豪の毅然に正義あり

世界 日本 雑記

Vol.1-12.19-340   豪の毅然に正義あり
2020.12.19

オーストラリア政府は12月16日、中国が豪産大麦に高関税を課して輸入を制限したのは不当だとしてWTOに提訴することを決めた。

ついに豪州の逆襲が始まった。

事の発端は今年4月、新型コロナウイルスの発生源について、第三者による調査を求めたことに中国が反発。貿易面であからさまな報復措置をとってきた。

<その中国の報復とは>
(1)今年5月、豪州産大麦のダンピングなどを認定し、約80%の関税を上乗せした。豪州の中国向け大麦輸出は5割超と最大。高率の関税で輸出が事実上できなくなった。

(2)オーストラリアの食肉処理場4カ所からの輸入を5月12日に突然、停止措置を発表。
中国外務省は同日開いた記者会見で、輸入停止は「中国消費者の健康と安全を守るため」だと主張。詳しい事情が全く不明だ。

(3)11月27日には豪産ワインが不当に安く販売されているとして、反ダンピング関税を課した。反ダンピングの保証金を28日から保証金比率は107.1-212.1%徴収すると発表。
中国は豪州産ワインの最大の購入国。2番目に大きな市場である米国を大きく上回っている。

(4)今後は、石炭、鉄鉱石、ロブスターなど数種に及ぶ可能性を報じている。

ここまで来ると、国家の在り方を問われる。世界常識を逸脱した嫌がらせは、ヤクザまがいというか、マフィアそのものである。

気にくわぬことがあれば徹底的にたたく。それも勝てると踏んだ上での強引さだ。

豪州にとって、中国は今まで最大の貿易相手国だ、そのことを十分理解した上での報復だということがわかる。

中国が豪州を知り尽くしたとするに至った背景に、今年の夏ちょっと話題になった本がある。
クライブ・ハミルトン著作:「目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画(Silent Invasion)」と言う本だ。

本書は、その題名通り、中国の「豪州乗っとり計画」を暴いたセンセーショナルな内容になっている。中国がオーストラリア政財界にじわじわ進出、安全保障が脅かされるほどになっていると警告した。

原著は、中国側の報復を懸念した複数の大手出版社から出版を断られた曰くつきの本である。

近年、中国の過剰投融資を受け入れたせいで、港など国の一部を長期に貸し出さざるを得なくなったアフリカなどの途上国の話を頻々に耳にするが、豪州でも同じようなことが次々に起きていると指摘した。

<本書によると>
◆2014年、中国企業・招商局集団が世界最大の石炭積出港・ニューキャッスル港を買収
◆2015年、中国企業がダーウィン港の「99年の租借権」買収
◆2016年、投資家コンソーシアム(中国国営ファンド・投資有限責任公司が20%を占める)がメルボルン港を購入。
◆中国国営企業の国家電網公司は「ビクトリア州の5つの電力会社の所有権と、南オーストラリア州唯一の送電会社の一部」を所有。この送電会社の残りの所有権は香港の長江基建集団が握る。
◆農地の買いあさり。中国人の農地所有数は英国人に次いで2位。土地全体では英中で全体の25%を占める。
◆長く白豪主義を貫いてきた豪州は、1970年代末から各国から移民を受け入れる多文化主義に転じた。その結果、中国からの移民や留学生が急増、2018年現在で130万人を超え、豪州の人口の5.2%を占めるに至った。

中国以外の国にいる中国人を華僑というが。党は華僑に対して「祖国への忠誠を第一にする」と脅迫まがいの方針を打ち出している。諸外国にちらっばっている華僑(中国人)は北京と完璧に繋がっていると思わなければならない。

留学や移住した先の国でも、中国大使館などの指示によって中国の政策を支持する運動をしたり、選挙で中国が望む政策を進める政治家に投票したりすることが求められる。これに従わない中国人は、中国に残る家族や縁者が嫌がらせを受けたり、帰国した際に冷遇が待っている。

すでに、豪州の大学や企業、経済界など多分野で主要ポストにある中国人によって、企業秘密や研究成果が筒抜けになっている懸念を示した。中国のオーストラリア乗っ取り計画が着々と進んでいる実態を暴露したのだ。

この本は危機一髪でその危険を察知したが、すでに多くの情報を中国は握っており、人材もオーストラリアに忍ばせている。

貿易の嫌がらせも弱点を知りぬいた上である。
恐ろしき中国、香港、台湾、尖閣、次はオーストラリアも乗っ取ろうという遠望が見えてくる。
正義なき中国に、毅然と立ち向かう豪州。

「自由で開かれたインド太平洋」構想を共有する同胞の危機は他人事ではない。

中国人を見たら心中は習近平だと思って間違いない。