した。できれば、軍備配置を常態化することによって常に、一発触発の危機を誘発し、その際は「攻撃をしかけられた」から、やむを得ず「防衛的攻撃」に出た。そのどさくさに乗じて一気に台湾を完全制圧しようというのではないか。

この5日に開催されたG7の外相会議の共同声明「中国を不当に非難、中傷し、内政に乱暴に干渉した」と主張。日本に対し「台湾問題で重大な歴史的な罪責を負っている。言行を慎むべきだ」と批判した。

5日ASEANと日米中露など計18ヵ国が参加する東南アジアサミットがカンボジアで開かれたが、その席でも先鋭化する “ 米中対立 ” が顕在化する中、日本の林外相の演説が始まると王毅外相はロシアのラブロフ外相と共に退席するというパフォーマンスも演じた。

この一連の動きを見ても、“ 台湾有事は日本有事 ” であることを現実に示した。

いよいよ、中露対G7との対決姿勢が鮮明になった。

中国は、ペロシ訪台を台湾攻略のチャンスと捉え、「現状変更と新常態」を狙ったのだ。

ブログランキング・にほんブログ村へ