ロシア侵略2年、ウクライナの勝利こそがすべてだ

世界,日本,,雑記

Vol.5-2-24-1148
2024-02-24      ロシア侵略2年、ウクライナの勝利こそがすべてだ

2024.2.24でロシアによるウクライナ侵略は2年になる。
侵略が始まった当初、ロシア侵略が連日報道された。時が経つにつれ報道回数は減り、百家争鳴の知識人や評論家論争もいつの間にか消えた、いろんな意見が飛び交う中、ウクライナは『自国民を守るために降伏しろ』という、日本ならではの平和主義者もいた。不謹慎な言い方だが、そんな争鳴も懐かしい思い出になりつつある。

しかしだ、現実は2年が経過した今がウクライナにとってもっとも厳しい正念場に立たされている。

巷でささやかれる支援疲れに始まり、自由陣営のリーダーであるアメリカの分断である。共和党の反対によりウクライナ支援予算が通らないという非常事態である。現実に武器不足からウクライナの劣勢が伝えられ、東部の村アブデーフカからの撤退を余儀なくされた。

この厳しい状況下においてもウクライナ世論は70%の国民が戦争続行に賛成の意思を示した。驚くべき祖国愛の根底にあるのは『戦いをやめればウクライナ国家がなくなる』という恐怖である。

戦い続けて2年、ウクライナの死者7万人、ロシア12万人を数える(米政府データ)。戦況が膠着状態にある原因の一つは民主主義陣営のリーダーであるアメリカがウクライナ支援で国内の意思統一ができないという事態にある。ロシアにとっては朗報、自由主義陣営には大きな痛手、自由主義社会を牽引してきたアメリカ、EU体制は転換期を迎えたかもしれない。

2年前、欧米、日本などの民主陣営は ❝ 力による現状変更は許さない ❞ ❝ 民主主義を守り抜く ❞ と一致団結したのではなかったか。ウクライナのGDPはギリシャ、ベトナム、カザフスタンよりも低い世界56位、ロシアの1/10である。軍事力に至っては比較にならない。欧米の支援がなければとっくにウクライナはロシア領になっている。支援部隊トップにあるアメリカの揺らぎは自由陣営の弱体そのものを象徴している。国連の機能不全も含め民主主義存立の危機である。自由と民主主義を標榜する国々は、危機意識を共有し組織の抜本的改革を真剣に議論する必要がある。

民主主義危機の出発点は、2012.5にプーチンが2度目の大統領に就任した時からだ。その1年後の2013.9月、アメリカ(オバマ大統領)は『世界の警察をやめる』と世界に宣言した。その時プーチンは、ロシア崩壊の屈辱を晴らすためのチャンス到来とみたのではないか。天然ガスなどのエネルギーを国策とし、ドイツを抱き込みヨーロッパをエネルギーで篭絡、ヨーロッパ全土をエネルギーで急所を押えた。侵略後はこの武器を最大限に生かし、欧州諸国を混乱に陥れたのは周知の事実だ。

相対的に力を落としていったアメリカだが、ソ連崩壊でロシアは大国にあらずと見くびったのかもしれない。おっとどっこい中国、イラン、北朝鮮等々悪の枢軸の結託、他にも ❝ 金 ❞ で動く国は数多くあることを忘れてはならない。特に権威主義国家はトップの判断で瞬時に結束する。まるでアロンアルファのようにだ。

2012.12月から8年の長きにわたり政権を担当した安倍晋三元首相は、弱体化するアメリカを補強するかのように民主主義体制を強化する動きをした。

自由、基本的人権、法の支配といった価値観を積極的に発信し、❝ 自由で開かれたインド太平洋構想 ❞ は自由主義陣営の基本構想として定着した。ルールを重視する『TPP』は経済安全保障の一面を持つ。アメリカが離脱するも安倍首相は世界をリードし、まとめ上げたことは日本への信頼を高めた。その後の安全保障への備えとしての『クアッド(日本、アメリカ、オーストラリア、インド)』、軍事同盟である『オーカス(オーストラリア 、イギリス、アメリカ』などはアメリカだけに頼らずグループで安保体制を整える動きに変わった。

ウクライナ支援予算が通らない実態をみるにつけ、いつまでもアメリカだよりでは生きていけないことを真剣に考えなければならない。特に日本はそうだ。
日本の良いところはいっぱいある。

① 世界で最も安全な国
② 世界第三位の経済力がある豊かな国
③ 敗戦後79年にわたり戦争のない平和な国である・・・
だが、これら戦後復興の成果は愛国心の喪失と独立国家忘却の上に築かれた砂上の楼閣である。日本有事の際、ウクライナのように強靭な祖国愛で守られることはないと見なければならない。何しろ有事の際、自分は祖国のために・・・は世界最低の13%である。

ウクライナ侵略2年に際し、ウクライナ出身のNHKディレクター、ノヴィツカ・カテリーナ氏の記事がある。

彼女はキーウ大学日本語学科を卒業後、慶応大学に留学。2019年にNHKに入局した。

祖国がロシアに侵略を受けたのはその3年後だ。テレビに映し出される祖国の惨状を目にしたカテリーナ氏は動揺し涙を流した。

それまで「私は愛国心あふれる人ではなかったし、ごく普通のウクライナ人でした。あの日までは」
昨年秋、新たな番組制作のため約1カ月にわたり首都キーウに帰郷。故郷は様変わりだった。

ミサイルの攻撃跡、手や足を失った軍人、戦死者の葬儀・・・

友人の死、街の壁には戦死者の写真、広場には追悼のための小さなウクライナ国旗が無数に立つ。5年ぶりのキーウに当時の面影はなかった。

「誰もが大切な人を失った悲しみを抱え、精神をすり減らしている。強いはずだった父は些細なことで感極まり涙を見せる一方、母は一切泣かなくなった。『それでも、みんな一生懸命生きている。まるで明日が来ないかのように』

『世界からの目がなくなればウクライナはなくなるという恐怖が常にある。それが今の私の原動力なんです』と語った。

日本人もウクライナの平和を願ってくれる。
ただ価値観や歴史が異なる日本人との考え方の違いに戸惑いも感じた。日本では平和の前提である『戦う』『勝利』という言葉に抵抗があり、理解されにくい。」

「ウクライナ人も平和を望んでいる。誰も戦いたくて戦っているわけじゃない。でも、国を守るために戦って勝利しなければ、平和は訪れない」

ジイは昨年12月のドキュメンタリー「私の故郷 ウクライナ」というNHKの番組を見た。うっすら覚えているのはNHK職員の対応だ。彼女の「・・・日本では平和の前提である『戦う』『勝利』という言葉に抵抗があり、理解されにくい」と言う言葉に凝縮されている。

彼女の平和への道程と日本人が思う平和の概念が天と地ほど違うのだ。

日本人、それも若い人は生まれた時から今日まで穏やかな ❝ 平和 ❞ の中にあり今もそうだ。国語辞典にある、平和=「もめごとや対立・騒動などがなく、穏やかで落ち着いていること』以外に考えが及ばないのである。

ウクライナが攻撃を受けた惨状を目にしても『応援する!!必ず勝って』『負けちゃダメ!』という言葉は発想できない。彼女が瞬時に胸に描いた『戦って必ず勝利する』という心情に寄り添うことはできない。『戦う』という言葉が出たとたんに「それはダメ」というのが日本人。かといって別の慰めの言葉があるわけではない。ただ、「大変だね、早く平和がくるといいね」という情けなくなるほど空虚な言葉しか持ちえないのが日本人である。彼女にとってみれば、『どうしたら平和がくるの?』と問いたい気分だろう。その問いに答えられる日本人はいるのだろうか。NHKというエリートが集まる組織であってそうである。あまりにも悲しい。

長い間ソ連の支配下で辛酸をなめてきた民族の「平和、民主主義、独立」への渇望の歴史の差が及ぼす価値観の差は大きい。

日本も7年に及ぶ占領下を経験している。この7年に徹底的に日本=侵略者=罪人という認識で洗脳された。国を守る軍隊も作らさず、日本の歴史の良き部分を抹殺された。アメリカ製の憲法を改正すらできず79年、祖国のために戦った兵士が祀られる墓地に天皇が、総理大臣が、参拝できない国が世界のどこにある。参拝でもすれば、日本の(洗脳が溶けない)マスコミが問題にする?不思議な国である。『日本=侵略者=罪人』という洗脳が未だに溶けないという世界でも珍しい天然記念物国家である。

そういう国で育った若者が靖国神社に敬意を抱くはずがない。

確かに日本は島国で農耕民族としの歴史をもつ。かの昔から海に囲まれ、敵国の侵略もなく穏やかな民族としての暮らしからもともと平和を何千年も享受してきた。その血は今も根底に流れていると思う。他国と比べて穏やかで親切という人柄には誰もが認める人種ではある。

しかし、明治以降欧米の植民地支配の東方への広がりには国家としての危機感は相当なものであったろう。現代の感覚だけで日露、日清戦争、大東亜戦争(太平洋戦争)を批判するなかれだ。

敗戦後、7年に及ぶ ❝ 占領と洗脳 ❞ 、その後現在に至るまでアメリカ軍の駐留による国土防衛がなければ、日本の輝かしい経済発展はなかった。平和と経済発展と引き換えにしたのが日本人としての誇りや伝統に裏打ちされた歴史である。脊柱管を抜かれた日本に本当の痛みは理解できない。

少なくともアメリカの洗脳政策に同調していなければ、どこの国にもある国旗・国歌を愛し、国家を守る国軍に敬意を払い、国家に捧げた命に誰もが感謝するあたり前の独立国家としての誇りを日本人も持ったに違いない。

麗澤大学特別教授・織田邦男氏新聞のコラムがある(産経2/14)。
「・・・留学生の英空軍将校に質問したことがある。『英国ではアヘン戦争をどのように教えているのか?』と。筆者を凝視して静かに答えた。『義務教育では教えていない』彼は続けてこう言った。『なぜ、義務教育でアヘン戦争を教える必要があるのか。義務教育での歴史教育は、子供に対し先人が示した気概を教え、国家との一体感を育成し、大英帝国のために尽くそうという志を育むのが目的だ。アヘン戦争は英国の歴史の中でも義務教育の題材としてはふさわしくない』と。これを聞いて目からうろこが落ちる思いがした」という。

アヘン戦争18世紀末~19世紀、イギリスで茶を飲む習慣が広まり、中国茶の輸入が増加 → 茶の対価を綿製品で払うが綿製品が売れずイギリスは貿易赤字で出た差額を銀で支払うため、大量の銀がイギリスから清に流出 → イギリスは清から銀の回収をはかるため → 植民地のインド農民に栽培させたアヘンを清へ → 清ではアヘンの吸飲が広がって、アヘン密貿易が増加 → 清はアヘンの対価として茶だけでは足りず、差額を銀で支払う 清から大量の銀が流出し銀が暴騰、経済が混乱す → 清はアヘン貿易を禁止する → イギリスが反発 → アヘン戦争勃発 → 清は敗れ香港など割譲>

果たして日本はどうか、「軍の命令での慰安婦動員」「南京事件」「軍艦島の強制労働」「韓国併合(植民地支配)」「はだしのゲン(漫画)」等々事実でないもの、あるいは日本を貶めるための創作歴史を教科書で教える。英国とは真逆の教育である。

※上記に関する書籍(◇パール判事の日本無罪論・南京事件の総括:田中正明 ◇1937南京攻略戦の真実:東中修道 ◇閉ざされた言語空間:江藤淳 ◇世界がさばく東京裁判 ◇親日派のための弁明:金完燮 ◇慰安婦性奴隷説を ラムザイヤー教授が完全論破:J・マーク・ラムザイヤー(未読)

 

日本人はどうしてこれほどまでに祖国を愛せず自らを痛め続けるのであろうか。また、新聞、TVがこぞってそれを後押しする。他国ではありえないことだ

コロナが落ち着き、日本は人気の旅行先になっている。しかし、この日本人の心の真実を知ってなお諸外国は日本に尊敬の眼差しを向けるのだろうか。

ウクライナの出身のNHKディレクターカテリーナ氏の「平和を勝ち取る」という心に寄り添うことができなかったNHK職員は日本の教育の犠牲者とみることもできるが、日本が歪な平和教育で育った人材が外務省、マスコミや教育界、法曹界等あらゆる組織の中枢に入っている。もう誰もこの脊柱管溶解不感症に対する特効薬を持ち合わせない。

その象徴的姿は最近の政治家にも見られる。

ロシア・反体制派指導者:アレクセイ・ナワリヌイ氏が収監先の刑務所で不審な死を遂げた。
誰が見てもプーチン大統領が関与した暗殺であろうと推測するのが普通である。
バイデン大統領は:ナワリヌイ氏は「汚職や暴力に勇敢に立ち向かった」「間違いなくプーチンに責任がある」と非難
ハリス副大統領:プーチンのさらなる蛮行を示すものだ
フランス・マクロン大統領:ナワリヌイ氏の死はクレムリンの弱さと敵対者への恐れを示している
EUボレル外交安全保障上級代表:ロシアの指導部と当局の責任を追及する
岸田首相:沈黙

北方領土の日も竹島の日にも決まり文句は発したものの、特別なメッセージはない。竹島の日の式典には今年も政府要人の出席はない。

日本のリーダーが明確なメッセージを示せない日本に誰が国家のために真剣に考えるであろうか。その昔、日本は ❝ 顔が見えない ❞ と揶揄された。安倍氏に日本の顔がやっと見えるようになったところでまた元の木阿弥に戻った。

しかし、NHKディレクターのカテリーナ氏の『伝えなければ 祖国がなくなる』『ウクライナを忘れないでほしい』と切実な思いとは別に、東京に住む避難民を対象としたアンケートに、戦争終結後も日本残留希望が9割に達するというのに少々驚いた。東京という便利な街での避難ということもあろうが、「祖国の力になりたい」との思いを持ちつつも安全で便利な街への心地よさに慣れてきた避難民は、頭では「祖国のために戦わねば」とは裏腹に、慣れ親しんできた温かな羽毛(平和な環境)から飛び立つにはそれなりの覚悟が必要とする気がする。

とはいえ、現地ウクライナでは ❝ 生きるか死ぬか ❞ の厳しい環境の中でも7割近くの国民が祖国奪還と自由を守るために戦うという意思を示した。祖国愛に満ちたウクライナ国民には心から頭が下がる思いだが、長い困難な歴史を背負って生きてきたということに思いを馳せなければ真に寄り添えない気がする。

戦場は厳しい。しかし『降伏はウクライナの滅亡を意味する』とカテリーナ氏はいう。願わくは、❝  ウクライナに平和を ❞ というありきたりのメッセージではなく。❝ 侵略者を追い払い真の独立と自由で平和なウクライナを ❞ という具体的なメッセージを日本のリーダーが出さなければウクライナ人を勇気づけることはできないだろう。

自国の独立と自由を守るために命を懸けて戦うウクライナを敗者にしてはならない。

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