波乱万丈の国際結婚
Vol.2-7.6-539 波乱万丈の国際結婚
2021.7.6
私はこの日本をこよなく愛するジジイである。
世界中の人に日本を愛してほしいと願う。その意味もあって日本を訪れてくれる外国人の幸せそうな顔を見るのが好きである。テレビを見ていても外国人が出てくると、不自由なく過ごせている?日本に来て楽しく過ごせたかい?あるいは日本に住んでいて幸せであろうかと心のどこかで思う。
どこの国の人間であろうと、自国で起るあらゆる出来事は大抵は想定の範囲内だ。しかし、外国人の場合そうはいかない。
その国の生活習慣、宗教の違い、長い間育まれた、言わず語らずのうちに理解できる “ あうん ” の呼吸がある。特に島国日本は外国人との付き合いに慣れずに長い年月を生きてきたちょっと異色の国である。
ジジイはそんな思いがあって、最近「あなたが日本に住む理由とは」というテレビ番組を興味深く見る。根底に「本当に日本に住んでいて幸せですか」と心配する心がある。
この番組に登場する人物はたいていが幸せそうである。安心はするが死ぬまで幸せであってほしいと願う。
あの有名なドナルド・キーン文学者も、ひょんなことから日本文学に触れ、日本を研究するうちに日本文学の魅力に惹かれ、世界に日本文学を広めてくれた多大な功労者である。最後は日本国籍を取得、長年住み慣れた東京都北区の無量寺に眠る。
墓には、直筆による「キーン家の墓」とある。
生前、「人を笑わせる時に使います」と述べつつ、漢字で「鬼怒鳴門」と表記した名刺を披露したエピソードも残す。
そのように日本を訪れる、あるいは日本に住む外国人に特に興味を抱くようになったのはある本の制作に関わったことがきっかけかもしれない、と最近思うようになった。
ジイは20年ほど前に、一時DTPを職業としていたことがあった。
バイリンガル雑誌を出版する小さな会社である。
新米のジイではあったが、大分慣れた頃、ある単行本のDTPを任された。「波乱万丈の国際結婚」と言うものだった。
エジプト人と結婚した彼女が、題名の通り、波乱万丈の結婚生活を送る物語である。
情熱的な結婚がすべての困難を乗り越え、幸せな人生につながれば最高である。しかし彼女の結婚は、お子さんの誕生から大きな試練の連続であった。
生まれたお子さんが、重度の脳障害。6度にも及ぶ手術の結果、3年という短い生涯を閉じてしまう。
エジプト人というあまりにも違いすぎる社会にいたご主人、まだ、日本の事情がよくわからない中で生まれた待望の赤ちゃんは重度の障害を持っていた。
幸せの絶頂を迎えるはずが、天国から地獄への悲惨な日々に変わった。
さらに追い打ちをかけるように、日本の医療、福祉、行政等すべてが大きな壁となって二人にのしかかった。エジプト人への偏見から心ない言葉を浴びせられることも二人を苦しめた。
生活費に治療費、エジプト人にとって職探しも困難を極めた。
不幸は不幸を呼び、悲しみは心まで蝕んでしまうのか。脳裏に浮かぶ離婚、さらには我が子の死を望む狂気の心だ。
日本に住む外国人にも幸せな人生を!!そう願うジイの思いとは程遠いものである。改めて読み返してみて彼女の波乱の国際結婚を思った。
この世にある悲惨な人生の一つのケースを改めて思った。
外国人であるが故、埋めることのできない心の痛みはきっと深いところにある。そう思うと悲しみはさらに深まる。
この本が完成した時、三日月氏からいただいた丁重な礼状はジイの宝である。
著者の三日月氏、今はどうされているであろう。
幸せであってほしいと願うばかりだ。
<追記>
ところでこの本を改めて読み返した見て、DTP上のミスを見つけてしまった。改行すべきでない箇所に改行があった。あ~~と頭を抱えた。おっちょこちょいのジジイだ。今さらであるが、深くお詫び申し上げたい。
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