国家と国益というワードが消えた日本
Vol.4-9.18-1137 国家と国益というワードが消えた日本
2023-09-18
国家と国益という概念が日本から消えてしまったようだ。
最近は、反国家的発言を現職の国会議員が、あるいは地方の首長が堂々とする。あるいは世界に向けて発信する。
日本は民主主義国家である。発言の自由も行動の自由も制限されるものではないが、国策として、あるいは国家的事業として全国民が一丸となるべき事業に対して、理路整然とした反論ならともかく、あるいは建設的意見ならまだ許せる。しかし、一端の政治家が口にする、あるいは行動を起すのであれば多くの国民が「なるほど」それも一理あると、一定の理解を得るものでなくてはならない。
ジイが幼少の頃はあり得なかったことが、戦後78年の平和は日本人を完全に変えてしまった。
今、戦後最大の危機と言われるが、真剣にその理由を説くのは一部の政治家や心あるジャーナリストだけだ。巷でそんな話をしても一般国民は「キョトン」とするばかり、耳を傾けるものは誰もいない。TVをはじめとするメディアも真剣に取り上げることはない。ワイドショーでのコメンテーターも一応口にはするが、切迫感は皆無である。
関心のあるのは今日のガソリン価格であり、食品の値上がり、月に一度旦那が手にする給料の額である。
その国益に反することを象徴するようなことが最近起こっている。しかし反感どころか、どこ吹く風程度で大きな国民的議論に発展することはない。
国益とは逆の方向にある一人の人物が維新の会の鈴木宗雄氏だ。
その発言を追ってみると
2/25
「ロシアに対して経済制裁はすべきでない、意味もない。それより停戦、話し合いの場を作ることだ」と発言。
その上で、経済制裁をやめるメリットについて問われると
「日本の国益に北方領土がある。経済制裁をやめれば、北方領土が返ってくる」と主張。
(これに対してはロシア出身のタレント・小原ブラス氏が
~ロシアは2020年の憲法改正で『領土の割譲を禁止する』という項目がハッキリと明記されたので、それはあり得ない~と切り捨てた)
3/15
ロシアのウクライナ侵攻を巡り「原因を作った側にも幾ばくかの責任がある」と述べ、ウクライナ側にも責任があるとの認識を示した。
5/2
今年の大型連休中にロシア訪問を計画していた鈴木議員の訪露を維新の会は止めた。
当たり前に考えれば、この時期に国会議員の「ロシア訪問」と聞いて「あっそう」と許可するはずがない。ウクライナを無法に侵略し戦争中である。さらに日本はロシアに制裁を科している張本人である。「はい、行ってらっしゃい」と送り出すバカがどこにいる。子供でも分かりそうな問題を理解することができない。
ロシア訪問に関して鈴木氏本人は
『国民に行かないで下さい、だから国会議員行っちゃダメだ』という短絡的な取り方をしている人がいますけどね、事実はそうじゃない。
『政治家としての考え方や立ち位置で動いていることを理解してほしい』と訴える。
8/14
昨年2月の侵攻以来、メディアなどを通じ侵攻はウクライナ側にも非があるとした上で即時停戦を訴える発言を繰り返す
8/17
歴史的にもロシアと北朝鮮は緊密な関係です。日朝関係を考える時、ロシアの重要性を感じます。ロシア、中国、韓国、北朝鮮は隣国です。遠くの親戚より近くの他人が大事です。未来志向の外交が今求めれている。隣国とは折り合いを付け仲良くやっていくこと
9/15
ロシアプーチン大統領と金正恩北朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長が13日午後会談についてのコメント
<プーチン大統領と金正恩総書記が会談した冒頭のあいさつを長文で引用>
「プーチン氏が『尊敬する委員長閣下!再びお目にかかることができ嬉しく思います』と呼びかけ、金総書記が『ロシアは今、国家主権を守り、ロシアに敵対する覇権主義勢力から自国の安全を守るための神聖な闘いに立ち上がっています』と応じたことを詳細に紹介し
「プーチン大統領と金正恩委員長双方、極めて配慮されたものいいであり、対等の関係、立場を演出している。プーチン大統領の気配りが伝わって来る」と評価した。
もう開いた口が塞がらないとはこのことだ。ただ、子供のように純粋で真剣に信じ切り、一切の疑問を持たない大人ほど始末の悪いものはない。
鈴木議員が長年にわたり北方4島返還に関わってきたのは事実である。しかし戦後78年が経った。過去に比し、ここ数年のロシアの動きは大きく変わった。
ウクライナ侵攻以前まで、決して日本がロシアをないがしろにしてきたことはない。それにもかかわらず、憲法を変え領土の他国への譲渡を禁止した。日本との返還交渉に終止符を打ったのだ。
さらに、北方領土を我がものとして諸外国に投資を呼びかける始末だ。後退どころか完全にロシア領土として世界に発表したも同然。過去の歴代の首相が最大限の微笑外交など何の役にも立たなかった。それがロシアである。もうこの期に及んで返還交渉は不可能、戦争という手段以外に取り戻す手立てはない。
鈴木議員の数々のコメントを見る限り、まるでドンキホーテ、自己陶酔の世界である。
彼の頭には “ 冷徹 ” という外交認識はない。相手を理解し、歩み寄って話し合えば何とかなる。そんなドリームしかない。残念だが鈴木氏を夢から救い出すのはほとんど不可能に近い。
このウクライナ侵攻にも「ウクライナにも非がある」とロシアの肩を持つ。『非』など探せばいくらでもある。非の打ちどころがない100%の正義などありえない。
何代もの首相が “ 今度こそ ” と努力を重ねてきたロシア外交。すべては日本を利用するための手段でしかなかったと理解できる。唯一4島奪還のチャンスはソ連崩壊時の大胆な交渉しかなかったのではないかと個人的には思う。今後ロシアの崩壊があるとすれば2度目のチャンスということになる。
ところで今回プーチン大統領と金総書記の首脳会談。大国ロシアが北朝鮮を迎えるなど普通ならあり得ない。極東の極悪国家・北朝鮮にも “ すがらざるを得ない ” ほどロシアは苦しいということだ。
その二人の会談を賛辞する鈴木氏。頭の中をのぞいて見たいが、信じ切るほど強いものはない。維新の会も大切な “ 一議席 ” に手を焼かなければいいが、次回の選挙が見ものである。
◇もう一人の反・国益が沖縄県知事・玉城デニー氏である。
産経新聞によれば
「スイス・ジュネーブで18日から開かれる国連人権理事会の会議で、国の方針を完全に否定する米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対表明する」
「辺野古移設は日米両国が交わした重い約束事だ。米軍基地を国内のどこに置くかは、国の専権事項である安全保障政策に属する。憲法は地方自治体や首長に安保政策や外交上の合意を覆す権限を与えていない。」
「米軍基地は日米同盟の抑止力を形成する重要要素だ。知事がその配置に、国際機関の場で異論を唱えるのは、県民を含む日本国民の安全という国益を損なう」
さらに「中国政府に沖縄への影響力を強めたり、国と県を分断したりする思惑があってもおかしくない。それを防ぎ、県民を含む日本国民に安心を与えるのが自衛隊と在沖米軍の存在だ」と産経新聞は報じた。
玉城氏は徹底した日本嫌いに見える。中国には領海侵犯されようが、尖閣沖にミサイルを落とされようが中国への強烈な抗議など寡聞にして聞かない。しかし自国の日本政府に対しては辺野古移設に関連し、13件もの訴訟を起し対国家には異常な情熱を燃やす。
今月4日には米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設工事を巡り、最高裁判決で、県の敗訴が確定した。にもかかわらずまだ訴訟中の「サンゴの移植などをめぐる別訴訟」で国には反対姿勢を続ける覚悟だ。
前述のスイス・ジュネーブで行う「国連人権委員会に訴えるスピーチ」には当然だが反対論は多い。
自民党県連も
「国内法秩序をないがしろにしかねない言動は厳に慎むように」
県連幹部は
「移設計画を巡る県民の意見はさまざまで、国内で議論すべき問題だ。国際社会に無用な誤解を与えてはならない」と国連でのスピーチを疑問視する意見を出したが、聞く耳は持たない。
玉城氏はどこの国の人間であろうかと疑う。日本への愛情は微塵も感じられない。玉城氏の反国家的行動は沖縄への強烈な愛情への裏返しなのか。
Wikipediaの情報は、
日本国家には徹底して反対していくが、お隣中国の「一帯一路構想」には「日本の出入り口」として沖縄を活用することを提案して中国の胡春華国務院副総理から賛同を得ている。
また
2022年11月7日、中国共産党系機関紙、環球時報のインタビューに歴代の沖縄県知事として初めて独占インタビューに応じ、その中で米軍基地の負担問題や普天間基地移設問題について語るとともに、沖縄と福建省の琉球王朝時代から600年以上の歴史を強調し、交流をさらに強化することの重要性を述べる。2022.11.26には、福建省と沖縄県の友好都市25年を記念する式典に出席し久米三十六姓の琉球への移住は、沖縄の文化・経済の発展に重要な礎を築いたと述べた。
とある。どうも沖縄の未来を中国・琉球省を目指しているのではないかと疑う。
玉城氏の頭の中には
① 沖縄先住民
② 本土決戦で悲惨な目に遭った
③(にもかかわらず)基地負担はすべて沖縄が背負わされている。
そんな屈折した被害者意識が根底にあるのだあろうが、真の狙いをどこに置いているのか甚だ不安である。
玉城知事だけでなく、沖縄の2大新聞も左傾、すべてが左に傾く中で今回の国連人権委員会でのスピーチもそちら系のNGOが支援したうようだ。
昔から沖縄のイメージは、琉球、南国、本土とはちょっと違うイメージがあるが、外国というイメージはない。しかし沖縄に住む人には本土にはない原体験がある。
① 本土復帰が27年も遅れた
② 米軍基地がある日常
③ 沖縄本土決戦の悲惨な記憶、・・・それらは沖縄に住んでいない本土人との間にある乖離と認めないわけにはいかない。本土人の怠慢による無知もあるが沖縄を理解する政府の努力も足りなかったのではないか。
1970年にノーベル賞作家・大江健三郎氏によって書かれた『沖縄ノート』も少なからず国民の意識に残ったと思われる。あれから36年後の2006年に発行された『沖縄戦・渡嘉敷島書かれた<集団自決>の真実』は、結果的に『沖縄ノート』の欺瞞を暴く作品になった。
『沖縄ノート』には大江氏の沖縄に寄り添おうとする心情が強いが上に事実を冷静に判断できたか疑わしい。曽野綾子氏のこの本は事実の一つ一つを、誠実にかつ冷静に見つめ直すという極めて慎重な検証によって書かれた本である。と同時に正義という概念とも直面した苦労作である。沖縄ノートと併読する価値がある。
いずれにしても沖縄には特殊な事情がある。27年間本土復帰が遅れた時間の流れはそう簡単に埋まらない。しかし復帰後50年は有に過ぎた。相も変わらず真っ赤に染まったままで特殊な地域色を脱することはない。
ある沖縄に詳しい方との話の中で「沖縄の男は働かないんだよね~」と笑いながら話された記憶がある。2002年3月31日に特別に制定された沖縄振興特別措置法で優遇されているだけではない、沖縄には特別な琉球の血が流れているのであろうか。
国益に関してはもう一人の政治家を上げなければならない。
ご存知の通り、毛沢東を崇拝し、リニア新幹線に反対する静岡県知事・川勝平太氏である。
産経新聞によれば、
「リニア中央新幹線静岡工区を巡り、川勝平太知事が『水』に続き、今度は『土』の問題で反発を強めている。JR東海の工事残土置き場の計画地について『深層崩壊する可能性がある』と再考を要求。・・・災害は100年に一回という規模で考えるべきだ」というのだ。
盛り土の耐震能力も県の2倍以上とした。
(JR東海は)深層崩壊と100年に一度の洪水が同時に発生した条件でシュミレーションし、下流の山小屋には影響がないとの結論が出た。燕から最寄りの山小屋まで直線で約5kmあり、人家はさらに離れている。
・・・急斜面に積み重ねただけだった熱海の盛り土に対し、燕は平地に積み、30cmごとに圧力をかけて固めるなど対策を施す方針だ。国の有識者会議では「熱海の(盛り土)とは根本的に違うという。
またもや荒唐無稽の話を新たに持ち出し反対する。まるで今回の中国の “ 汚染水 ” と呼ぶ悪意ではないが、『絶対に通してなるものか』という凄まじい意気込みを感じる。川勝知事がいる限り令和9年度の一部開業は絶望的である。
リニア新幹線が成功すれば、アメリカ大陸を縦断する壮大な商談に発展するかもしれない。アメリカを縦断するリニア新幹線を想像しただけでもワクワクする。まさに国家的事業の妨害である。
中国の『一国二制度』の考えを発展させ『一国多制度』をつくることができればとどこまでも中国に寄り添う。その意味では日米の発展は意に反することなのであろう。
国家・国旗・国歌と国とつくものをすべてを『悪』のレッテルを貼って拒否してきた日本。
“ どうした家康 ” は今年の大河ドラマだ。戦国時代の殺し合いはロマン。明治・大正・昭和の戦争は侵略戦争というレッテルを貼り、8月は毎年一億総懺悔となる。
広島平和公園の石碑には「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と記されている。アメリカが落とした原爆は、まるで日本にすべての責任があるかのような言葉にはどこか違和感を感じる。
明治、大正、昭和の歴史を戦争だけで断罪する戦後の歴史教育は歪である。本来日本が有する2000年以上の豊かで多彩な歴史を何故誇りとして教えないのか。
誇り高き歴史を教えないがために、多くの若者が欧米に目がいき、自国の豊かな歴史や文化に目がいかない。
上記に記した3人のように国益を考えない国賊が堂々と政治の世界を跋扈する。それを異常と考えない人間の増えたことよ。
自国を愛せない人間、日本はもとより世界の国からも決して敬意を抱かれることはない。
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