アフガニスタン崩壊

世界,日本,雑記

Vol.2-8.19-583   アフガニスタン崩壊
2021.8.19

2001年9月、米中枢同時テロは衝撃だった。

アメリカ史上最悪のテロ事件、高層ビルに旅客機が突っ込む光景は、まるで映画を見ているようで、恐怖よりも不思議な感覚に陥った記憶がある。

当然だが、米国は怒り狂った。首謀者・ウサマ・ビンラーディン率いるタリバンを攻撃、政権を打倒した。

あれから20年、アメリカはアフガンに駐留し、テロの根絶を図りつつ、アフガニスタン政権を支えてきた。

投入した金は218兆円、貴重なる兵士を2400人以上を亡くした。

その成果を見ないまま、またもやアルカイダに乗っ取られたのである。

今年4月バイデン政権は9月までに駐留米軍の撤収を表明。8月には前倒しで撤収を始めた。その撤収を見極めるやいなや、タリバンの武装勢力が次々と合流15万人の兵力を固めたというではないか。

彼らの執念や団結力は衰えるどころか強さを増していた。
過去20年、彼らはどう生き延びて、どう戦力を貯え、復讐魂を維持し続けたのか、驚くべき精神力と戦闘能力と狂気の結束力にはイスラム原理主義の原点を見る思いだ。

タリバンは戦闘を初めてわずか10日で首都カブールを制圧した。

逆に浮かび上がるのは、20年に及ぶアメリカの無策だ。アフガニスタン政府に何を残したのか。ガニ大統領はさっさと国外に逃亡、守るべき兵士の士気もなく無欠で首都を明け渡した。

過去20年、米国は巨額を投じ、約30万人を誇るアフガン治安部隊に高性能の武器を与えどんな教育を施したのか。信じがたいほどの治安部隊の無気力と米国の無能を問わなくてはならない。

タリバンは20年で勉強もし、自ら政権を取り戻した時の政策も練ったのであろう。首都征服するやいなや、「戦争は終結した」と市民に安心感を与え「全アフガン人が参加する包括的な政府を求めている」とし、「女性の就学や就労の権利尊重は我々の方針だ」と表明した。まさに用意周到である。

彼らは20年間、山岳地帯に潜伏しながら米軍の撤退を根気強く待ち、この時のために貯えた執念を用意周到に爆発させた。

タリバンの言うことが本当なら、以前のような暗い時代とは異なり、かなり柔軟な政権かとも思える。しかし、信用はできない。市民の国外逃避は始まり混乱はしばらく続くと思われる。

問題はこのアフガン混乱に付け込む中国とロシアである。この影響が心配である。世界が2分されつつある状況がより鮮明になる。早晩アフガンはロシア・中国の共産陣営に取り込まれる可能性は高い。

この一事で米国の失敗は鮮明になる。投入した218兆円はまさに “ 水の泡 ” と消える。

いずれ近いうちに中国の一対一路構想にアフガニスタンが名を連ねることになろう。

日本は米国の同盟国として残念ではあるが、軍事力も積極的中東構想もなくただ傍観者のように佇むだけである。

この混乱の中、アフガニスタンの市民が漏らした一言は現実を象徴している
「誰が支配しようと構わないが、最も重要なのは罪のない人々の流血がないことだ」
長い間、戦争とテロの狭間に生きる市民の諦めともいえるつぶやきだった。

しかし、何度も言うが、たった10日での政権転覆とは信じられない。
アメリカ民主主義は今後、何を旗印に求心力を維持し続けるつもりであろうか。

バイデン大統領が「撤退は間違いでなかった」と強弁したが、ただ、ただ、空しく聞こえる。

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