戦争と平和と防衛国会

日本,雑記

Vol.4-1.20-1100    戦争と平和と防衛国会

2023.01.20

新年度予算案などを審議する通常国会は、今月23日に召集され、その日のうちに岸田総理大臣の施政方針演説などが行われることが決まった。

会期は、6月21日までの150日間となる。

この通常国会、新年度予算案などの審議になるが、間違いなく “ 防衛費・費用増額 ” が大きな焦点になることは間違いない。

先日の岸田首相の訪米でもわかったように、日本の防衛予算を2023年度からの5年間で総額43兆円、27年度にはGDP比で2%に増額する。バイデン大統領はこの決定を称賛し、同盟国としてやっと現実的対応に喜びを表した。

それは良しとし、政策シンクタンク代表・原英史氏がここ数年の防衛費に対する新聞各紙の報道実態を提示し、デタラメな報道がデタラメな政策論争・政策展開をもたらしていると警鐘をならしている。(2014年~2021年)

※「防衛予算5兆円超へ 概算要求過去最大」(2014年産経)
※「防衛予算5兆円超要求 過去最大」(2015東京)
※「16年度予算 防衛相が5兆円要求 過去最大」(2015毎日)
※「防衛相、1兆円計上へ 来年度予算の概算要求、過去最大」(2016朝日)
※「防衛予算 過去最大 5兆1911億円 北の脅威に対処 安倍内閣連続増」(2017読売)
※「防衛予算過去最大の4兆円超 21年度概算要求」(2020日経)
※「防衛予算、過去最大の4兆円 22年度予算案 10年連続中国に対抗」(2021読売)

以上のように、新聞各紙、賛成・反対の表明は違えどどれも『過去最大』と報じてきた。

ニュースでも報道される「一般会計の歳出額」。1950年代(昭和25年代)には1兆程度。それが現在は100兆円である。

原氏が示したグラフによれば、昭和30年1兆円の予算に対して約13%が防衛費ということは1300憶円になる。現在の予算総額が100兆円ということは、100倍になったわけだから単純に考えれば13兆円になる。この額を超えれば過去最大という表現は正しいと言えるのかもしれない。5.4兆円はその半分にも満たない。

原氏が言いたいのは、一般会計予算が毎年上がっているのに、防衛予算は実質下がってきている。表層だけをみるのではなく、全体の予算額による割合で見るべしと言うのである。

もっともな話ではないか。それからすれば、1955年代の防衛予算は一般会計経費13%強あったものが、2022年度は一般会計に対して4.99%と5%を切っている。20年以上も前に国防費は中国に抜かれている。お隣の韓国はとっくにGDP比2%を超えている。

今回政府が出した、「5年で43兆円」に対しても「歴史的な増額」(朝日)などのように根拠のない批判をし、政策論争を混迷させてはいけない。という。今は「歴史的低水準」であることを各紙は報じないと、論争を間違った方向に導くと警鐘を鳴らす。

原氏は「増税は安定財源」かと言えば、厳密には間違いだとも指摘した。
本来財源には
①増税 ②歳出改革 ③外国為替資金特別会計の含み益 ④国債償還ルール見直し ⑤経済成長 ⑥新規国債発行 これらを検証し透明性の高いプロセスで検討すべきだという。

ただ、岸田首相は将来につけを残さない。とも言っている。現代に生きる人間の責任でと言うことで増税がもっとも分かりやすいということなのだろう。

ただ、今国会で無用で非建設的な議論だけはやめていただきたい。事態は緊急を要する防衛問題である。危機は明日かもしれないのだ。新聞各紙もマスコミ全体に言えることだが、世論をミスリードして国全体を混乱に導くようなことがあってはならない。

今国会は、与野党共に、近未来に起り得る危険を真正面に捉えた真剣な議論をしなければならない。決して政争の具とすべきではない。

戦後、日本は戦争、防衛に関する議論をはれ物にさわるように忌避してきた。今国会こそ、現実論として “ 戦争と平和 ” を真剣に考えながら “ 防衛 ” のあり方を議論していただきたい。

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Posted by 秀木石