対中政策・日本の決断

世界,日本,雑記

Vol.1-7.29-197  対中政策・日本の決断(ペーパーウオッチ・4)

2020.07.29

楊逸(ヤンイー)氏、中国黒竜江省出身の芥川賞作家である。
つい最近、中国共産党の独裁体制を批判する『我が敵「習近平」』を出版した。
楊逸氏は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の原因は、中国共産党政権の対応と隠ぺい体質にあると指摘。

さらに中国の香港政策は「公権力による迫害」と断じ、習近平国家主席の国賓として迎えるなど断固反対を表明。中国をけん制できるのはアジアでは日本だけだとし、暗に米側であるとの態度を鮮明にしたほうがいいと促した。

時を同じくして出てきた米国の研究機関の論文である。
日本の態度の優柔不断にいらだったのか強烈な牽制球を投げてきた。

『報告書』の中味である。

◆米国の有力政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)が米国務省の支援で7月下旬に作成した報告書に安倍晋三首相の対中政策を大きく動かす人物として今井尚哉首相補佐官の名前が明記されていることが明らかになった。

報告書は、今井氏が長年の親中派とされる自民党の二階俊博幹事長と連携し、「二階・今井派」として首相に中国への姿勢を融和的にするよう説得してきたと指摘。米側の日本の対中政策への認識として注視される。

 報告書は「日本における中国の影響力」と題され、CSISが国務省の「グローバル関与センター」の支援を得て作成され、公表された。中国の統一戦線工作部などの諸機関が日本に対し、どのように影響力を行使し、どのような結果を得ているかについての広範な調査に基づく。

 CSIS研究員やコロンビア大学教授を歴任した国際政治学者のデビン・スチュワート氏が主体となり、日米中3カ国などの専門家約40人との面接調査や広範な資料を基に、約2年をかけて作成したという。

 報告書は「中国の日本でのシャープ(鋭い)パワー・汚職」という項目で中国がかかわる日本では珍しい汚職の事例として統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で、収賄罪で起訴された衆院議員の秋元司被告の中国側との関係などについて詳述していた。秋元被告が自民党の二階派所属だったことも強調し、次のように述べていた。

 「自民党の二階俊博幹事長の名から二階派と呼ばれる自民党のこのパワフルな派閥は親中派である。同派閥は『二階・今井派』と呼ばれることもある」とした。

 「今井とは首相補佐官で経済産業省出身の今井尚哉氏のことで、同氏は安倍首相が中国や中国のインフラ・プロジェクト(巨大経済圏構想「一帯一路」やアジアインフラ投資銀行=AIIB)に対する姿勢をより融和的にするように説得してきた」と指摘。

 安倍首相の対中政策に関して二階氏と同等の影響力を有するとの認識を示した。

 米国の政策研究機関が他国政府の対外政策に関するこの種の調査報告で、政治指導者や閣僚ではなく本来は裏方の補佐官の名を特定してその影響力を指摘することは珍しく、米側はそれだけ今井氏の役割に強い関心を持っているといえる。

 米側がこうして日本の中国への政策や認識に強い関心を示すのは、トランプ政権が対中対決を強める中で日本に共同の対中姿勢を求めていることにも起因する。この報告書の作成を支援した国務省「グローバル関与センター」は、中国の対外的な影響力工作や政治宣伝への対応を任務としている。(ワシントン駐在客員特派員 古森義久)

という内容だ。

ジイでも二階氏の親中が足かせとなっているのはわかっていた。しかし、今井尚哉氏のタッグとは知らなかった。

さすが、週刊誌だ、おなじみ週刊文春をはじめいくつかの週刊誌にはこの剛腕今井尚哉氏を詳細に報じているようだ。

昔、田中角栄氏に早坂茂三がいた。その存在と重ね合わせているようだが、ジイの感じでは若干違う。早坂氏は角栄氏の心情を骨の髄まで知り尽くし生かしきった。
そこが決定的に違う。

それにしても安倍首相、側近にどうも恵まれない。
萩生田光一、加藤勝信、人は好さそうだが、今一支え切れていない。

果たして、日本の将来を左右するこの重要な決断をどのような布陣で決定するのか。
まさしく新冷戦の幕開けに日本は重大なターニングポイントに立ったと言える。

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