国会・現実的議論を

日本,雑記

Vol.4-1.26-1102  国会・現実的議論を

2023.01.26

国会審議が始まった。

ロシアの大規模攻撃が予想され、ウクライナ情勢は緊迫度を増している。

ドイツは、「レオパルト2」の供与の強い要望があるにもかかわらず、ショルツ大統領は煮え切らず慎重な姿勢を崩さなかった。しかし、ドイツ製の「レオパルト2」を保有する、フィンランド、ポーランドが前向きな姿勢を示す中、アメリカもショルツ政権に供与を促すためについにエーブラムス供与を表明した。

各国の強い要望にドイツは重い腰をやっと上げ「レオパルト2」の供与に転じた。

ロシアは当然のように強く反発。
世界はウクライナ戦争を核として自由主義対独裁国家の枠を越え、中国、北朝鮮、果ては中南米ブラジルの混乱、ミャンマー、イラン、アフガニスタン、トルコ等々穏かな国内状況にない。冷戦時代は、アメリカ、ソ連がにらみあいの中にあってもそれなりに安定していた。しかし、今は違う。

中国が台頭し、ソ連崩壊とアメリカの力が相対的に弱体化し、世界は安定を欠いた状況にある。その世相を象徴するようなウクライナ戦争である。

世界は極めて不安定で深刻なゆらぎの中にある。

日本の通常国会は、そのような世界の動きと無関係でいられるはずがない。

しかし、立憲民主の安住氏は防衛費議論より、少子化が重要課題だという。

立憲・泉代表は、防衛政策を大きく転換させる「反撃能力の保有」「防衛費GDP比2%」を記載したことは、大きな問題であり、立憲民主党は容認できません、と言い切った。

そして、政府与党の反撃能力についてこう懸念を示した。
(1) 政府見解では、「我が国に対する攻撃の着手」があれば、先制攻撃にあたらないとされているが、正確な着手判断は現実的には困難であり、先制攻撃とみなされるリスクが大きい。
(2) いわゆる存立危機事態において、我が国による相手国領域内への攻撃を否定していない。
(3)「反撃能力の行使は、専守防衛の枠内」と述べているが、その態様が日米同盟の盾と矛の関係を変えるものであるならば、それは専守防衛を逸脱する可能性がある。我が国は、日米同盟の基本的役割分担を維持し、自衛隊の装備体系および運用は「必要最小限度」でなければならない。

以上のことから、立憲民主党は、自公合意に基づく政府三文書の「反撃能力」には賛同できません。 というのである。

また立憲民主党は、「政府が示した、防衛費を5年間で43兆円、5年後にはGDP比2%の約11兆円に倍増させようとする方針は、積み上げになっていない「数字ありき」の額であり、合理性に欠けている。」と指摘した。

ある記者の
「他党には北朝鮮や中国、台湾有事など、今の日本の置かれている状況を踏まえて防衛費を増やして、防衛力を強めようという声もありますが、これについてはどう思いますか。」という質問に

泉代表は

「単純に自国のことだけを考えるのは近視眼的、全体を見てない」
「自国の防衛力を高める」と自国で言ったとしても、周りの国が『日本が攻撃力を高めた』と捉える可能性もある。そうすると他国もまたそれ以上に、軍事力を拡大するかもしれません。その競争に日本は耐えられるんですか、それで本当に安全なんですか、ということは問いたい」

「ただ単に周辺国と軍事力で競争するんですかと、そこを問わなきゃいけない。」

泉氏は周辺国の軍事費や軍備がどのような状況になっているのか認識はないのであろうか。
遥か彼方にある中国と競争?なんてできるはずもない。安全?が先に立てばすべてNOになる。

日本の防衛白書は、
① 中国は国防予算を1992年度から30年間で約39倍に増やし、軍事力を大幅に強化しした。世界一の軍事力を誇る米国に迫る勢いである。
② 日本の防衛費は1998年度頃、中国の国防費とほぼ同規模だったが、その差は年々拡大し、2022年度は中国が日本の6倍以上となり、米国の約半分に迫っている。
③ 1998年度から2022年度の伸び率は、中国の10.7倍、米国が2.9倍、日本は1.8。習近平・ 国家主席は、今世紀半ばまでに「世界一流の軍隊」を築くとの目標を掲げている。
④ 中国軍の中距離弾道ミサイルや極超音速ミサイルなど一部の能力は、すでに米軍を上回っているとも言われている。このほか、人工知能(AI)を搭載した無人機の開発や訓練など、先端技術の軍事への導入も積極的に進めている。

泉代表の「日本が攻撃力を高めたと捉え、他国もまたそれ以上に、軍事力を拡大するかもしれません」と危惧する。

泉さん???大丈夫?

中国は世界一の軍隊、防衛を目指すことを宣言している国である。防衛白書を見れば一目瞭然である。何を寝ぼけたことを言っておられるのであろうか。

ウクライナ戦争を見て日本の明日を心配しないのであろうか。台湾の前に無人島である尖閣諸島をまず占領するのではないかという懸念さえある。

台湾有事対策は喫緊の課題である。野党として、有意義な防衛提案や「有事対応はこうあるべきではないか」というような具体的提案ができないものかと思うが。

戦後77年、平和であった。その平和は憲法9条のお蔭であり、決して米国の核の傘のお蔭とは間違っても考えないのであろう。改憲には反対、軍備増強も反対。まずは「少子化対策、子育て支援」という。それも大事である。

しかし、日本が無くなっては、少子化対策もできない。

戦後77年、防衛をすべて米国に任せてきたツケは、日本人の精神をも堕落させ、今、何が大事なのかも理解できず、“ 平和 ” という空虚な言葉に縛りつけられている。

昭和の時代、戦争、防衛、憲法改正等の議論そのものが忌避されてきた。教育勅語を肯定しようものなら大臣の首が飛ぶ時代だった。立憲はまだその残滓を引きずっているのではないか。

平和は尊い、しかし何もしなければ自然にやってくるものではない。中国のように、堂々と世界一の軍事大国になると宣言する国がある。

一国で自国を守れる時代ではなくなった。共通のイデオロギーであったり、価値感を共有できる国同士が連携して平和を維持する必要がある。

無法は許さないと、口でいうだけで世界は御することができるほど簡単ではない。武器を持つな、核を持つなと今さら言ってもすでに独裁国家北朝朝鮮はその核で世界を威嚇しているのが現実である。

きれいごとで済まない世界の現実を見る時、それなりの防御をもって向き合わなくてはならない。わが国は平和国家です「すべて話し合いで」で、済めばこんないいことはない。

西暦元年以来2023年以来、戦争がなかった世紀はない。そのことを頭に入れ、現実的国家を形成しなくてはならない。いつまでおユートピア的国会論議は卒業した方がいい。

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Posted by 秀木石