中国とロシアの秋から冬

世界,日本,雑記

Vol.3-9.21-981  中国とロシアの秋から冬

2022.09.21

中国とロシア、懸命に蜜月を装うが、時折吹く冷たい秋風が寒い冬を予感させる。

「ロシアのプーチン大統領は16日、ウズベキスタン・サマルカンドでの上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせ、インドのモディ首相、トルコのエルドアン大統領とそれぞれ会談した。

プーチン氏はモディ氏との会談冒頭で『ロシアはウクライナでの紛争に対するインドの懸念を理解している』と述べた。その上で「ロシアは紛争ができるだけ早く終わるよう全てのことをしているが、ウクライナが交渉を拒否し、武力で目的を達成しようとしている」と自説を主張した。

モディ氏は「印露関係は良好になっており、それは世界全体の利益となる」としつつ、『現代は戦争の時代でない。平和に向けた道を話し合いたい』とウクライナ侵攻の停止を求めた」

一方中国に対してプーチン氏は
「この半年間で世界は劇的に変化しているが、変わらないものが一つある。それは中露の友情だ」と蜜月をアピール。

それに対し習主席は
「激変する世界で、中国はロシアとともに大国の模範を示し、主導的役割を果たす」と応えた。

しかし、ウクライナ情勢については「中国の中立的立場を高く評価する」と述べ、中国がロシアを完全に支持していないことを暗に認めた。

このインド及び中国首脳で交わされた2つの言葉は重い。

インド、中国共にウクライナ戦争に否定的である。ここにはアメリカの楔が効いている。プーチン氏も自国軍の疲弊を考えれば、ウクライナ戦争を終わらせたいのが本心であろう。だが、大義名分がない。インドはともかく、中国との絆は命綱であり決しておろそかにできない。

しかし今は、中国の秋の党大会の行方を見守るしかない。その結果次第でロシアは自らの身の処し方が変わってくる。習主席が3期を平穏無事に乗り越えることができるか、プーチン氏にとって他人事ではない。ウクライナ戦争の終結、ロシアの将来、自らの命を左右する大きな問題が待ち受けている。

そこで、中国である。

10月の中国共産党大会を前に不穏な動きである。ベテラン党員3人が党指導部への権力集中や個人崇拝の動きを批判する文書を発表したのだ。

『文化大革命の悲劇を繰り返すな』、党大会で異例の3期目入りを目指す習近平総書記を暗に批判、文書は党大会への提案として書かれ、中国の人権問題を扱うサイト「維権網」に8月25日に公表された。党員歴30年を超える党員3人の連名で、身分証や携帯電話の番号も掲載されているという。

え~、そんなものに身分証や携帯電話も掲載するんだと驚いたが、さらに署名・指印もあるというから3人は命がけと見る。

文書の内容である。

① 党委員会の権力が過大になり、その範囲が広くなっていると問題提起
② 党幹部の収入が民衆より大幅に高い
③ 司法が新型コロナウイルス対応の責任を誰一人問うていない
④「個人崇拝禁止」が “ 有名無実化 ” している
などとし、「真に禁止したいなら、相応の制裁や罰則を設けることが必要」だと指摘、「さもなくば文革の悲劇が繰り返される可能性がある」と訴えたのだ。

これだけ痛烈に批判すれば、タダでは済まない。中国の徹底した弾圧いうまでもない。。

この文書が公表されるや間もなく閲覧できなくなった。

習政権下での言論封殺は厳しさを増しており、国際人権団体の調査では、
① 自宅軟禁された事例が数十万件に達した
② 刑事訴訟法の改正で当局は最大6ヶ月間、恣意的な自宅軟禁を可能にした
今後3年間で100万件を予測している。

今年に入り天津市長や河北省副省長、遼寧省大連市副市長らが相次ぎ急死。自殺の可能性もあるという。

ここにきて、習指導部は治安部門の取り締まりを強めている。9月1日には、習指導部への忠誠心の欠如があったとして、国家安全部幹部を務めた劉彦平氏の党籍と公職が剥奪された。民主国家では考えられない政敵排除の掟は厳しい。

中国とロシア、お互い似た者同志、同床異夢にも似た思いで秋を迎える。

いよいよ中国・秋の党大会。ウクライナ戦争、中露関係と世界の行方。2022年激動の “ 秋 ” が来た。

ブログランキング・にほんブログ村へ