強いヤツと戦いたい

スポーツ,世界,日本,雑記

Vol.3-12.16-1067  “ 強い相手としか戦わない ”

2022.12.16

年末のビッグイベントは何と言っても井上尚弥の4階級制覇を賭けたイギリスのバトラーとの世界戦だった。

12月13日(火)有明スーパーアリーナで行われた、WBA・WBC・IBF・WBO 世界バンタム級王座統一戦は、井上尚弥が11回TKOで勝利。バンタム級初、日本人・アジア人初の4団体統一王者となった。

早い回での、KOが期待されたがそこは最後の “ 王者 ” 、簡単には取らせまいと徹底して防御に出た。

ファンは今か今かとKOシーンを期待したが、バトラーは11ラウンドという長いラウンドをよく持ちこたえた。

満を持して、狙いを定めた第11ラウンド、井上尚弥はダメージが蓄積したバトラーをメガトン級のパンチでマットに沈めた。

見事なKOで今年最後を最高の形で締めくくった。

過去にない長い試合、さすが井上尚弥もインタビューで「疲れた」と口にした。11ラウンドまで井上の一方的試合。あれだけ打てば疲れるだろう。

日本人・アジア人初、なおかつバンタム級は初、1本ずつの4団体統一も史上初の偉業。まさしく歴史的な一戦だった。場内は満員御礼。偉業達成に相応しい舞台となった。

ただ、残念なのはこの一戦が地上波でも衛星放送でも見られなかったことだ。動画配信サービス「dTV」の独占放送とはいかがなものか。世界のビッグイベントといってもいい大会でかつ日本発信である。列島一丸となって応援できなかったのがなんとも悲しい。

ただ、金もうけだけでいいのか。こんなことが続けばファンは白けて逃げてしまう可能性だってある。「dTV」は反感を買うだけで、好感度は決して上がらないだろう。

まあいい、ここは世界の賛辞に浸ろう!

◆ 米スポーティングニューズは、
「結果的にはイノウエがファンを楽しませる一方的な試合だった」と表現。「ナオヤ “ モンスター ” イノウエが圧倒的TKOで歴史をつくった」と称えた。

◆ 米スポーツ専門局ESPN電子版は、
ボクサー100人のランキングを掲載し、24連勝を飾った井上を1位に選出。WBOウェルター級王者のテレンス・クロフォード(39戦無敗、30KO)やヘビー級3団体王者のオレクサンドル・ウシク(20戦無敗、13KO)らを上回る評価を下した。

◆ バトラー陣営の関係者は、
「イノウエのショットは銃声音のよう」と “ 恐怖体験 ” を告白。防戦一方のスタイルに批判も集まったが、「『それを受けてみろ』と言いたくなる」と反論。

◆ 「コンピュボックス」公式ツイッターは、
井上―バトラー戦のデータを紹介。それによると、着弾数は井上が151/665(うちボディー59)、バトラーが38/301(うちボディー22)。井上は実に倍以上の手数を出し、151発も当てている。ラウンド別の着弾数ではバトラーが初回に「0」。つまり、井上はパンチを1発ももらうことなく立ち上がり3分を戦い、最大でも3回の8発という被弾の少なさで11ラウンドをこなした。

◆ 米スポーツ専門局「ESPN」英国版のデビッド・カートリッジ記者は、
「イノウエのこの試合最大の戦いは、自分自身の興味を失わないことだった。バトラーではない。立ち直る力を見せ、稀に見る長い試合となった。突風が壊滅的に(試合を)終わらせた」と驚きを伝えた。

◆ 米スポーツ専門局「FOXスポーツ」オーストラリア版などで番組ホストを務めるベン・デイモン氏は、
「ナオヤ・イノウエはポール・バトラーを追い回さなければいけなかったが、捕まえ、モンスターの餌食にした。バンタム級世界4団体統一王者が階級は今、階級を上げるぞ」と早くも将来に期待した。

◆ 英国の元プロボクサーのスコット・カードル氏は、
「イノウエ半端ない! バトラーにとっては残念だった」と脱帽した。

◆ 世界で最も権威ある米ボクシング専門誌「ザ・リング」も圧勝劇を速報
「もう一つのベルト、母国のファンの前でもう一つの勝利、そして、世界最高のボクサーの一人が再び圧倒的なパフォーマンスを披露した」。

◆ 英紙「インディペンデント」は、
「残酷な右フックがボディに入ると、素早いパンチが頭に着弾。バトラーがついに倒れた!」と決着の瞬間の衝撃を伝えた。

◆ 英ラジオ局「トークスポーツ」も、
「英国人は、非常にネガティブで守備的なアプローチながら、出来るだけ長く生き延びたが、冷酷なコンビネーションで倒され、起き上がることができなかった」とバトラーの完敗を報じた。

昨日の夜、NHKの番組、「プロフェッショナル」なる番組を見た。主は井上尚弥である。

番組を見てある謎が解けた。
13日の世界の大イベント「井上尚弥 VS バトラー」を見ていて、最初に井上尚弥を見た時、いつもと違う井上をジイは感じた。獲物を狙う鋭い眼と跳躍するような血の動きが感じられなかったのだ。従って何だかわからないがモヤモヤ感が消えなかった。案の定ラウンドは11回を数えた。

第11ラウンドの猛攻で一応納得のいく決着ではあるが、世界も想定内の反応だった。彼の「強い相手としか戦わない」という信条からはずれていたことを確信した。ベルトのためのやむを得ない試合だったのだ。

来年プロフェッショナルとして新たな挑戦が始まる。

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