平和条約は夢の夢
Vol.2-10.24-649 平和条約は夢の夢
2021.10.24
ロシアとは永遠に平和条約は結べないのか。
平和条約締結は北方領土返還に筋道がつけなければ不可能であり、その可能性は現状ほぼゼロである。
ここ数カ月の動き見れば完全に不可能だ。ロシア側の動きには、北方領土をエサに日本から経済協力に導き出そうとする努力を放棄し、平和条約という夢を断ち切り、完全に北方領土を自国領土として国家利益最優先に舵をきったようにみえる。
ミシュスチン首相が7月末に択捉島を訪れた。日本の抗議などどこ吹く風の如く無視。その後プーチン大統領が、北方領土に国内外の企業を誘致するため、法人税や固定資産税などを10年間免除する特区を発表した。
その後、今度はロシア副首相が択捉島と色丹島に入った。北方領土への経済特区導入に向けた視察が目的である。日本は犬の遠吠えの如くただ吠えるだけである。何らかの具体的制裁を講じるならともかく、形だけの抗議などへのツッパリにもならない。いよいよ “ 領土は遠くなりにけり ” だ。
戦後76年、一貫性のない交渉は相手に不信感を与えただけだった。ロシアも日本全体の熱意の希薄さを察知し、本気でロシア領土として完全支配を決断したのだろう。したがっていよいよ北方領土は返還不可能になる。
本日の産経新聞にロシア科学アカデミーの日本研究員・ウラジーミル・ネリドフ氏のコラム記事があった。
結論からいえば、日露平和条約の進展は見込めないと結論付けている。
その決定的なものは、領土問題でお互い譲歩はあり得ないという前提であり、すでに解決策はとん挫している。というわけだ。
その上で、
1、現在両国とも新型コロナ対策で平和条約交渉に割く時間がない。
2、米中対立の激化は、ロシアにとって中国は同盟国ではないが、多くの問題で立場を共有する関係にあり、日米双方に対しても緊張と不信を生み出している。
3、日露間の経済的な結びつきが弱いことが、領土問題に日本に譲歩する必要性を感じない。
以上がネリドフ氏の見解である。
それはその通りだろう。中国と日本海で合同軍事演習をしたり、中国同様、米英豪の安全保障の枠組みである「AUKUS」に反発したり、中露が中心になり、アフガン会議をロシアで開催、アフガンへの影響力を拡大する思惑を鮮明にしたりと、日本個体ではなく日米を一体として反発姿勢を強めていることに表われている。
毛沢東の時代からよく似た政治体制でかつ国境に接していることもあるが、対米、対西欧諸国とのイデオロギーの違いは歴史の成り立ち、大国としてのプライドからもそう簡単ではない。
所詮、ロシアとは水と油ともいえるが、ロシアが本気で北方領土と平和条約を考えるとすれば、それは日本が、軍事を主に米国から完全独立を果たした時だろう。
そんな日が果たして来るのだろうか、ジイにとっては夢のような話である。
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