全領土奪還に命をかける
Vol.3-8.21-950 全領土奪還に命をかける
2022.08.21
ウクライナがロシア軍から奪還を目指す南部地域で、反露パルチザンの武力闘争が激化している。
<※パルチザンとは、他国の軍隊または反乱軍等による占領支配に抵抗するために結成された非正規軍の構成員である>
最近のニュースでよく見るのは、クリミア半島での相次ぐ爆発である。
ウクライナ側は関与を明確にしていないが、反露パルチザンによる武装闘争が激化している。
◎ 7月・・・ロシアに協力する警察官らが乗った自動車への攻撃
◎ 8月6日・・・ノバカホフカでロシアに協力していた行政当局幹部が銃撃され死亡
◎ 8月13日・・・2014年にロシアが併合した南部クリミア半島と同市を結ぶ鉄道の橋が爆破され、列車の運行が停止
◎ 8月16日・・・送電施設が爆発で損傷し、ロシアの宣伝を担ってきたテレビの放送が中断
◎ 8月17日・・・ロシア拠点で爆発
パルチザンの攻撃は5月頃から伝えられているが、ウクライナ軍の南部への反攻を本格化させた7月頃からさらに活発化したという。
英BBC放送によれば、武器調達、情報収集面でウクライナの支援があるとした。
ロシアの空軍基地、弾薬庫などが爆発した。このように兵站破壊が続けば、露軍は前線の補給が困難になる上、後方防衛の必要性が生じ、兵力の分散を余儀なくされる。露軍は多数の航空機を退避させたとの情報もあり、動揺は少なからずある。住民投票などを通じ完全にロシア編入を目論む作戦阻止への妨害を目論んだものと思われる。
クリミア自治共和国では、衝突初期の2014年2月下旬-3月にかけて行われたロシアによる軍事干渉と、国際的な非難を浴びながら行われた住民投票の結果、同年3月17日にロシアへの併合を求める決議を採択したと宣言した。
しかし、国連総会は、公表された国民投票は無効であり、ロシアによるクリミア併合は違法に行われたとし認めていない。現状を「ロシアによる占領」と国連総会決議により定めている。
そんな折、ゼレンスキー政権でクリミア問題を統括するタミラ・タシュワ大統領代表が産経新聞のインタビューに応じた。
その発言たるや意志の強さ、ロシアに一歩も引かない姿勢はゼレンスキー大統領を凌ぐほどだ。しかも女性である。
『ウクライナは全ての領土をとり戻す。妥協はありえない』と言明した。
ロシアが侵攻の拠点としえいる南部クリミア半島を奪還せねば、「ウクライナにとっても地域にとっても安全は確保されない」と強調した。
ウクライナは、現在もロシアと激しい戦闘中である。「クリミア・プラットフォーム」の第2回会合を23日にオンライン形式で開催する。第1回開催より大規模になる。タシュワ氏は『ウクライナが領土の一体性をめぐって妥協することはあり得ず、クリミア問題が地域全体の安全に関わっていることを示す意義がある』と侵略国と対抗する構えだ。
さらに、各国代表がクリミア問題を協議する「議会サミット」を10月24日に初開催する方針も明らかにした。
この戦争中の忙しさの中、全世界を巻き込み、正義を徹底して見せつけ、“ 絶対に負けるものか ” という強靭な精神力には驚くばかりである。
そのバックには全国民の一致団結した「全領土奪還、妥協しない」という精神に支えられている。
それにしても、そこまで強い精神性の源泉には、「領土的妥協」がなされてクリミアにロシア軍が残った場合、「時をおいてロシアは容易に再びウクライナを攻撃できる」との恐怖がある。
ロシアの黒海封鎖でウクライナの穀物輸出が滞り、世界の食料危機が引き起こされたことの根本にもクリミア問題があると力説する。
クリミアでは露当局による住民弾圧と深刻な人権侵害が続いている。タシュワ氏は今もなお138人の政治犯が露当局に拘束ないしは投獄されており、うち106人はクリミアの先住民、クリミア・タタール人だと指摘した。住民の拉致も横行している。
日本人なら、もうこの辺で、妥協を、、、と探るのが普通考えることであろう。しかし、大統領、大統領代表、各州知事に市民皆が涙を流しながらも決して弱音を吐かない。
我々日本人は、すでに半年を過ぎようとしている戦争に若干興味が薄れている。しかし、彼らは親を、友人を、子供を亡くしながらも先の見えない戦争に敢然と立ち向かっているのだ。この現実を日々、決して忘れてはいけないと思う。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません