日米新時代の幕開け

世界,日本,雑記

Vol.2-4.18-460    日米新時代の幕開け
2021.4.18   日米グローバル・パートナーシップ

今回ばかりは、日米首脳会談の結果が気になっていた。

戦後75年、これほど米中、台湾海峡、日中の緊張が高まったことがあったであろうか。アメリカバイデン大統領がコロナ禍の中、面前で行う首脳会談に日本を選んだ事実は、独裁国家・中国がダントツのパワーをつけ、あらゆる安全保障環境の脅威となったことを裏付けた。

中国が、軍事、経済、宇宙、資源、流通、国土プラス人口において世界のトップにある事実は果てしない脅威である。その脅威が自由と民主主義の上に成り立っていればまだしも14億の人口をあやつる独裁国家である。脅威はイランや北朝鮮の比ではない。

アフガンから米駐留の撤退を表明したのも、兵力を対中国に集中する意図であることは明白である。

そのような中、最初に日本を選んだバイデン氏の意図を汲み取れば、菅首相は相当の覚悟と強い決断すべき重大な使命をもって臨んだはずである。
故に、世界はその共同声明を固唾を飲んで待っていたのである。

ジイは、まず朝6時のラジオニュースに耳を傾けた。

2021年4月16日、ホワイトハウス前にて、菅首相とバイデン大統領初の首脳会談直後の共同声明が発表された。

先ずはバイデン大統領であった。

“ ヨシ ” とファーストネームで呼びかけたところにすでに、日米は固い絆で結ばれたことを内外にアピールする意図がありありであった。

はじめに、バイデン大統領は、
『 初めて米国を訪問する外国首脳となる菅義偉総理大臣を歓迎でき、光栄に思う』と敬意を表した。

『今日、日本と米国は、インド太平洋地域、そして世界全体の平和と安全の礎となった日米同盟を新たにする。海が日米両国を隔てているが、自由、民主主義、人権、法の支配、国際法、多国間主義、自由で公正な経済秩序を含む普遍的価値及び共通の原則に対するコミットメントが両国を結び付けている』

普通、首脳会談でこれほどまでに、自由や民主主義を語ることはない。明らかに、<自由民主主義 VS 独裁共産国家>を意識し、この構図を強く世界に印象づけるためである。

『日米両国の歴史的なパートナーシップは、両国の国民の安全と繁栄にとって 不可欠である。争いの後に結ばれた日米同盟は、日米両国にとっての基盤とな った。世界は幾度も変化したが、我々の絆はより固く結ばれた。』とその絆の強さをアピールした。

共同声明で、日米両国は、日米同盟が揺るぎないものだとして、自由で開かれたインド太平洋を推進するとともに、航行や上空飛行の自由を含む海洋における共通の規範を推進すると、会談の趣旨を語った。

中国を強くけん制する内容となっていて、およそ半世紀ぶりに台湾に言及した。ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動に対する懸念を共有し、日米両国は、東シナ海でのあらゆる一方的な現状変更の試みに反対するとともに、南シナ海での中国の不法な海洋権益に関する主張や活動への反対を表明した。

菅総理は
「アメリカは日本の最良の友人であり、日米は、自由、民主主義、人権などの普遍的価値を共有する同盟国だ。日米同盟はインド太平洋地域、そして世界の平和、安定と繁栄の礎としてその役割を果たしてきたが、今日の地域情勢や厳しい安全保障環境を背景に、同盟の重要性はかつてなく高まっている」と危機感を露わにした。

そして、「日米は普遍的価値共有する同盟国」であることを力強く宣言したのである。

さらに、菅総理は
◆力による現状変更の試みに反対
◆拉致問題 即時解決 求めていくことをの確認
◆ワクチン供給 日米間の官民協力の強化
◆バイデン大統領から日米安保第5条の尖閣諸島への適用表明
◆東京五輪・パラ 実現の決意に支持
◆日米で世界の脱炭素をリード
◆台湾海峡の平和と安定の重要性について確認
◆共同声明は日米同盟の羅針盤
◆在日アメリカ軍の再編推進で一致
など、多くの問題で意見の一致したことを強調した。

日米首脳が共同声明で台湾に言及したことについて、台湾総統府の張惇涵報道官は「アメリカと日本が台湾海峡の平和と安定を重視していることに感謝し、評価する」というコメント、また台湾外交部からは「心からの歓迎と感謝」の表明があった。

逆に、米 中国大使館は「強い不満と断固とした反対を表明」
「台湾と香港、新疆ウイグル自治区に関わる問題は中国の内政であり、東シナ海と南シナ海は中国の領土と主権、海洋権益に関わるもので、干渉することは許さない。われわれは強い不満と断固とした反対を表明する。中国は国家の主権と安全、発展の利益を断固として守る」と強く反発した。

反発は想定内である。

しかし、どれほどの日本人が今回の首脳会談に対し、その重要性において、菅総理が一大決意で臨んだか理解しているであろうか。

尖閣だけではない、今回は半世紀ぶりに “ 台湾 ” という固有名詞を出して中国への危機感をあらわにしたのである。野党が、モリトモや桜の会に明け暮れる中、台湾海峡や尖閣、東・南シナ海における現状変更による危機意識を、国民が共有するまでには至らなかった。

なぜ、ここで中国の怒りを買うほどの防衛意識と危機感を表したのか、理解に苦しむとしたら、明らかに “ 平和ボケ ” も度の越した“ 平和ボケ ” である。

ジイは、6時のNHKニュースで、バイデン、菅総理の全スピーチを聴きながら、菅総理の語る言葉の一つ一つが、ラジオだからこそ直に耳に入り目頭が熱くなるほどの切なさを感じた。

敗戦後、焼土と化した日本。軍も持たず、核にやられて核も持たず、憲法で手足を縛られ、防衛を思考の外に追いやった。この期に及び、どうして日本を守ればいいのか。国家の長は当然真剣に考える。今回の会談で、心底ここはアメリカに頼らざるを得ない。そこで、米軍の足元にも及ばない我が国の軍事力に思いを馳せたのであろう、“ 防衛力を強化したい ” と付け加えた。

それは、アメリカに守ってもらう、せめてもの日本の誠意であったとおもうが、ジイは本当に涙が出そうになった。

中国の脅威を一切口にしない野党。この期に及んで、中国に気を遣う公明党。悲しくて何も言えない。

100年も経てば、日本は自分のことは自分で守ることのできる国になっているであろうか。最低限、同盟国と同じレベルの防衛能力を持つことができるであろうか。

国内で理解されない憲法改正と防衛力の強化。菅総理のあまりにも切なく、精一杯のアメリカへの配慮にそう思った次第だ。

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