~東日本大震災~12年目の覚悟

世界,日本,雑記

Vol.4-3.18-1117   ~東日本大震災~12年目の覚悟

2023.03.18

2023.3.11、東日本大震災から12年が経った。

今の実感は複雑である、「はや12年か」という思い「まだ12年か」という思い、どちらもしっくりこない。あらゆる面で震災の後遺症があるからだ。

今も帰還困難地域があり、避難者は30,884人にのぼる。

“ はや12年 ” と過去の苦難に思いを馳せる気になれないのは事実だ。

津波災害による原発事故がなければごく普通の災害復興の足音が聞こえ、希望が見え始め、安堵と共に将来の光が見える頃である。

津波による災害事故ではあったが、原発事故の大きさを改めて知る思いである。

今から186年前、アルフレッド・ノーベルが桁外れの破壊力を持ったダイナマイトを発明した。
ダイナマイトの発明によりトンネル建設などの土木工事に画期的な力を発揮した。 しかし、どの時代も破壊力は戦争に利用される運命にある。ご多分にもれずダイナマイトは大量の殺人兵器として戦争に利用されたのである。

その後、ダイナマイトを凌駕する原子爆弾ができるのだが、その元となる元素としてのウランが発見されたのは今から234年前、日本の江戸時代である。本居宣長が古事記伝の刊行を始めた1789年頃のことだ。

発見したのはドイツの化学者で「ウラン」と名づけたのが始まりである。
そのおよそ1世紀後の1896年には、フランスの物理学者が、レントゲンが発見したX線にヒントを得て実験を始め、ふとした偶然から「ウランには他からエネルギーを与えられなくても放射線を発生する能力(放射能)がある」ことを発見したのが、現在の原子力につながる始まりである。

その後、研究は進み、開発に大きな力を与えたのが1939年に始まった第二次世界大戦だった。

いわゆるアメリカ主導によるマンハッタン計画だ。原子爆弾開発・製造のために、科学者、技術者を総動員して原子爆弾が製造された。1945.7.16に世界で初めて原爆実験が行われ成功したのだ。そしてついに世界で初めて実際の戦争でその破壊力を試したのだ。悪魔の爆弾は不幸にも日本、広島・長崎が標的になった。

あまりの破壊力の大きさに、開発者は戦争抑止のための開発であったと悔やんだが、戦争の時代である、開発したものを使いたいという欲望は理性をも破壊した。

人類は破壊力においてダイナマイトを遥かに越える原爆に行き着いたのだ。

しかし、原爆はダイナマイトと違い、放射能という危険な性質を有していた。

地球上で最大の破壊力を持つ “ 原爆 ” 。開発したのがロバート・オッペンハイマ―である。彼は極めて先駆的なブラックホール研究から原爆開発へと至った経緯がある。宇宙で最も強力なブラックホールから考えを得たとすれば現地球上で最強のエネルギーと考えざるを得ない。

このエネルギーが平和利用に限定されるなら、本当に “ 夢のエネルギー ” になるはずである。

発電コストが安く資源枯渇の恐れが少なく、二酸化炭素を出さない発電法として原子力発電に優るものはない。何と言っても、使用後の燃料の最大97%が再度燃料として再利用できるのである。

放射能という危険な物質を有しているとはいえ、この強力なエネルギーを利用しない手はない。

このエネルギーを導くまでに200年以上を要している。人類の英知の結晶をたった1回の事故で忌み嫌い、逃げてしまっていいのか。高い機能を有するものほどリスクが高いのは道理だ。危険部分を完全に制御できる方法を確立してこそ完璧なエネルギーとなる。開発したのが人間であるかぎり、究極の安全管理の取説を完成させなくてはならない。

ノンフィクション作家松浦信也氏が

「本当に原子力発電は危険なのか」とのネット上で問いかけている。

正確には「原子力発電は危険」なのではなく「原子力には原子力特有の危険性がある」ということだ。

例えば、「発電の結果発生する核廃棄物は10万年間、環境中に漏れ出さないように保管する必要がある」という事実がある。必要なのは、科学に基づいて定量的に物事を考えること。そして、すぐに答えがでないからといってめげることなく考え続けることだ。と言っている。

先人たちは200年考え続けたではないか。

今、人間は “ 夢のエネルギー ” が出す処理水の処理に頭を悩ましている。
日本はその処理水の海洋放出が間近に迫っている。

※ 経済産業省のHPである。

Q3:海洋放出は安全な処分方法なのでしょうか?

ALPS処理水の処分に当たっては、
①トリチウム以外の放射性物質を規制基準以下に浄化した上で
②海水でトリチウム濃度を希釈することで、放射性物質の濃度を、規制基準を大幅に下回るレベルにします。トリチウムについては、規制基準の1/40(WHO飲料水基準の約1/7)以下にします。さらに、実施に当たっては、安全性を確保すべく、放射性物質の濃度を確認した後、福島第一原発から海洋に放出します。加えて、放出前後の状況は国際機関など第三者が確認します。 また、トリチウムの海洋放出については、世界中の数多くの原子力施設で実績があり、安全性に関する世界共通の考え方に基づいて実施されています。

※海洋放出による環境への放射線の影響について、国際的な手法により東京電力が評価した結果、極めて軽微であることが示されました(ALPS処理水をこの処分方法で海洋に放出した場合の1年間の放射線の影響は、自然界から受ける放射線の影響の数万分の1と非常に小さいと評価されています)。本評価の技術的な妥当性については、原子力規制委員会の確認と第三者の立場としてのIAEAによる評価を受ける予定です。

日本はいずれのケースでも、 年間のトリチウムの放出 量は22兆ベクレルの範囲 で放出を行う 希釈後のトリチウム濃度 が1,500ベクレル/㍑未満 となるように希釈する ことを前提としてる。とある。

日本国民の目、世界の厳しい目が向けられている中、IAEAの厳しいチェックがある中、さらに日本はより低濃度での放出しようとしている。影響が完全にゼロとはいえないが、ほとんど影響のない状態での放出である。我々は日本の姿勢、取り組みを十分信じていいのではないか。

処理水放出に反対をしているのは、中国・ロシア・韓国である。
彼らは、自国の処理水を放出してないのかと言えばそうではない。

2019年のデータだが、
~ 中国・韓国の2019のトリチウム処理水放出 ~

◆韓国
<月城原発> 液体31兆Bq 気体110兆Bq
<古里原発> 液体91兆Bq 気体23兆Bq

◆中国
<寧徳原発> 液体98兆Bq 気体1.0兆Bq
<陽江原発> 液体107兆Bq 気体1.2兆Bq
<泰山第三原発> 液体124兆Bq 気体114兆Bq
<紅沿河原発> 液体35兆Bq 気体1.9兆Bq

今回の日本が計画している処理水を十分上回る水準で放出している。この時、日本は問題にしたであろうか。ジイは寡聞にして知らない。

〇日本の立場は・・・人の健康及び海洋環境に悪影響を与えるような形での放出は認めることはない
〇米国・・・日本は透明性をもって意思決定し、国際的に認められた基準に沿い対応してきた
〇ミクロネシア・・・以前に国連総会で述べたほどの恐れや懸念はもはや有していない

※反対派は
●中国・・・海洋環境と人類の健康に関わる
●ロシア・・・日本は近隣国と十分な議論をしなかった
●韓国・・・原発事故で発生した汚染水が海に放出される

国際基準を満たした処理水であるにもかかわらず、自国の放出を棚に上げ、この対応には悪意を感じてしまう。

先ずは、日本国民が国家とIAEA(国際原子力機関)の示した対応を信じ、自信をもって世界に発信しなければならない。日本人が自らを信じないで、福島と東北と日本の真の復興はありえない。

島嶼国も理解を示してくれている。

  • ネットを見れば、経済産業省・資源エネルギー庁、東京電力他各電力会社、電気事業連合会、日本原子力発電、日本原子力文化財団、J-POWERなどが、原子力、ALPS水、トリチウム、放射能、ベクレル、シーベルト等々あらゆる疑問に答えるべく、丁寧な説明がある。われわれはそれらを見ることでも理解は深まる

原発と聞いてやみくもに恐れてもいけない。誰かが、正しく恐れよといったが便利になった世の中だ、ネット検索で多くを知ることができる。

今回の海洋放出で、“ 風評被害 ” を絶対に起してはならない。今は、すべての商品において汚染された物はないし、放出による海洋汚染もほとんどないといっていい。

国民が一致団結し、メディアが率先して風評被害払拭の旗振り役を担ってこそ、日本人に安心感が広がり、世界にも安心が伝染していくだろう。ところが不思議なことに一致団結できない人がいる。人間の難しさである。

戦後、驚異的な復興を成し遂げたように、福島を乗り越える力は日本にある。それは、現場から逃げずに立ち向かう覚悟と使命感を日本全体が共有することだ。

繰り返すが、この春から夏にかけ放出する。現在も過去も、海への放出は国際原子力機関が定めた基準以下にして世界は放出してきた。今回もIAEAの厳しい審査を経て放出するのである。特別文句を言われる筋合いはない。原子力を利用する国には必ず処理水は出る。その放出は人類に影響がない程度に希釈して海への放出は現段階での世界標準である。

経済産業省とエネルギー庁の熱意をもった説明努力も必要だが、先ずは我々国民がIAEAと国を信じ、国難を乗り切ろうと団結する覚悟が必要ではないか。

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