“ホッキョクグマ” 僕は元気だ
Vol.1-8.22-221 “ホッキョクグマ” 僕は元気だ
2020.08.22
つい最近、新宿西口からタクシーに乗った時の話だ。
運転手さんは急に、白熊の話をし出した。
「地球温暖化で北極の氷が溶け、白熊が大変かとおもいきや、数が増えてるそうですね」と問いかけるように話した。歳は70歳前後だろうか。
新宿で30年以上タクシー運転手をやっているそうで、「30年前はねえ、西の空が暗くなると、風が吹いて必ず雨になったもんだが、最近は全く分からなくなった。」と昔を懐かしむように話した。
話が好きな方なんだろう。もう少しいろんな話を聞いてみたい気がしたが、幸か不幸か短い距離ですぐに目的地について残念な思いをした。
そんなことがあった後だからかもしれない、新聞の整理中、「温暖化と白熊」というタイトルに目が留まった。
「温暖化と白熊」?、正に運転手さんが言ってた問題そのものずばりの記事である。
一般的知識に加え、何度か北極の氷が溶け、クマが海に滑り落ちる映像を見た記憶がある。絶滅の危機という印象が強く残っている。
運転手さんは真逆の話だった。
記事は科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」で、カナダのトロント大学の研究チームによるホッキョクグマの将来予測だ。
二酸化炭素の排出が多く、100年間で地球の平均気温が4℃前後上昇するようだと「2100年の時点で北極グマは、ほぼ絶滅する」という宣告である。
論拠は海氷の減少でホッキョクグマの絶食期間が長引くことにある。研究チームは幼獣や成獣の生存率が低下する絶食の限界日数を、脂肪消費の計算などから推定している。
その結果、ホッキョクグマの集団のいくつかでは、既に限界に達していることが判明したという。
この論文は、ホッキョクグマ絶滅を警告しているのである。
ところがどっこい。運転手さんのいうように、もう一方の見方では、減っていないどころか、個体数はむしろ増えているというのだ。
運転手さんは、テレビとも新聞とも言わなかったがまさしくその話である。
ジイも興味深くその記事を読んでみた。
カナダ・ビクトリア大学のスーザン・クロックフォードさんは、二酸化炭素による気候変動問題に懐疑的な研究者と見なされ大学の職を失った人物だが、彼女の研究によると、
北極の海氷面積が縮小していてもホッキョクグマの捕食活動には影響がないと主張する。その理由は捕食シーズンに存在する。というのだ。
ホッキョクグマは氷を足場にして子アザラシを捕食する。年間捕食量の3分の2以上が3~6月に集中しており、その時期の海氷面積の減少はわずかなものなのだ。氷の減少が問題になるのは毎年9月だが、この時期、ホッキョクグマはもともとほとんど食事をしないので、氷が大きく減っても関係ないという。
要は子アザラシが生まれる春の海氷の面積が、ホッキョクグマの生存にとって重要なのだ。春の面積は緩やかにしか減っておらず、彼らが2100年までに絶滅することはあり得ないというのだ。
そのほか、日本の国立極地研究所による南極を代表する「アデリーペンギン」の興味深い研究がある。
海氷が減るとペンギンたちは氷の上を歩かず、得意の泳ぎで移動できるので行動範囲が広がる。従って海中から浮上するのに氷の割れ目を探す苦労もない。
さらに、日光が海中に届きやすくなり植物プランクトンの大発生が起きるため、好物のオキアミも増える。
要するにすべて生存にプラスに働くという研究結果である。
う~ん、どちらも納得せざるを得ない。
これらのことは『地球温暖化の不都合な真実(日本評論社)』に書かれているようだが、読む価値はありそうだ。
私たちは、意図的に情報操作が行われていても、その問題の専門家でもない限り、見抜くのは不可能に近い。二酸化炭素と温暖化が誰かの都合の良いように利用されているとしたら、、、と思うとちょっと怖い。
あの、スウェーデンの環境活動家17歳のグレタ・トゥンベリさんの涙の訴えは、、、ひょっとして仕組まれた、、、、なんて、、ことはないか。
何事につけ「本当にそうか」の視点を忘れてはならないようだ
改めて肝に銘じたい。運転手さんありがとう。