円安は景気回復の神風だ
Vol.3-11.20-1041 円安は景気回復の神風だ
2022.11.20
7~9月期のGDPは前期比マイナス成長になった。メディアの多くが景気悪化を喧伝し、「悪い円安論」をふりかざす。だが、実際は逆である。円安は日本経済再生の追い風となり始めている。
というのは、産経の論説委員田村秀男氏である。
田村氏は
「GDPの主要項目である設備投資はほぼ一貫して円安とともに上昇している。コロナ感染で低調だった家計消費は昨年10月~12月期以降上向いている。家計は物価高の逆風に耐えている」
「設備投資に加え、賃上げが進むようになれば、消費は着実に拡大し、経済はしっかりとした拡大軌道に乗るだろう」と。
今がその正念場だという。
経済のダイナミズムを生むのは何と言っても設備投資である。とし、円安は企業収益を上げる起爆剤となり得る。ただ、継続は力なり、どこまで続くかが問題だ。
「SMBC日興証券の集計によると、10日までに発表を終えた東証一部上場1048社の令和4年9月中間決算の最終利益は前年同期比14.2%増の18兆3054億円で、中間期として過去最高となる見通し」
さらに、円安の今は越境電子商取引(EC=Electronic Commerce)を使った日本製品の海外販路拡大のチャンスだというのだ。
ECとは、ネット通販、ネットショップなどだが、
<越境ECとは:多言語多通貨対応している通販サイトを通じて行う国際的な電子取引のことです。基本的には、海外の消費者に向けて日本の商品を販売するビジネス形態>
つまりネットでどんどん海外に販売しろということか。
企業は平成20年のリーマンショックや23年の東日本大震災後の円高で収益力を失い設備投資を縮小した。その後、収益を増やしても内部留保を優先、設備投資には腰が引けてきた。
長く続くデフレ、アベノミクスは日銀によるゼロ金利政策をとり続けたが、消費増税及び緊縮路線で物価も賃金も上がらずじまい。
今回円安で設備投資が上向きだが、持続するかがカギになるという。
収益増を維持するには130円から140円前後で安定することだという。
しかし、アメリカがまた大幅の利上げをすると困るが、いまのところ利上げは縮小の気配だ。ところが、日銀・黒田総裁は来年4月で退任する。ここでマイナス金利政策が打ち切られると円高に動くというシナリオになってしまう。ただ、ここはデフレ脱却のため頑張ってきたのだそう簡単には緩和基調を崩すことはない。という見方だ。
そこでだ、ここで安定した円安が定着し、堅調な設備投資を継続させるべく、金融緩和政策を維持し、さらに企業が設備投資意欲が湧くように緊縮財政から積極財政に転じれば、日本企業は息を吹き返すというわけだ。
そこで問題は、企業がコスト上昇分を適正に販売価格に転嫁し、企業に収益をもたらした分を賃上げで還元しなければ本来の景気上昇にはつながらない。
円安はチャンスなのだ、政府は財政出動で景気を刺激し、設備投資、技術革新、越境EC、企業収益増加、賃上げと連鎖すれば長いデフレからやっと脱却できるかもしれない。
この円安を追い風とすれば30年も続くデフレから脱却し新たな日本が見えてきそうだ。
官民そろってここは協力する必要がある。日本に軸足をおいた経済システムを構築できれば、日本経済は改めて世界のトップに躍り出るのも夢ではない。今が本当にチャンスかもしれない。
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