野党と連合
Vol.1-9.9-238 野党と連合
2020.09.9
今回の台風ではないが、野党合流が濁流にのまれ行き場を見いだせず決壊し、二つの新たな流れが出来つつある。そんな様相を呈している
何とも思惑通りにいかない今回の野党合流。この基本はやはり、野党そのものに国家観、歴史観などの基本的なところに問題は内在しているように思う。
野党であっても、日本という国家の国家観、歴史観というものは保守、革新を問わず、根っこのところ、いわゆる国家基本原則のようなものが、国民に支持されなければ国家運営をゆだねるわけにはいかない。
そもそも今回の連合の分裂も、野党の国家観の違いに根差している。
国民は、政策の違いには期待と支援を惜しまないが、日本国家を愛せない政党に国の運営をまかせるはずなどない。
皇室をなくせ、自衛隊はいらないでは国民の大多数はそんな政党に国政をゆだねるわけにはいかないと思うのは当然である。
そこが、立憲民主党を主に野党が理解していないところだ。
共産党のように綱領に暴力革命が明記されているような政党、社民党のように北朝鮮を応援するような政党と共闘するなど、国民から支持を得られるわけなどないではないか。
昔、赤狩りという共産党を排斥する動きがあったが、驚くなかれ2019年9月現在約28万人の党員を抱え、西側諸国で最大規模の共産党となっている。 国会議員数は、衆議院議員12名、参議院議員13名でそれぞれ野党第3党である。 また、約2800人の地方議員を抱え、日本共産党が与党の自治体は2018年12月現在62ある。
先進国の中では突出した数字である。
今でも綱領には暴力革命を謳っているのが共産党である。いつの間にか国民の間に警戒感が薄らいでいる。恐ろしいことである。尖閣諸島に中国軍が上陸したとき、共鳴の可能性を否定できない。
それはさておき、産経新聞は、連合「終わりの始まり」と書いたが、本来700万人弱を抱える労働組合は野党を支援してきたのである。しかし、国民民主党と立憲民主党の合流が完全な形で成されなかったため、国民民主党を支援してきた連合傘下の産業別労働組合(6産別)と組織内議員9人が、綱領への「原発ゼロ」記載などを理由に、立憲民主党との合流新党への不参加を決めた。
連合の神津里季生会長としては合流実現すれば、700万人の有権者を持つ長として、かなりの影響力を行使できると踏んだのであろうが、裏目にでた。連合の「分裂」を危惧する声も出るという誤算である
神津氏は玉木氏の「分党」表明が産別離反の原因だと批判。さらに「玉木新党なるものに組織内議員が引き寄せられるようなことが仮にあれば、その政党を支援する考え方には到底行きつかない」とまで言い切り怒りをあらわにした。
そもそも、玉木新党を批判するより、いつまでも反権力政党を支援するのではなく、野党足り得る政党を育てる義務を連合は怠っているのではないか。700万人の有権者をただ賃金引上げと労働条件の改革だけでは寂しい話ではないか。
野党が政治を動かせる勢力にするには、いつまでも昔の野党のままでいいわけがない。そろそろ気がついてもいい。
良い悪いは別にして、公明党が創価学会を抱えるように、国政に影響力を及ぼそうとするなら、国民の支持を得られるような野党を作ると言うことへのアプローチを労働組合として考える必要があるのではないか。
それには過去からの脱皮をはかり、700万人の組合員を持つ連合として、しっかりした国家観、歴史観を持つ必要がある。そのことこそが、野党を変える原動力になりうると思うのだが。